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HappyHunting♡  作者: 六郎
第2章 冒険者 (コンテ:カズー、ミキティ)
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年が明けて元旦。

街は新年の祝いで賑やか・・・ではなく、家族とゆっくり過ごす風習らしい。

出店も殆どなく静かだ。

こんな日でも出歩くのは、我々冒険者とその関係者くらいなのだろう。


昨晩のマイタケ鍋を堪能し今日は休みにしようかとも思ったが、「あれをいつでも食べられるように稼ぐんです」と張り切ってるので頑張ることにした。


「でだ、菊池君」

「はい?」

「ちょっと相談なんだが」

「なんでしょう?」

「2人で断酒を誓わないか」

「断酒?まぁ、良いですけど、そもそも飲んでないですし」

「同僚と再会した時と、送別会の時だけか」

「その2回だけですね」

「僕達は冒険者という命を懸ける職業なわけでしょ」

「はい」

「酒に酔って失敗って有り得ないと思うんだよね」

「有り得ないですね、命賭けてんのに」

「まぁ、冒険者だからこそ酒を浴びてそれまでを忘れてとか、死んだ仲間を思ってとか分かるんだけど」

「いかにも冒険者的ですね」

「それで失敗して直ぐ仲間の後を追うとか洒落にならんし」

「そもそも2人共、普段お酒飲まないからあまり関係無いんじゃないですか?」

「呼ばれたり、ゴチになったり。機会はあると思うんだよね、冒険者だから」

「なるほど。そういう席でも飲まないって事ですね」

「あぁ、断じてな。付き合いが悪いと言われようとも」

「まぁ、先輩はそういうの関係無いですもんね」


「前世で飲酒運転ってあっただろ?」

「えぇ」

「あれは何故起こるかというと、酒を飲むから車に乗ってしまうんだよ」

「・・・当然でしょう」

「いや。飲む前は飲んだら車には乗らないって思ってるんだよ。だけど飲んで判断力が落ちるから乗っても大丈夫って思ってしまうんだ。言ってること伝わるかな?」

「飲んで理性的な判断力が出来なくなってしまうってことですか」

「あぁ。特に飲酒を無理やり我慢してる人ほど、飲んだ時に自分に甘くなる」

「今日ぐらいはいいだろう、的な?」

「だから今後飲まない、と決めないと。昨日みたいに偶に高いもん食べるとか、他の嗜好に変えるとか」

「それが難しいんでしょうけどね」

「まぁな。僕達は幸い飲酒しないからこのまま断酒しよう」

「了解です。あっ、おいしいモノは食べていきましょう」

「あぁ、街外では殺伐としてるからな、街内ではほっとしたいね」


「自炊とかどうします?」

「自炊か。出来ればいいんだろうけど」

「今後野宿とか有るかもしれませんよ」

「そうだなー。休日の昼は作ってみるかい?」

「そうですね。旅の途中で食材とか見つけても価値が分からなきゃ素通りするかもしれませんけど、市場に買いに行くことで価格も知れますし」

「だね。行商を目指すんなら色々な商品を知っておかないとな」




狩場に着いてゴブリンを探している。

森はすっかり冬の色合いで、ここらは雪は滅多に降らないらしい。

だがやはり寒いのか、幼虫は最近見かけなくなった。

魔物に遭遇する頻度も以前ほどではない。

落葉樹を主とした森なので枯れた木々などは見られないが、所々枯れた枝が見える。

そういうのを薪用に集めるのも多少の収入にはなるようだ。


「寒いせいか魔物も少ないね」

「えぇ、良い事なんでしょうけど。加えて野生動物も少なくなってますし」

「魔幼虫がいないのは他の魔物には厳しいんだろうね。食物連鎖の下層にいるんだろうし」

「ですねー。それがひいてはゴブリンの減少に繋がるんですかね」

「ここら南には山は無いから何処に住んでるんだろうかね」

「地下・・・ですかね?穴掘ってとか?」

「あいつら地下住居作れるの!?」

「道具は自分達では作れないらしいですけど利用は出来るようですよ」

「こえ~、ダンジョンじゃん」

「そこまでガッツリしたものじゃなくホントに寝るだけの穴らしいですけど」

「あっ、居たぞ。ゴブリンだ」


僕達は光の反射や影に気を付けながら潜みつつ俺は罠を作っていた。


「でも何でゴブリンって赤黒いんでしょうかね?」

「前世のゲームや小説とかでは緑だったからね。最初違和感があったな」

「ですよね、ギルドの図鑑では色着いてないですからね」


罠の設置が終わる。


--------------------

《罠》を習得しますか?

--------------------


「ん!?な、なん「いつも通りでいいですよね?」あ、うん『罠を習得しました』あっ、えっ!?」

「どうしました?」


俺は慌ててステータス画面を確認した。

そこにはスキル欄に《罠》が登録されていた。


-------------------------------------

頑健Lv2、病気耐性Lv1、殺菌Lv2、隠蔽Lv2、魔力感知Lv2

魔力検知Lv3、魔力操作Lv2、見切りLv1

雷魔法Lv1

罠Lv1←New

-------------------------------------


「あああぁ!!」




「なんか・・・すみません」


事情を聞いた菊池君が俺の叫びで集まってきたゴブリンの魔石を取りだしながら謝ってきた。


「いや、君のせいじゃない。気にしないでくれ」

「でも・・・」

「ちょっと俺も動揺して声に出てしまった。すまない」


酒を飲んで判断力を失うなんて、という話の後に我を忘れて叫んでしまった。反省しなければ。


「・・・スキル枠、埋まっちゃいましたね」

「・・・あぁ」

「武器スキルとか、欲しかったんじゃないですか?」

「ぶ、武器スキルなんて・・・はっ!必要ないね!」

「え・・・でも」

「んなモンなくても殺れるってところ証明して見せるさ。魔犬でな」

「魔犬で・・・ですか」

「なくても今までやって来れたんだから大丈夫だって!」

「先輩・・・」

「《魔力感知》に《隠蔽》に《罠》か、スカウトだな。まー、最初の頃にもレンジャーって言ってたし、大して違わないから良いんじゃねーかな」

「私も・・・殺りますね」

「君は《弓術》とか取った方が良いのかな?クロスボウでも習得できるのかな?」

「出来るっぽいですよ。弓も使ってみます?」

「いや、クロスボウで習得してある程度Lv上げてからでいいんじゃない?弓は難しいらしいからスキルで補助するみたいな」

「あっ、それ良いですね。クロスボウは射程が短いですけど弓なら長くなりますし」

「わざわざ難しい弓で《弓術》取らなくてもね」


「マイタケは・・・今日は止めときますか」

「えっ?なんで?」

「え・・・精神的ダメージは・・・」

「ふっ、大丈夫だよ。この程度で影響するようならこの先冒険者なんてやっていけないさ」

「ま、まぁ。先輩がそう言うのならいいんですけど。無理はしないで下さいね」

「無理をしないとやっていけないのが冒険者。とは言ってもその辺ちゃんと《見切る》から安心してくれ」

「は、はぁ」

「まだ気にしてんの?」

「そりゃー・・・」

「じゃぁ、頼みがあるんだけど」

「何です?言ってください!」

「歯磨きの後《殺菌》する時、口を開けてさせてくれ」

「断る!」


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