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HappyHunting♡  作者: 六郎
第13章 ハッピー・リバースデイ (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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⑬-02-372

ベルバキア公国公都ムルキア、ルンバキア公国公都オラキア

⑬-02-372




「将来の方向は分かったが取り敢えずはどうするのかね」

「先ずはタリルコルさんとムルキアのウリク商会との取引の開始ですね。僕からウリク商会へ話してビグレット商会との関係を築かせます」

「ふむ」

「ベルバキアとの山を挟んだ国境街にそれぞれ倉庫を買いましょう」

「一旦そこに集めるのだな」

「えぇ。ゆくゆくはその街のどこぞの商会を傘下に入れ中継の街にしましょう」

「うむ。それが良いだろう」

「出資はラグリ、ウリク、ビグレット商会の3商会で出します」

「ふむ。2つの中継街の倉庫を共有する訳だな」

「えぇ」

「分かった。ならば直ぐに中継街に人を派遣して物件を調べさせよう」

「お願いします。オラキアの方は僕等が拠点を持ってからという事で」

「拠点を持ってからは同じ流れ、という訳だな」

「その通りです」

「うむ。オラキアには何時行くのかね」

「今特に依頼も無いのでここで休んでから行こうかと」

「そうか。ならその時にワシの部下を何人か連れて行くと良い。拠点を持った時の拠点の護衛にすれば良かろう」

「なるほど。元々拠点を持った時に商売人員はタリルコルさんに相談しようと思っていたんですよ」

「うむ。それなら拠点を持ってから連絡をくれれば派遣しよう」

「お願いします。それで3つの商会で倉庫を共有します。倉庫が一杯になるなんて滅多に無いでしょう。遊ばせておくのは勿体ないですし」

「使用料も取れるから金も稼げると」

「格安でね」

「ふむふむ。空いてる空間で金を稼ぐ、か。元々商人は余裕をもって倉庫を所有しているからな。必然的に空きは必ず出るのだ」

「それで僕等がオラキアで拠点を持ったとして・・・今後の事も考えて各商会に伝書鳩の飼育を始めたいと思ってます」

「ほぉ、伝書鳩か」

「えぇ。情報の伝達を人力にするとどうしても時間が掛かります」

「そうだな。しかし伝書鳩の確保と飼育係、餌代やらで結構な額になるな」

「えぇ。しかし早く情報が分かれば他の商人を出し抜けます。キルフォヴァの場合、食料武器弾薬を運べば高く売れたでしょう」

「でも安く売るのが目的なんじゃないの?」

「例えばだよ」

「ふーん」

「悪魔がどこそこの街で倒されたと聞けばここの商人の誰よりも早く素材確保に行けるだろ」

「そっか」

「都の大手の商会が使っていると聞いてたが、なるほどな」

「一般的じゃないんですか?」

「金が掛かるからな。結局は自分で足を運ぶ訳だし」

「へー」

「では設置するとして手始めに・・・」

「退役軍人や引退した冒険者等の中から《伝書鳩》スキルを持つ者を雇いましょう」

「現役を雇わずに?」

「えぇ」

「何故かね」

「退役軍人や引退冒険者等は普通雇われないんですか?」

「そのスキル専門の職に就く事は滅多に無いな、現役に任せるのだから。他の仕事をしつつ、といってもそれも専門の現役に任せる。結局は畑を耕しながら小遣いを稼ぐといった所か」

