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HappyHunting♡  作者: 六郎
第13章 ハッピー・リバースデイ (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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夕食後。

離れの部屋でまた各々作業をしていた。

離れの家はそんなに大きい物ではなかったが僕達は別に気にせずに使っている。

みんな金持ち出身でも無かったからだろう。

作業部屋も各自にそれぞれ、という訳にはいかず同じ部屋で作業をしていた。

そんな中俺も馬車の改造部品を作っていたのだがナメクジン村での失敗を思い出していた。

あの時は土魔法のレベルが低かったから失敗したのではないか。

そう思っていた。

それでふと壁に足を掛けて魔力の吸着を意識してみる。


「何してるんだろ」

「さぁ」

「あぁ。ナメクジン村でもやってたわね」

「何の実験だ?」

「壁を歩くとか何とか・・・」

「「「・・・」」」

「へ、へぇー・・・」

「そ、そうですか・・・」

「ま、まぁカズヒコだしな・・・」

「「「そうね」」」


うん、以前よりも吸着力が高まってる気がする。

壁を歩くなんて現実的には無理だ。

地面を歩けるのは地面を踏んだ反発力を受けて足を前に出すからだ。

つまり壁を踏むと壁からの反発力を受け離れる。

しかし壁から離れると落下してしまう。

この矛盾を解決するのに魔力、スキル、そういったものを動員するんだ。

つまり反発力を走る方向に変え、《魔力操作》と土魔法で壁の魔力と吸着。

これを足の裏で交互に行う事で壁を走る事が出来る!はず。


「そい」


俺は駆けた。

壁を。


『おぉ!?』


しかし天井に届こうとする所で、


ドサァ


「お・・・おぅぅぅ」


受け身を取るが背中を強打する。


『あ~ぁ』

「最初は良かったんだけどね」

「天井は無理だよぉ」

「でも壁は登れましたわ!」

「ステータスが高ければ出来そうな気もするが」


ぐぅ・・・御尤もな意見だ。確かにステータスが高ければ出来そう。

ってか天井まで行ったのは殆どステータスの御蔭だと思う。

その日は打ち身に呻きながら床に就いた。




翌朝。

狩りに行く前に燻製器の前でレイヴに話す。


「お前に大事な任務を与える!」

「クルァー!」

「俺製特別燻製肉の作成を他の動物から守るのだ!」

「クァ!」

「褒美は勿論!特別燻製肉だ!どうだ?」

「クァー!」

「そうかそうか。じゃぁ任せたぞ」

「グァ」

『・・・』

「大丈夫かしら」

「最近鳥籠無くても逃げなかったし大丈夫じゃない?」

「領主の屋敷でも大人しくしてましたし」

「燻製肉にも満足してるようだし、大丈夫だろう」

「じゃぁ行くぞー」

『はーい』




僕達は森で魔石採集を終え、開けた土地に居た。

グライダーの実験だ。


『でっか!?』

「大きいと言うより長いわね、翼が」

「翼の幅はそんなでもないねぇ」

「立体的になりましたね」

「座席も作ったのか?」

「あぁ。安定するからな」

「車輪も付いてますね」

「重くなるんじゃない?」

「その分、翼を長くしたんだ」

『へぇ~』

「翼は大丈夫なの?」

「多分な。この1カ月近くの護衛依頼中、風洞実験を繰り返したからね」

「そういえばやってたね」

「じゃぁまた私達が助走すれば良いのね」

「あぁ。頼むよ」


4人にロープで引っ張ってもらって結晶魔石に魔力を注いで風を作るとまた凧のようにフワリと浮いた。

本当にフワリと。

翼の厚さもあって重量感が増したが、それでもフワリと浮いて大空に吸い込まれていった。


『ひゃあー』


下からまた変な声が聞こえたが無視だ。

助走用のロープを離し結晶魔石への魔力を増やすと速度が増していった。

大きく言えば推進力と揚力。

この2つで空を飛べる。

推進力は結晶魔石で、

揚力は翼で、

まだまだ完成には遠いだろうが翼を得たグライダーは高く、より高く昇って行った。


「《魔力感知》範囲を超えたわ!」

「60mを!?凄いね!」

「あんなに小さく・・・」

「人は飛べるんだな・・・」




「ヒィーハァー!」


かなり昇って来たぞ!

良い感じだ!

翼も安定している!

サーヤ君とマヌイは良い仕事をしてくれた!

バレンダルの街も見える!

ん?

街も見える?

い、いかん!

また騒動になる。

また怒られる!

急いで実験をしなくては!


俺は座席の後方に用意してあったパラシュートを落とす。

人間の大人程の重りを付け、恐らくそこそこ魔力反応が強いだろうナメクジンの魔石を付けて追跡出来るようにしてある。

よし!

そろそろ降りるか。

地上から追跡するとしよう。

俺はパラシュートが落ちる様子を見ながら飛び立った場所に螺旋を描きながらゆっくりと降りていった。


「カズヒコやったじゃん!」

「凄いよ!」

「高く!速く!成功ですね!」

「まさかあんなに高く飛べるとは!」


彼女達も嬉しそうだ。

しかし実験を忘れてはいけない。


「パラシュートの魔石を追跡するぞ!」

『了解!』


同じ実験を何度か繰り返しパラシュートを回収して街に帰る道中、落下の様子を話し合い今後の資料とする。


「今度は実際に着けて落ちてみるか」

『えっ!?』

「落ちるって・・・」

「湖や沼に落ちるんだよ、勿論」

「そ、そうだよねぇ」

「当り前だろ。いくらステータス高くても失敗したら死ぬわ」

「ではタリルコルさんや商員に湖の場所を聞きますか」

「そうしよう」




「グルァー」


離れに帰って今度は馬車の改造だ。

菊池君も、街の印の部分を壊して補修して作っている。

この分だと速度重視馬車が作れるのも遠くはないだろう。

サーヤ君とマヌイにはパラシュートの改修と新たな物の発注をした。

僕等の様子をレイヴが肉をついばみつつ眺めていた。


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