⑬-13-383
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「今だ押し返せぇー!」
『うおおおぉぉぉ!』
徐々に正規軍が押し戻し始めた。
「指揮官殿!2方向からの攻撃で被害が大きくなっています!」
「くぅ!」
「側面の馬車の敵は弓の命中率が甚だ高く、射られる度に確実に戦闘不能に!」
「くぅ!」
「加えて従来の馬車に無い初速で追いつけません!」
「むむむぅ!」
「そこのママのおっぱいがまだ恋しい指揮官!早く投降しないと被害が大きくなるだけです!」
「殺せぇー!」
「指揮官殿ぉぉぉ!」
その後しばらくして戦闘は終わり反乱軍の指揮官を捕らえた。
門を守っていた隊の指揮官と話す。
「本当に味方なのか?」
「この指輪が目に入らぬかっ!」
ファン
公家の紋章が浮かび上がる。
『おぉ!』
「こ、これは公家の!失礼致しました!」
「うむうむ、苦しゅうない」
「殿下は今どちらに!?」
「南にソルスキア軍と待機中である!」
『おぉ!』
「先ず様子を探らせる為に僕達を遣わした!誰か説明を!」
「はっ!弟妹派と将軍達が組んで謀反を起こしまして御座います!」
「「「「「な、何だってー!?」」」」」
「将軍だけじゃないのかっ!」
「はい!弟妹派と組んだ様子です!」
「何てこった!おい!本当なのか!」
「煩い!今に城は落ち、貴様等は私の下にひれ伏す事になる!」
「マーラ君!」
「はい!」
「鎖骨だ!」
「はい!」
グシャァ
「ぎゃあー!」
「もう1発食らいたいか?ん?どうだ?ん?」
「いえ!は、はい!その通りです!謀反です!」
「大臣も組んでるのか!?」
「そ、それは分かりません!」
「ふーむ。今確実なのは弟妹派と将軍が組んだって事だけだな!?」
「は、はい!その通りです!」
「確実な事だけ報告しよう!」
「そうね!」
ミキがホイッスルを吹く。
ピユイイィィィ
やがて上空からカラスが舞い降りて来た。
「クアァー!」
「よーし!良い子ねレイヴ」
「クァ!」
手紙を容器に入れ足に括り付ける。
「じゃぁセーラ様に渡して!」
「クルァー!」
バッサバサバサ
レイヴは飛び立って行った。
「今セルラムディ殿下に報告したぁー!」
『おおぉ!』
「諸君らは引き続きこの門を守りぃ!反乱軍を城に入れるなぁー!」
『うおおぉ!』
「指揮官殿!」
「はっ!」
「セルラムディ殿下に報告して公都に入街するように進言した!」
「ありがとうございます!」
「南門は確保済みだ!南門に人をやってこの門に援軍を送るように頼むと良い!」
「承知!」
「俺達は王城に潜入する!」
「えっ!?城は将軍が攻め入って乱戦になっている様子です!ここに居て殿下を待った方が宜しいのでは!?」
「殿下から様子を見て来るように言われている!君達は君達の本分を尽くせ!我々は我々の本分を尽くす!」
「使者殿ぉぉぉ!」
「馬車を置いて行く!守ってくれ!」
「畏まって候!」
「では諸君!勇敢なるルンバキア兵に栄光あれ!」
『栄光あれ!』
俺達は王城に急いだ。
「熱い奴等で助かったよ」
「冷静な人だったら思いっきり怪しまれるわね」
「中々、堂に入っていたぞ」
「止めてくれ。ガラじゃない」
「《偽装》も入ってたの?」
「少しね」
「グアァー!」
「カラスです!」
「こっちに向かって来ます!」
「レイヴよ!レイヴゥー!」
「クルァ!」
バサバサバサ
差し出したラーンの腕に止まった。
足の容器から手紙を取り出す。
「テイマイハ ショウグントクンデ ハンランス ミナミモンカラ トツニュウサレタシ」
「弟妹派が将軍と組んで反乱を起こした!?」
『な、何だって!?』
「南門から突入しろとあります!」
「突入?」
「どういう事でしょう?」
「・・・味方が劣勢で援軍を求めているのでは」
「それだ!城が落とされれば弟妹派が実権を握る!殿下が反乱の首謀者にされる!」
「・・・勝てば官軍ですな」
「ファーダネ様!急ぎましょう!」
「うむ!騎兵を先発させろ!」
「・・・はっ!レネ!騎兵を率いて南門を確保せよ!」
「畏まりましたぁー!騎兵隊ぃ!集合せよぉー!」
『おおおぉ!』
レネオーラ・ウルマンも兜を被りながら騎乗し騎兵隊の先頭に移動する。
「これからオラキアの南門を確保するー!我に続けぇー!」
『うおおぉぉぉ!』
ドドドドドドドドド
「我々も歩兵を連れて向かう!クルトは殿下をここで御守りしろっ!」
「・・・はっ!」
「いえ!私も参ります!」
「殿下!?」
「これはルンバキアの!私の戦争なのです!私が参らずして誰がルンバキアの為に戦いましょうや!」
「しかし殿下!」
「良くぞ申された!クルト!全軍出撃だ!」
「・・・ははっ!歩兵隊全軍出撃せよ!輜重隊は軍用品を回収した後合流せよ!」
『ははぁ!』
「殿下。返信は?」
「どうしましょう」
「全軍オラキアに向かった。先ずはそれだけで良いでしょう」
「ファーダネ将軍」
「我々があれこれ指図するより自由にさせた方が良いでしょう」
「・・・・・・そうですね」
ラーンは手紙を書いてレイヴに託した。
「お願いね、レイヴ」
「グァ」
「それっ!」
ラーンが腕を振って勢いを付けたレイヴはオラキアに羽ばたいて行った。
セーラの背後で忙しなく兵士達が動き回っている。
それに背を向けセーラはオラキアに向かって呟いた。
「・・・・・・マコル」




