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HappyHunting♡  作者: 六郎
第13章 ハッピー・リバースデイ (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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翌朝。

僕達はセーラの部屋の近くの部屋を宛がわれていた。

こんな事は通常無いだろう。

冒険者が城に泊まる事すら無いのに公女様の部屋の近くに泊まるなんて。

公女の部屋は近衛騎士が警護をしていた。

その騎士もラーンが選りすぐったので大丈夫なのだろう、僕等も公女が部屋に居る時は休憩で良いらしい。

セーラが部屋から出る時に僕等も部屋を出た。

近衛騎士が先導する。

僕等は後を付いて行く。

会議室に入って昨日のメンバーで会議をしながらみんな片手間に朝食を摂る。

話し合う事、やるべき事が山積みなのだ。

しかし喧々囂々の中、僕等だけがのほほんとしているのが許せないのだろう、昨日の騎士や衛兵なんかは厳しい視線を僕達に送る。

しかしそんな視線どこ吹く風、雑談に興じていた。勿論声のトーンは落として。


「ぶっ!」


俺は茶を吹いた。


「きゃっ」


真ん前に居た菊池君に掛かってしまった。

みんなの視線を受け愛想笑いで誤魔化し衛兵らの厳しい視線も無視し話を続ける。


(【ランク】Cになった?)

(はい!【STR】がBになりました!)

(凄いねぇ!サーヤ姉ぇ!)

(凄いな!)

(確かに兵士も倒したけど強そうなの倒したからね!)

(・・・そうか?)

(なっ、そ、そうだぞ!カズヒコ!)

(うーん)

(猪騎士とか居たねぇ)

(旋斧将軍でしたっけ?そんな奴も)

(そういや居たな。確かに旋斧は強かった)

(何気にあの諜報員も強かったんじゃない?)

(・・・なるほど。その可能性は有るな)

(それでサーヤ姉ぇ、《馬術》は取れたの?)

(ううん、まだ・・・)

(そうか。まぁ心配しなくても直ぐ取れるよ。CになったんだC)

((((・・・))))

(オホン・・・菊池君も《伝書鳩》はまだだよな)

(え、えぇ。そうね)

(クァ)

(まぁ、レイヴとの仲も悪くないんだし焦る必要は無いだろう)

(じっくりやりましょ、レイヴ)

(グァ)

(そういえばキルケさん達はどうしたの)

(昨日は輜重隊の護衛に終始してそのまま兵舎に泊まれるようにクルトさんが気を回してくれたらしい)

(そうなんだ、良かったね)

(公女様の護衛ですらなのにお家騒動に遭遇って、一生に一度有るか無いかよね)

(運が良いんだか悪いんだか)

(確かに悪いとも言えるが良いとも言える)

(どうしてです?)

(これから公都は復興に取り掛かる。街の破壊はそれ程ではなかったとはいえ王城や兵士、その装備、物流の停滞やらで物が不足気味になるだろう)

(チャンスだね!)

(そうね。じゃぁ、どうするの?店舗を手に入れるんでしょ?)

(まぁ即位後の論功行賞の前に折りを見て言うのが適当だろうな)

(そうね。タリルコルさんには知らせるの?)

(そうだな。伝書鳩が使えれば良いんだが)

(セーラさんに頼んでみる?)

(流石に私用だからな、無理だろう)

(じゃぁレイヴに頼んでみる?)

(《伝書鳩》習得してないけど大丈夫か?)

(聞いてみましょう。レイヴ、タリルコルさんの所に飛べる?)

(グルゥ)

(難しそうだな。急がなくて良いぞ。休み休み行くのはどうだ)

(・・・クァ)

(やってみるそうだ)

((((・・・))))

(無理しないでね)

(無理そうなら帰って来い。死んだら燻製肉食えなくなるぞ)

(グア)

(うむうむ。そうしろ)

(今の内に食べといたら?)

(そうね。レイヴ、たんとお上がり)

(クァ!)

(キルケさんに会ってレイヴをバレンダルに派遣する事を伝えないか)

(そうね。その道の人の意見も聞きたいわね)

(先輩だしねぇ)

(今日はずっとこの調子で缶詰め状態だろう、休憩中にでも会いに行こう)

(警護はどうするのです?)

(全員行く必要は無い。そうだな、菊池君とサーヤ君で行って来てくれ。ついでに兵舎から街の宿に移ってもらおう。いつまでも世話を掛けるのは申し訳ないしな)

(分かったわ。キルケさん達と相談して来る)

(はい)




会議の休憩時間でセーラに断りを入れ、2人にキルケさん達の所に向かってもらった。

しばらくして2人が帰って来て様子を聞く。


(宿に移るって)

(そうか)

(街を調べて物価や良さそうな物件を探すって言ってたわ)

(そうだな。その辺は専門家に任せよう)

(私達行商人だもんねぇ)

(うん、それに殆ど経験も無いしな)

(そういえばケセラ、少し気になる事が有るんだが)

(なんだい)

(将軍って言うのがね、爵位じゃないだろ?)

(あぁ、役職だな)

(しかし常備軍じゃないだろ、自分の領地も有るだろうし)

(いや。殆ど将軍職は固定化しているんだ)

(つまり誰がやるのかほぼ決まってるって事か)

(そういう事だ。ただし将軍だから強い、という訳ではない。軍勢を率いる統率力は有るが個人的な武勇は無いという者もいるからな)

(なるほど。その統率関係のスキルを持ってたりすれば強くなくても将軍になれると)

(そういうことだ。カズヒコが戦った将軍は個人の武勇に優れた将軍だがね)

(ファーダネさんもだね)

(暴風貴族だもんな)

(おっかないわね)

(見かけによらないよ)

(本当ねぇ。あんなに凛々しい御方なのに)

(その将軍が3人も不在になったんだろ。大丈夫か?)

(ガタガタだな。今カズヒコが言った様に武勇に優れた将軍はほぼ居なくなった。統率力に優れた将軍は地方に派遣されて今回の反乱には参加していなかったようだが与していなかったとも言い切れんしな)

(フリーエさんも将軍なの?)

(あぁ。ただ後進に譲って名誉職に甘んじていたが悪魔騒動絡みで再び出てきた訳だ)

(将軍も決めないといけないし、やる事一杯だね)

(その隙を狙って暗殺を狙うかもしれませんね)

(そうだな。反乱を防いでここまで来たんだ、最後までやり抜くぞ)

((((おー!))))




次の休憩時間でレイヴを旅立たせた。


「無理はするなよ」

「そうよ。辛かったらいつでも帰っていらっしゃい」

「グルァ」

「燻製肉は一杯食べたか」

「一杯食べたら飛べないよ。ねぇ?」

「クァ」

「夜はちゃんと寝るんだぞ」

「もう大人ですから大丈夫ですよ」

「クァ」

「鷹とか鷲とか、猛禽類に遭ったら逃げるんだぞ」

「今までも伝書烏としてこなして来たんだから大丈夫だろう」

「クァ」

「はいはい。じゃぁもう飛ばすわね」

「気を付けるんだぞ」


バッサバサバサ


菊池君の腕から飛び立って行った。

僕等の上空を1周して飛び去って行った。


「クァー!」


「行っちまったな」

「無事に帰って来るわよ」

「そうだよ。信じてあげなよ」

「可愛い子には旅をさせろって言ってませんでしたか」

「賢い子だから危なくなったら帰って来るだろう」

「そうだな」


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