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HappyHunting♡  作者: 六郎
第13章 ハッピー・リバースデイ (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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「今日、君達を呼び出したのは他でもない」

「報酬の支払いですよね」

「その実力を見込んで依頼をする為だ」

「「「「「出たー!」」」」」

「報酬を支払わず、新たに依頼するのは心苦しいのですが・・・」

「そこは相手は国なのです。取りっぱぐれる事は無いでしょう」

「踏み倒される可能性も高いですけど」

「セルラムディ殿下が我々の下に来た理由は知っているとブルーフ殿に聞いたが」

「はい。後ろ盾ですよね」

「うむ。それでソルスキア軍がセルラムディ殿下を奉り公都オラキアに出陣する事になっている」

「そこからは私が」

「はっ」

「道中の私の護衛を依頼したいのです」

「・・・・・・なるほど。ルンバキア関係者はブルーフ様しか居られませんしね」

「えぇ」

「ちょっと相談をしても?」

「構いません」

「失礼」


僕等は席を立って止まり木の近くに行き、話し合いを始める。


「どうする?」

「軍も一緒に行くんでしょ?安全だし良いんじゃない?」

「だよねぇ。どうせ荷車を取りに行く訳だし」

「食料等の物資も運ぶ予定でしたし」

「うん、私も良いと思う」

「ファーダネ様」

「何か」

「道中の護衛だけですか?」

「これは内密にして欲しいのだが」

「秘密保持契約はまだ有効ですよ」

「うむ。オラキアに着いたら殿下は大公に即位なされる。もしかしたらその護衛もしてもらうかもしれん」

「「「「「えっ!?」」」」」

「即位・・・って王城で、ですよね?」

「はい」

「一介の冒険者が王城に入っても良いのですか?」

「道中の襲撃は怖くない。怖いのは即位の式なのだ。式であれば軍は手を出せん。暗殺者が狙うとするならば式だろう」

「僕等は変装して紛れ込むと」

「そうなるでしょう」

「ちょ、ちょーっと待ってくださいね」


「どーするよ!」

「大変な事になったわね!」

「お城だって!豪華だろうなぁ」

「夢見る女になってんじゃねーぞ、マヤ」

「でも憧れますわ」

「1度しか行ったことが無い」

「そういやセリーナは騎士だったな。叙勲された時にか」

「そうだ」

「そうか、俺も行ってみたい・・・ってそんな事はどーだっていいんだよ!」

「お城での護衛。変装。騎士?」

「えぇー!凄いね!」

「ワクワクします!」

「少女になってんじゃねーよ」

「しかし城であれば守り易いのではないか?」

「逆だ。貴族やらに気を使うと散漫になりがちだ」

「なるほど。私達は外で倒してきたものな」

「そうだ。しがらみが無いほど実力を発揮し易い」

「それは有るわね」

「それに」

「「「「それに?」」」」

「もしも。もしもだ。失敗したらその責任は・・・」

「「「「!?」」」」

「縛り首か!?」

「「「ぎょっ!」」」

「失敗しても極刑が無いように取り計らいます」

「セルラムディ様」

「でもそれじゃぁ護衛の重みが軽くなるでしょう。関係者もうんとは言わないでしょうし」

「城での護衛は勿論近衛騎士の仕事になります。あなた達にはその補助をしてもらうつもりです」

「補助か」

「補助ね」

「だったら」

「良いかも?」

「そうだな」

「クア」


5人は頷いた。

席に戻る。


「条件が有ります」

「聞きましょう」

「補助ではあるが、部下ではない。僕達はセルラムディ殿下の直属、それが無理ならブルーフ様の直属にして頂きたく」

「あなた達の持ち味が生きない?」

「仰る通りで。僕等は息苦しいのが嫌で冒険者をやっています。命令されるのが嫌で旅をしているんですよ。型に嵌められたら実力が発揮出来ません」

「・・・・・・ラヴィ」

「はっ。殿下直属は無理でしょう。やはり冒険者だと無理だと思われます。しかし私の直属であれば従者として無理矢理ねじ込めると思われます」

「そう。ではそうしましょう」

「それで護衛なのですが」

「えぇ」

