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HappyHunting♡  作者: 六郎
第13章 ハッピー・リバースデイ (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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ガッシャァーン


『何だ!?』


陣所に居た者達が音がした方を見上げる。


『マ、マコル!?』


王城の3階のある部分でカズヒコが窓を突き破って吹っ飛んでいた。


ドフォオオォォォ

グラグラグラ


遅れて来た竜巻が壁に当たり城を揺らす。


ブフォオオオォォォ


カズヒコが吹き飛ばされた窓から風がもの凄い勢いで飛び出してゆく。

セーラが叫んだ。


「マコル!」




ぐおおおぉぉ!

いきなり武技スキルとはやってくれる!

俺は戦闘用バックパックの袋口から鉤縄を掴み思いっきり上空に投げた。


カチッ


3階より上部の雨樋に引っ掛かったようだ。


ビシッ


ロープが張る。

振られて壁に着地した。


「野郎ぉぉぉ!」


ロープを手繰りながら壁を走り、吹っ飛ばされた窓に急ぐ。

勢いのまま窓に入り窓辺を踏み切って大男に飛び掛かった。




「野郎ぉぉぉ!」


そう叫びながら壁を走っていくカズヒコを呆然と見ているセーラ達。

カズヒコが窓に飛び込んで行った。


「だ、大丈夫そうだな」

「そ、そうですね」

「・・・陽動隊を急がせますか」

「うむ。そうしてくれ」




「カズヒコ!」

「はーっはっはっは!口ほどにも無いな!」

「くっ!」


ミキが矢を放つ。


パシッ

片手斧で軽く払われた。


「ふん。貴様等は生け捕りにして吐かせんとな。夜は4人共俺の世話をさせてやる」

「・・・」


ケセラが前に出る。


「ほぅ。まだ楽しませてくれるのか。じっくりといたぶっ!!」


カズヒコのドロップキックが炸裂して壁に叩きつけられた。


『カズヒコ(兄ぃ)(様)!』


間髪入れずに至近戦に移る。

相手は壁に叩きつけられた反動で崩された体勢を戻せていない。


「シュッ」


ローキックを膝にかます。


「ぐっ」


更に近付き足裏で踏みつけて板を割る様に横から膝を踏みつけていく。


「くそう!」


大男は壁を背にしているせいで片手斧を振りかぶれない。

出は早いが威力の無い攻撃を出していた。

《神経強化》で出の早い攻撃も《見切れ》る。

しかも膝を攻撃されつつなので下半身が不安定で尚更力が入らない。


「ぬがぁー!」


イライラが頂点に達したのか、大男は両手を広げた。

片手斧を持っているので相当幅が広い。

そのまま俺に突進して来る。

捕まえる気だ。

止むを得ない。

一旦離れるしかない。

片手斧の最大攻撃最適距離の内側が安全なのだがしょうがない。

飛び退き距離をおく。

大男がこちらに向き直る。


「殺す!」

「またか。語彙力ねーな。脳みそも筋肉なんだろ」

「俺を誰だと思ってんだ!」

「下に居た猪騎士の仲間?」

「・・・貴様。殺したのか?」

「ブヒブヒ言いながら死んでったぜ」

「ブッ殺す!」

「聞き飽きたっつーのっ!」


ゴウッ

ゴウッ


両腕から交互に振り下ろされる斧の空を切る音が凄い。

当たれば凄い威力だろう。

当たればだが。

頭に血が上って大振りになりしかも交互に振って来るので軌道も単調なものになっている。

とはいえ振りの速度とプレッシャーは相当で壁際に追い詰められてゆく。

だが引っ掛かる事が有った。

コイツの片手斧、全身金属で出来ている。

柄も金属だ。

勿論筋肉達磨だから威力増しの為に重くしたというのも考えられるが柄は木製にしてその分斧を金属にして大きくした方が武器としては良いんじゃないのか?

事実目の前の斧は少し小さい。

大男が持つと更に小さく見える。

俺はバックパックから細い紐を抜き取った。


「ふん!そんな紐で何をする!」


ブオッ


「ちっ」


マチェーテを抜いて斧を受けようとする。

ニヤリ

大男は口元を歪ませる。

俺は斧の刃の部分ではなく柄の部分にマチェーテを当てて受けた。


「掛かったな!」


大男は斧を引き、マチェーテを柄と刃の間で挟んで強引に引っ張って武器を奪おうとした。


「これで武器はな、いっ!?」


奪われると同時に斧を引っ張って振り上げた形になっている腕に向かって飛んだ。

その際紐を首に引っ掛ける。

大男を跳び越す途中で体を捻り背後に降り立ちそのまま紐を締める。


「ぐあっ!」


苦しんでいる大男は何度か背後の俺に向かって斧を届かせようとするが丸で届かない。


「ぐううう・・・」


とうとう斧を落として紐に手を掛けようとするが細い紐は首に食い込み掴む事が出来ない。

振り回そうとするが俺はコイツの背中を踏んで体重を足裏に掛けてロデオのように乗りこなして振りほどけない。

激しく動けばそれだけ酸素が消費される。


「がばばば・・・」


大男は壁に向かって走った。

そして背中を壁面に叩き付ける。


「ぐふっ!」


大男と壁に挟まれ、潰される。

離すか!

このまま絞め殺す!

ぶつかった拍子に腰帯に留めていた砂袋が落ちた。


「《土創造コントロールアース》」


砂が大男の目に入る。


「くあっ!?」


大男は砂を手で拭き取ろうとするが全てを取る事は出来ない。

依然苦しいままの大男は俺を圧殺する事を優先したのか、再び壁に向かって走った。

しかし目に入った砂を取ろうと藻掻いた拍子に方向感覚が狂い、目が見えない所為もあって適当に走った先は先程俺が落ちたステンドガラスの壁。

窓の底辺は人の胸元の位置付近に有るので乗り越えて落ちる事は無かったが俺は敢えて乗り越えた。


「があぁぁぁ・・・」


乗り越えて完全に建物から出てしまっているが壁に立って紐を思いっきり引っ張っていた。


「死ねぇぇぇ」




壁に立って首を絞めているのであろうカズヒコを見ながらセーラ達は呆気に取られていた。


「だっ、大丈夫でしょうか!?」

「だ、大丈夫でしょう。マコルを信じましょう。というか出来る事は有りません」

「そ、そうですね」


セーラが祈る様に手を組んだ。


「死なないで・・・」


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