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HappyHunting♡  作者: 六郎
第13章 ハッピー・リバースデイ (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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「攻撃開始ぃー!」

『うおおおぉぉぉ!』

「セルラムディ殿下!もっとお下がり下され!」

「ラーン!みなが戦っているのに安全な所に居られようか!」

「しかしセーラ様!」

「はーっはっはっは!豪胆で在らせられる!大公に相応しい御方ですな!」

「ファーダネ様!御諫め下され!」

「旗を!ドゥラグレ家の旗を高く掲げなさい!」

「はーっはっはっは!セルラムディ殿下此処に在り!者共!気迫で殿下に後れを取るな!」

『おおおぉ!』




東門を抜けて南門に向かったいたレネ率いる一隊。


《うおおおぉぉぉ!》

「始まった!者共!大戦になるかならないか!運命の分かれ道ぞ!続けぇー!」

「ウルマン様に続けぇー!」

『おおぉ!』


ドドドドドドドドド




南門の攻防戦。

通常なら防衛側が有利であるが、そもそも攻め入って奪った為に準備も補修も補給も出来ていない。

弓兵は居た。城の中ではあまり役立たないからだ。

しかし矢の数も既に使っていたので乏しく長くは持たないだろう。

そこにレネ率いる騎馬隊が門の裏から突撃して来た。

速度を維持しながら騎射しつつ通り過ぎて行く。


「うあっ!」

「くぅ!」

「壁の中から騎兵隊だとぉ・・・」


門の前に居た者達に若干名死傷者が出る。

騎射隊の後を目で追っていると後続の騎兵隊が突撃して来た。


「ぎゃあ!」

「ぐあっ!」


走り抜けつつ一撃を与えつつそのまま騎射隊と同じ方向に走り去ってゆく。

そしてその後に歩兵が突撃して来た。


「うああ!」

「次から次に!」


そこに騎射隊も戻って来た。


「城壁上の奴等を狙え!」

『おぅ!』


また走りながら弓を射る。

城壁上の兵士に動揺が走る。


「前も後ろも!挟まれた!」

「もう無理だ!降参だ!降参しよう!」

「白旗掲げろー!」


程なく南門はセーラ派に落ちた。




南門で軍を再編していたソルスキア軍。


「よし!取り敢えずここに陣所を設置して指揮を取ろう!」

「・・・畏まりました!」

「これからはセルラムディ殿下は此処を動かれませぬよう」

「しかし!」

「総大将はどっしりと動かない事も重要ですぞ!」

「・・・・・・分かりました」

「同じ作戦で他の門も奪取するのだ!」

「ははっ!」


〈クルァー!〉

「レイヴ!?」

「クアー!」


バサバサバサ


ファーダネ、クルト、レネも集まる。

ラーンの腕に止まった。

急ぎ手紙を読む。


「カホウヲアラソッテ テイマイハ ダイジンハ ト ミツドモエ」


「家宝を争って弟妹派と大臣派と三つ巴!?」

「家宝とは!?」

「ルンバキア大公になる者に代々継承される物で、大公の象徴です!」

「なるほど!それが有れば弟妹殿下も継承出来ると!」

「恐らくそうでしょう!」

「・・・大臣派とは!?」

「私達と仲が良くなかった大臣です。てっきり弟妹派だと思ってましたが」

「大臣も大公の座を!?」

「分かりません」

「・・・何れにせよ3つ巴であれば間に合う可能性が高まりました!」

「そうだ!奴等が争っている間に我々も参戦するのだ!」

「返信は!?」

「ヒガシ ミナミモンダッシュセリ ホカノモンモ ジカンノモンダイ。これで行きましょう!」

「分かりました!」

「グァ」

「頼むわね!レイヴ!」

「ガァー!」


バッサバサバサ




俺達は3階への階段を目指し廊下を進んでいた。

そこである部屋の前を通り過ぎようとした所、


「ん!?」

「どうしたの?」

「この部屋の中・・・何か感じないか?」

「この部屋?・・・弱いけど反応が有るわね」

「何の反応なの?」

「・・・ゴーストかな」

「「「「ゴースト!」」」」

「こっ、こんな所に幽霊!?」

「お城にゴーストって怖いよ!」

「よくある話です!」

「わわわ私は怖くなんかないぞ!」

「入ってみよう」

「「「「えー!?」」」」


ガチャリ

ギギィィィ


「お邪魔しまーす」


俺は恐る恐る呟く。

今は真昼間、とはいえ窓もないこの部屋は灯りも無く薄暗かった。

そして奥のより暗い場所に奴は居た。


『でたー!』


影が奥の棚の前に佇んでいる。

不定形で霞のような存在だ。

顔もあるような無いような、それが逆に怖さを煽る。


「たっ、たたた倒すの!?」

「そ、それがはっきりゴーストの反応じゃ無いんだよな!」

「あれがゴーストかぁ!」

「でもゴーストですよ!」

「ここ怖くないもん!」


奴の身体から腕らしきものが出てくる。


「あれは腕!?」

「だよな!」

「何か指してます!?」

「そう言えば!」

「ここ怖くないもん!」


ジィっと、腕で棚を指してしばらく経った後、奴は徐々に消えていった。


「消えた!?」

「反応も無いわね!?」

「襲って来なかったね!」

「何だったんでしょう!?」

「怖くない!」

「棚まで行ってみるか」

「「「「行ってらっしゃーい」」」」

「ウソだろ!?みんなで行こうよ!?」

「敵が来ないか見張ってないといけないし」

「そうだよ」

「そうですね」

「そうだぞ」

「いや!俺の感知範囲最大1kmなんですけど!?」

「ほら、早く行って!」

「援護するから!」

「見張ってますから!」

「私はここでみんなの盾にならねばな!」

「・・・クソが!」


俺は奴が居た場所まで恐る恐る忍び足で近付く。


「誰も居ませんよねぇ~、居ないなら居ないと言って下さいよぉ~」

「言う訳ないでしょ、馬鹿じゃないの」

「気持ちは分かるしねぇ」

「厳しいです、ミキさん」

「早く行け!」


棚の所までやってきた。


ドフォオオォォォ

グラグラグラ

ビクゥッ


止めろ!こんな時に!

・・・

ふーむ。

特に怪しい様子も物も無い。

ゴーストを討伐すると魔石が落ちるんだがな。

死んだ訳じゃなさそうだ。

それかゴーストじゃない?

魔物じゃないって事?

普通に幽霊?・・・ゾワッ

止めてくれよ!

緊迫した任務の最中なのに違う種類の緊張感で俺の心臓も流石に持たんぞ!

【VIT】値低いだろうし。

ん?

棚に気になる反応が有る。

そういえば奴は棚を指していたな。

指してた付近と反応が重なる場所には・・・これか。

一抱え程のボックスが置いてあった。

うーん。

何か意味が有るのか・・・持って行くか?

しかし城の中の物を勝手に持って行くのは窃盗罪に加え更に不敬罪、それに何やら幾つも付随してトンデモない刑が科されるかもしれん。

しかし、意味があるようにも思うし・・・持って行くか。

俺は抱えて持って帰った。


「何それ!?」

「これを指してたんだと思う」

「でも持って来る事ないでしょー」

「そうですわ。呪いとか有るかもしれませんし」

「呪い!?」

「何が入ってるの?」

「鍵が無い」

「「「「意味ねぇー!」」」」

「とりあえず収納して持って行こう。騒動が終わったら返せば良いし」

「うーん。まぁ迷ってる暇無さそうだし」

「じゃぁカズ兄ぃの責任で」

「そこは連帯責任でしょー」

「「「「嫌でーす」」」」


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