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HappyHunting♡  作者: 六郎
第2章 冒険者 (コンテ:カズー、ミキティ)
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護衛当日未明。

リオンヌ商会の館に集まった馬車に荷を運び込んでいるのを遠目に見掛ける。


「やぁ、どうもどうも。カズーさん、ミキティさん!」


リオンヌが微笑みながら近づいてくる。


「今日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いしますよ!ささっ、こちらへどうぞ」


「先ずは顔合わせと行きましょう。こちらが当家お抱えの護衛です」


「「「「どーも」」」」

「「よろしくお願いします」」

「基本的にこの護衛隊長の指示に従ってくださればいいので」

「護衛隊長です。よろしく」

「こちらこそよろしくお願いします」

「そしてこちらがコンテ「おいおいおいリオンヌさん!これはどーゆーこった!」」

「ジャンさん・・・」

「こんなガキが一緒に護衛?護衛対象の間違いだろ?」

「20歳なんですけど」

「この世界じゃガキなんだよっ!」

「はぁ」

「おめぇら護衛依頼は何回受けたんだ?」

「これが初めてです」

「はぁ!?初めて?嘘だろ。足ぃ引っ張るに決まってるぜ!」

「はぁ」

「足手まといだ!リオンヌさん!こいつらとじゃ護衛は出来ねぇぜ」

「そうですか。では依頼解除の手続きを致しましょう」

「ちょっ!?マジで?は?俺たちよりそいつらを取るの?」

「さぁさ、こちらに」

「ちょー、待ってくんな。まー、新人を教えるのも?ベテランの役目だし。どーしてもってんなら仕方がねーな」

「いや別に教えてもらわなくて結構です」

「てめぇ優しくしてりゃ図に乗ってんじゃねーぞ!」

「ささっ、こちらに」

「待ーてって、リオンヌさん。もう気が早いんだから」

「教えてもらわなくて結構です」

「待てって!てめぇ!しょうがねぇから許してやるよ」

「いえ、許してもらわなくて結構です」

「くっそ!ぬ~、護衛がっ、がんばれよ」


ジャンとリオンヌに言われた男はそう言って連れの男と奥に行った。


「すいませんカズーさん、ミキティさん」

「いえいえ。面白い方ですね」

「ははは、そう言って頂ければ。ささっ。お2人の担当の馬車と御者を紹介します」

「よろしくお願いします」

「私も一緒に参りますのでよろしくお願いしますよ」

「えっ、一緒に行くんですか?」

「はい。ここには買い付けに来たんですよ。本店はヴィヴィエントですから」

「そうでしたね。分かりました。よろしくお願いします」


そう言って紹介してもらった御者さんにも挨拶を終え。


「いやー、やっぱあぁいうのいるんだね。何処の世界に行っても」

「今までの冒険者が真面目でしたから余計インパクト有りましたね」

「僕達の装備より劣ってたし、やっかみもあるのかな?」

「あー、金に五月蠅さそうですけど自分では稼げなさそうでしたもんね」

「目立たないように装備に汚しを入れるか。あっ、あと菊池君を連れてるのもあるかもな」

「えっ!?美女を連れる男に嫉妬をや「さーて荷物を確認するかな」」

「オラァ!」




「これがラドニウスか・・・」


馬車に揺られながら初めての馬車と初めてのラドニウスに感慨もひとしおだった。

この街に来て約2か月。今は1月下旬。

コローと同じ様な街並みだ。

恐らく人口も同じくらいらしいし田舎の街なんだろう。

でもほっと安心できるような街だった。

よく見れば所々木造の建物と石造とがまじっている。

この街も戦争に遭ったんだろう。

しかしここまで復興しているんだ、これからも大丈夫だろう。

領都という大きそうな街で新たな生活を送る僕等もこの街の様に頑張っていこうと思うのであった。




街の門番に冒険者カードを見せ門から出る。

真冬の風が頬をさす。

僕達の馬車は先頭から2番目に位置している。

1番目に人員であとは荷馬車。

ジャンとその連れは3番目にいる。

ラドニウスの足は思っていたより速い。

走りだしこそ遅かったが、いざある程度の速度が出れば問題なかった。


御者台は2人しか座れないので時間交代で乗るようにした。

というのも、


「オエェェェっ」


ものすごい揺れる。

サスペンションなんか無いから揺れる揺れる。


「これは・・・すごいな」

「予想以上ですね」


後ろでジャンがバカにしたように笑っている。

あいつは何ともないのか?その点に関しては尊敬できるな。


「馬車は初めてですかの?」

「えぇ・・・オェ」

「最初はみんなそうですけぇ」

「やっぱり、みんなも最初はこうなんですか?」

「スキルが上がっとりゃマシですがの」

「何のスキルです?」

「耐性系の・・・《頑健》やら《病気耐性》やらでしたかの」

「なるほぉぇぇぇど」

「冒険者さんはおいくつですかの?」

「2人共20歳です」

「ベテランさんかいの」

「いえ4か月前に登録したばかりで」

「ほー、そうですか。早い奴じゃと16くらいでなりますから」

「その年で命のやり取りは可哀そうですね」

「戦争になったら年は関係ありませんからの」

「・・・それもそうですね」

「まだ金ば稼げるしの」


「農業やらはスキルっつっても天候や自然が相手じゃしなぁ。冒険者で金貯めて、職人になるんが良いんかの」

「商人なんかは?」

「相当金貯めんとなれんわな。館や馬車や人やら、なんぼ有っても足らんでの」

「そうですな」


「お爺さん、お子さんは?」

「今の旦那様の所におります」

「一緒の所で働いてるんですかの」

「はい、運が良かったですわい。えぇ人ん所に拾われて」

「リオンヌさんの人柄はどうです?」

「仕事には厳しいけんど、それはまぁ普通ですかな」

「ですな」

「わしらぁみたいに親子で働かせてもろうとるし、情は篤いんじゃなかろうか」

「仕事の腕はどうです?」

「やり手ですわい。領都でも一目置かれとるし」

「この多い荷物を見れば分かりますね」

「はっはっは。そうじゃろーそうじゃろー」

「中身は何です?」

「まぁコンテからは食料・・・ですかの」

「食料」

「そういやマヒマイタケも積んでますの」

「ぶっ」

「こんなに積むんは初めてじゃなかろうーか」

「こんなに?」

「おぉ、そういやコンテだけじゃーのーて、コローでもネムリマイタケが取れてヴィヴィエントでも流れとりますわい」

「ぶふっ」

「こんなにマイタケ見るんは生まれて初めてじゃのー」

「おぇぇぇ」

「大丈夫ですかの」




途中昼休憩で食べなかったお陰で、その後は大分楽だった。

その日宿泊する村に着いた。


「だーから言ったんだよ!役に立たねぇって!見ろ!こんなんで闘えるかっての!」


げっそりした僕達を見てジャンが吠えている。

しかし言い返す元気もない。


「ははは。馬車は初めてらしいですからな。宿でお休みになってください」


シモンも相変わらずの表情だ。

しかし2階のあてがわれた部屋に通されその様子を確認し、また気分が落ち込むのであった。


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