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HappyHunting♡  作者: 六郎
第13章 ハッピー・リバースデイ (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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今は無きバリケードが積まれていた所に佇むガタイの良い獣人の男。

フルプレートアーマーを着ている。


「バ、バルドル将軍!?」

「バルドル将軍まで弟妹派に!?」

「その通りだ!」

「なっ!?公弟殿下!」


獣人将軍の向こうに派手な格好の少年が現れた。


「こうてい?」

「セルラムディ殿下の弟君だ!」

「あぁ、それで公弟。あれ、でもセルラムディ殿下って・・・」

「まだ大公では無いがドゥラグレ公爵家の当主となられた。公弟妹殿下達のトップに在らせられる」


バグレスクがフラつきながら立ち上がりつつ喋る。


「ふん!あの様な者にこの国は任せられんわ!」

「それで反乱を」

「あの女ではこの国は亡ぶ!強い国にするには優しさでは無理なのだ!」

「ご尤も」

「バグレスク!家宝を渡せ!私が誰にも侵略されない国を作ってみせる!」

「御断り致します」

「・・・バルドル」

「はっ!」


獣人将軍が部屋に入って来る。

メイス・・・しかもモーニングスターと来たか。


(ミキ)

(何?)

(入口の上、見えるか)

(ん~、通風孔?)

(そうだ、多分木製だ)

(それで?)

(《風圧波》で壊してレイヴを逃がせ)

(手紙を持たせるのね。分かった)


ミキが隠れて手紙を書き始めた。

俺は前に出る。

ケセラも前に出て俺に並ぶ。


「あの獣人将軍知ってるか?」

「勿論だ。軍で1,2を争う実力の持ち主だ」

「・・・はぁ~、セーラって人望無ぇのかよ」

「カズヒコならやれる」

「最悪《雷撃》連発して血路を開く。後は頼んだ」

「そうならない事を祈ってる。頼むぞ。リーダー」

「マーラはセリーナのバックアップ」

「はい」


サーヤがケセラの後ろに着く。


「マリアとマヤは他の奴を部屋に入らせるな」

「「了解」」


マヌイも後ろに並んだ。

ミキはレイヴと待機中だ。


「ヤル気になって来たようだな」


獣人将軍が口を開く。


「旋斧将軍を殺ったのはお前か?」

「せんぷ?」

(さっきの斧の奴だ)

(あぁ~)

「いや、俺じゃねーぜ」

「では誰だ?」

「自決したよ」

「自決?」

「反乱に手を貸したのを恥じてね。《トマトル》ゥーってね」

「とまとる?」

「《トマホーク・トルネード》だっけ?」

「ふっ。お前のようだな。旋斧はそんな事で自決するタマではない」

「そんな事って。反乱をそんな事って言うのね。何も感じず裏切る事が出来るって、ある意味才能だよな」

「何も感じていないだと!」

「フリはすんなって」

「そんな訳なかろうが!」

「権力を握りたいが為に平気で鞍替えかぁ~。将軍になるにはそういう器量も必要なんですね」

「貴様!取り消せ!私は権力の為に反乱に加わったのではない!セルラムディ殿下では今の世、国を維持していく事は出来ないと思ったからだ!」

「まぁ、それには合意するね。優しいのと甘いのとは違うからね」

「分かっているではないか!」

「だからって裏切るかねぇ」

「後世の人間達が評価してくれよう!」

「裏切って国売った馬鹿ってね」

「貴様!」

「兜被らないで良いのかよ」

「貴様如き必要無いわ!」

「まぁ裏切りモンとして処刑されて街に晒すからどーでも良いんだけどね」

「掛かって来い!」

「お手柔らかに頼むぜ!」

「手を震わせながら強がるな!こわっぱ!《身体強化》!」


両手鎚を右手で持ちノッシノッシと前に出てくる。

俺も少しずつ前に出る。

旋斧将軍とかいう奴と同じくこいつも武器スキルレベルが高い。

しかし魔法使いではない、あいつよりかは伍し易いだろう。

いや待てよ、

魔法使いでもないコイツが旋斧と将軍として同列?

って事は魔法無くても強いって事じゃない?

・・・

くそっ!

最近こんなのばっかだな!

やがてお互い数mの距離までに近付く。

奴の腕に魔力が集まっていく。

更に魔法陣が顕現した。

どんどん展開していく。

面数の多い多面体だ。

そしてマチェーテより射程が長い両手鎚の範囲に入った。


「《マイティ・ストライク》!」

「《風載矢》」

「むっ!?」


閉じられている多面体だ。

相当の威力が籠っている。

俺も左手にマチェーテを構える。

メイスという獲物が大きくて狙い易かった。

マチェーテの先端を振り下ろされるメイスに合わせる。

マチェーテの先端がメイスを刺す・・・事は出来ず折れてしまう。

しかし《神経強化》で折れる端から次々に残った刀身をメイスに突き立ててゆく。

弾かれても《カウンター》で修正して突き立ててゆく。

最大攻撃力発揮地点、即ち俺の体の近くでやらずに振り下ろす途中でやったのも良かったのだろう。

でなければ勝負に負けていたかもしれない。

とうとう折れる刀身は無くなり柄に当たって俺の手首が折れる。

しかし更に踏み込んで《カウンター》を乗せつつ腕を差し出す。


(ぐううぅぅ!)


痛い!

だが腕の先から折れて行くが止まらない。


(何だ!?自ら腕を差し出すとは!?)


しかしそこまでの腕の犠牲と《カウンター》によるスキルパワー、

そして【ランク】Cになるまでに育ったステータスの恩恵、

それにミキがタイミングを合わせて放った矢に気を取られたのも有ったのだろう。

それ等が合わさり両手鎚に《マイティ・ストライク》というスキルパワーが乗った勢いを多少削ぎ、軌道を変える事に成功する。

軌道を変える、いや、《カウンター》により相手のパワーも利用して軌道を延長させた。

即ち、


ボグォ


振り切ったパワーはバルドル将軍の左足に命中する。


「ぐあああぁぁぁ!」


バルドル将軍の左足は完全に破壊された。


バンッ


入り口上部の木製の通風孔に《風圧波》が乗った矢は当たり通風孔を破壊した。


「「「「マコル(兄ぃ)(さん)!」」」」

「バルドル!」


バルドルは左足が使い物にならないので床に左手をつき体を支える。

すかさずバルドルの懐に潜り込む。

思わぬダメージを受けた奴よりも狙い通りに行った俺の行動の方が断然早い。

残った右足の膝を蹴る。

幾ら筋肉ムキムキでも関節は弱い。


グキ

「ぐお!」


遂に両手を床につく。

それでも鎚を手放さないのは流石だろう。

俺は右手を押し出し掌底を顎に入れる。


「ぐっ」


咄嗟に顎を引き顎に命中するのを防がれ頬に当たった。


「ぬあ!」


右手に持った両手鎚を振るう。

バルドルの背後にステップする。

ローキックを右膝に入れる。

徹底して右膝を攻める。

左足は完全に破壊された。

右足も破壊すればもう動けない。

バルドルも鎚を振り回すが上半身だけで、腕だけで振るうので早くもなく簡単に避けられる。

解体ナイフを抜いて鎧の隙間に刺し込む。


サクサクサク


「ぐおあ!」

「しっ、信じられん!あのバルドルが!?」


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