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HappyHunting♡  作者: 六郎
第12章 グッドモーニング (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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ミキとマヌイも、危ない場面は有るものの順調に屋上の敵を射殺していた。

しかしそこへ、


「不味い!」


ラーンが叫ぶ。

ケセラが屋上から正面に注意を向けると開け放たれた門の前に衛兵と街軍兵によって陣形が組まれていた。

槍を持っている者も居る。


「このまま突っ込むと槍で馬が刺され停められる!」

「速度を下げて!」

「どうするのだ!?」

「マコルを信じましょう!」




俺は走っていた。

屋根の上を。

偶に屋根じゃなくバルコニーの家屋もあったが。

走りながらも視界の端に門前に集結している兵士達を認識する。

門にはもう直ぐだ。

後方に居る馬車は速度を落としたか。

ケセラだな、良い判断だ。

期待に応えねばなるまい!


ビシュッ


クロスボウで放った矢が屋上の狙った的に命中すると走る方向を変え屋根から跳躍した。

空中でミキに視線を投げ、同時にクロスボウも彼女に投げる。

更に空中で石灰弾を何個か取り出し手に握る。

空中を飛んで来る俺に門前の兵士達は全く気付かない、気付けない。

有り得ない角度から突入され吹っ飛ぶ兵士達。


「おぅあっ!?」

「うあっ!?」

「ぎゃっ!」


飛び込んだ衝撃は兵士で緩衝されそのままの方向に転がり更に衝撃を逃がしつつ兵士団から離れると同時に石灰弾を投げつける。


「ぎゃあああ!」

「ぐあああ!」

「なぅああぁぁ!」


水分に反応して高温に焼かれる兵士達。

そして、


「ぐっふ!?」

「おぅふ!」

「がふっ!」


無詠唱による連続《巨人タイタン中指フィンガー》により次々吹っ飛んでいく兵士達。

落とした槍を拾い横一文字に持ち兵士団に突入する。


「おらあぁぁぁ!」


槍で押して兵士の一団を門から遠ざける。

その間にも次々《巨人の中指》で吹っ飛ばされていく兵士達。

そこに馬車がやってくる。


「マコル!」


ラーンが叫ぶ。

振り返ると箱馬車が目の前を通り過ぎて行く。

荷馬車もそれに続いてやってきた。

槍を兵士の腹に投げ突き刺し、御者台に居るサーヤの隣に飛び乗った。


「良い手綱捌きだったよ!」

「はい!」


良い笑顔。

サーヤから小型盾を受け取り荷台に移って街壁上から飛んで来る矢に備える。

既に門を潜った箱馬車の方も後方に矢が突き立っている。

直ぐに荷馬車も門を潜り抜け外壁上から矢が飛んで来るが盾で弾く。

お返しとばかりにミキとマヌイが弓で射返し何人かに命中させていた。




ドドドドドドドドド


そのまま街道を東に疾駆している。

それぞれ武装解除して一息ついていた。


「やれやれ。先ずは一安心と言った所か」

「ふぅー。そうね」

「ふぃー。そうだね」

「あ、あのぉ~」

「おっと、そうだった。解いて差し上げねば」


セーラとエリナを簀巻き状態から解放した。


「みなさん無事ですか」

「えぇ。何とか」

「そう。良かった」

「追っ手は来るでしょうか」

「来るでしょうねぇ。街主としてはこのまま逃がすと自分だけじゃなく一族の命に関わりますから」

「「・・・」」

「これからどうするの?」

「あの街が見えなくなる所まで走って北に転進して更に西に転進・・・かな」

「東に向かったと見せかけるのね」

「でもそれだけじゃ東に向かったと思わないんじゃない?」

「迷わせるのが目的なんだ。あっちとしては東に向かった可能性も捨てられないから追っ手を向けざるを得ない」

「分散させるのよ」

「なるほどー」

「じゃぁ、セリーナに伝えて来る」




辺境ともなると街道は少なくなる。

街が少なくなるからだ。

従って山に近い南ではなく街道の在る北に向かう事になる。

その日は少し無理をして大分北に進んだ所で野営となった。

薄暮の中野営の準備をする僕達の上空をカラスが回っていた。

焚火を囲んで夕食を摂る。

ラーンが口を開く。


「これからどうするのだ」

「予定通りベルバキア領から南下してソルスキアに向かいましょう。ベルバキアであれば街軍も手出しは出来ますまい」

「そうだな」

「箱馬車の具合はどうだ?」

「うん。矢だけで刃傷も無い。大丈夫だ」

「ではこのままベルバキアに向かうのか」

「そうしましょう」


その後の予定を相談して食事を終える。

後は寝る準備といった所でエリナが席を立った。


「どちらへ?」

「憚りに」

「付いて行きます」

「いえ、結構です」

「お1人で?」

「はい。あまり遠くには行かないので大丈夫です」

「そうですか」

「では」


そう言って森に向かった。

ややあって、


「僕とマリアも少し席を離れる。後は頼んだ」

「うん、分かった」

「お気を付けて」

「任せてくれ」

「どこ行くの?」

「まぁ、付いてきてくれ」


俺と菊池君も森に消える。




森の中でエリナがカラスを空に放つ。


「クアァー!」


カラスに矢が刺さり悲鳴を上げて落ちていった。


「!?」


バタバタバタ


ランタンを点けてじたばた悶えるカラスから矢を引っこ抜き、足に括り付けられた入れ物から手紙を取り出す。

ランタンをかざして手紙を読むと僕達の大体の現在位置や状態、荷物などが書かれていた。


「《伝書鳩》スキル持ってるんですか?」

「・・・」

「伝書鳩ならぬ伝書烏ですか」

「・・・」

「でも《伝書鳩》持ってるようには視えなかったな」

「・・・」

「相手が持っていてあなたの下に遣わしたのかな?」

「・・・」

「まぁ。弁明は姫殿下の下に行ってから聞かせていただきましょう」

「で、殿下には話さないで!」

「そうはいきませんよ。何を言ってるんです?」

「お願い!」

「さっ。早く行きませんと寝てしまいますよ」


ダダッ


エリナは背を向けて走り出した。


「腕を狙え」

「えっ!?でも」

「狙え・・・」

「・・・」


ミキは狙いを付けて矢を放った。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「そうはいきませんよ。何を言ってるんです?」 「お願い!」 「さっ。早く行きませんと寝てしまいますよ」 寝言は、寝てから言わないとね。
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