「へー。じゃぁ比較的早く出来そうですね」

「うむ、いけるだろう」

「あと子供を弟子に就けたいですね」

「孤児か?」

「えぇ。《伝書鳩》に興味を持つ子供達に教えながら飼えば子供も早くスキルを習得出来るでしょう」

「ふむ」

「《伝書鳩》だけに限らず職人も商人も、子供達に触れさせる事で興味を持って自分からその道に進もうとするでしょう」

「無理やりは嫌いなんだな」

「えぇ。無理やりやらせても良い結果にはなりませんよ。厳しいのとは違います」

「ではどうやって興味を持たせる?」

「体験会とか、あと今は使っていない道具とかを孤児院に寄付するとか。子供達が触れられる機会を作る事、ですかね」

「ふーむ。それ位なら直ぐに出来そうだな」

「後は孤児院ですか。この街の孤児院の管轄は?」

「教会だな。八神教の。ワシも時々寄付しているが」

「待遇は?」

「何処も同じようなものだよ。良いとは言えんな」

「では僕達がお金を出すので教会関係者の方は寄付集めに回らない様に説得して下さい」

「ほぉ?」

「教育に専念してもらう為です。文字の読み書きを教えてもらいます」

「ふむ。商会に雇う為だな」

「はい」

「職人道具などもワシが寄付しよう。それで将来その道に進みそうな子供はワシの所で面倒見よう」

「そうして下さい」

「・・・でもみんなじゃないんだね」

「全員は無理だ・・・今はな」

「うん。通商同盟で儲けてからだね?」

「そういう事だ」

「うん、分かった」

「それからタリルコルさん」

「うん?」

「以前村を作ろうとしたでしょう」

「あ、あぁ。あの時だな」

「今後の事を考えると正式に村を作った方が良いと思うんですが」

「・・・何か有った時の為にか」

「えぇ」

「・・・そうだな。それにバレンダルは領都。下の者達が住むには難しい。何とか生きている、そういった暮らしの者達が大勢いる」

「特に獣人に」

「そうだ。その者達を集めて村を作るか」

「出来れば北西に作ってもらいたいんですが」

「何か訳でも有るのかね」

「ネムリマイタケの森に近いので。それにベルバキアに向かう道中でも有りますし」

「そうだな。それが良いだろう」


「やれやれ。マヌイが帰って来たと思ったらとんだお土産を持って来たな」

「えへへ」

「しかし将来に夢が持てるものだ。商人は将来の利益を求める職業だ。難しくはあるがやりがいがある」

「獣人を助けていたタリルコルさんならそう言うと思ってましたよ」

「ブフー!見透かされてた訳だな」

「将来的には通商同盟は限られた人間しか知らないネットワークになるでしょう。傘下の商会は親商会が何をしているか知らずに協力している形になる。しかしそれで良いと思ってます」

「全員が全員この理念に賛同するとは思えんからな」

「はい。ただ、金を稼げば同盟の利益になる。その形を作ります」

「そして南部北端国を助けると」

「仮に国が負けても構いません」

『えっ!?』

「時間を掛ければ我々の勝ちです。干上がらせます、北部を。例え北端国が滅んでも通商同盟は滅びません。国は滅んでも人は滅びないのです」

「・・・アルゴ君・・・君は」

「僕達が生きている限り、僕達は負けないのです。戦争で勝つ必要は無い。負けなければ良いのです」

「・・・」


「カァー」

「あっ、そうそう。このカラス、伝書烏なんですよ」

「何!?」

「クァ」

「なので今後このレイヴから連絡すると思うので・・・まだ手懐けてる最中ですが」

「グゥ」

「も、もう少しかかりそうですけどね」

「う、うむ。そうか。その時は宜しくな、レイヴ」

「クァ」




「殿下を公都オラキアからバレンダルまで護衛・・・話を聞くと大変な旅だったようですが」

「えぇ。毒殺や街道での待ち伏せ、宿を夜襲され、村に頼まれた魔物を討伐した夜に村人達に家に火をかけられ、侍女に裏切られ、街軍と戦闘し、え~っと・・・」

「「「・・・」」」

「た、た、大変でしたな」

「その護衛の冒険者が護ってくれました」

「ほぅ・・・結構な腕を持っているようだ」

「えぇ。『フォー・キングス』も討ち果たしましたから」

「「「ふぉ、『フォー・キングス』をっ!?」」」

「御存じでしたか」

「ソルスキアでも活動していましたから・・・そうか死んだか・・・」

「ファーダネ閣下。ベドルバクラの《爆鎖》持ちもその者達が討ちました」

「「「!?」」」

「何と!《爆鎖》持ちを!?そうか!それは朗報。諜報だけではなく腕も立つ厄介な奴だったが・・・そうか死んだか」

「ファーダネ様!幸先が良いですね!」

「あぁ、その通りだ。分かりました殿下。その者達を護衛にしましょう。私も会ってみたいですし」

「あ、それは・・・ちょっと・・・どうかしら」

「如何なされました?」

「閣下。少し・・・その・・・難が有る者達でして」

「多少なら構わんよ。冒険者ならそんなものだろう」

「他の者達は問題無いのですが・・・リーダーの男が少々、というか結構・・・」

「構わん。どうせ同行するのだ、しかも姫殿下の護衛でな。顔合わせはしないと不味かろう」

「は、はぁ・・・殿下?」

「そ、そうね。大丈夫だと思います、多分。いえ、きっと・・・お願い」




僕達はビグレット商会系列の宿で羽を伸ばしていた。

みんなベッドで寝転がっている。


「やーーーっと終わったって感じだな」

「カァー!」

「ホントねー!」

「長かったねー!」

「今までも宿に泊まっていたとはいえ護衛中でしたから気が抜けませんでしたしね」

「そうだな。しかも公女様だったし」

「ケセラとしては達成感もあるだろう」

「うん」

「どうだ、ケセラ」

「うん?」

「ファーダネさんが居るのなら推薦しても良いが・・・」

「いや。私は家族を得た。軍属に戻るつもりは無い」

「・・・そうか」

「しばらく休む?」

「そーだなー・・・」

「どーするー・・・」

「どーしよー・・・」

「どーしましょー・・・」

「どーするのだー・・・」

「クァ」


程なくみんな眠りに落ちた。


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