「寝所や憚りも、ですよね」

「「「「「・・・」」」」」

「旅の道中であれば僕等も護衛出来ましたが、城になると・・・」

「・・・・・・そうですね」

「ご存じかと思いますが。僕の能力であれば敵の察知は可能です。しかし僕等の入れない場所であると・・・」

「であれば私に言うが良い。私が殿下の下に駆け付けよう」

「でしたら私レネオーラ・ウルマンも駆け付けます!」

「女性騎士であれば構わないでしょう。ラヴィは近衛騎士ですし」

「分かりました。あとですね」

「まだあるのかい?」

「はい。僕等が、特に僕ですが。城を自由に歩き回ってもよろしいですか?勿論盗みを働いたりはしないとは思いますが」

「はっきりしないと言いきれんのか」

「・・・・・・良いでしょう」

「宜しいのですか殿下!?」

「ラヴィ。裏切った街主の街の宿を覚えていて?」

「はい、勿論です」

「マコルは宿の食事に毒を入れ、宿の殆どの人を眠らせて私達を逃がしました」

「「「宿の人間に毒を!?」」」

「マコルは必要であれば決断し実行する覚悟が有ります。私を守る為の覚悟ならばマコルの行動の責任を取る覚悟を私が持つのは当然です」

「・・・・・・殿下」

「それにあの宿でもそうでしたけど。マコル、あなたは見付かるようなへまはしないでしょう?」

「・・・・・・なるべくね」

「ふふふ。他に無いかしら」

「最後にもう1つ」


セーラは目を瞑って頷いた。


「僕等の従者を連れて行く許可をください」

「従者?」

「従者は城には入らないようにします」

「まぁ、それであれば構いませんが。何の為か聞いても?」

「僕達はオラキアで店を持とうと思いまして」

「まぁ。商店を?」

「はい」

「しかし行商人で冒険者だろう?旅は止めるのか?」

「いえ。店舗だけ買いまして後は人に任せようと。素材は僕等が狩って持って行けば良いですし」

「その店舗の人員という事かな?」

「その通りです、ファーダネ様。先ずは護衛要員ですけどね」

「その護衛要員も道中私の護衛を?」

「勿論です」

「でしたら私が雇いましょうか?」

「いえ。あくまで僕等が雇うので僕等が金を払います」

「えぇ。それは構いませんけど」

「では僕等の条件は以上です」

「分かりました。契約しましょう」

「はい」


僕等はお互いに契約書にサインして保持する。


「後、箱馬車の残骸をお返ししたいんですけど」

「えーっと・・・」

「・・・衛士に案内させて受け取らせましょう」

「ありがとうございます。あとこの死体の装備は頂いてもよろしいでしょうか」

「構わないよ。死体は貰って良いのかね。我々としては利用出来るし利益も出るのだが」

「どうぞどうぞ。僕等には利用出来ませんから」

「そうか、すまんな」

「お役に立てれば幸いです。ではそういう事で」

「はい。依頼受理、感謝します」

「結構!出発はまだ先になる。それまで君達も準備を整えてくれ」

「畏まりました」




カズヒコ達が部屋を出て行った。


「相変わらず条件が細かいですね」

「条件を詰めない馬鹿よりマシだ。そういう輩はそういう状況に陥ると何だかんだ言って働こうとしない。最初に条件を詰めていればこちらも当てにしなくて済む。期待せずに済むし労力の無駄にならずに済む」

「・・・あいつ等は任せた依頼は結果を出す。大盗賊団でもそうだっただろう?レネ」

「はい。従者も自分達で雇うと。妙に義理堅い所も有りますね」

「キルフォヴァでも活躍したと聞いています」

「「「キルフォヴァ!?」」」

「マコル達は参戦していたのですか!?」

「えぇ。その活躍でフリーエの目に適い、私の護衛に選ばれたのです」

「悪魔をも倒したとフリーエ様からの手紙に」

「「「!?」」」

「デーモンスレイヤーか。なるほど、こいつ等を討てる訳だ」


ファーダネの視線は床に転がっている者に向けられていた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 今回の依頼は、セルラムディ殿下じゃなくファーダネ伯爵なのだから今まで全く報酬が支払われていないこともあり、伯爵から前金として半額程受け取っておくべきじゃないの。確かに、金銭的に困ってい…
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