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HappyHunting♡  作者: 六郎
第12章 グッドモーニング (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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「・・・ル。マコル」

「・・・ん。夕飯か」

「えぇ、そうよ」


俺はベッドから起きた。


「エリナさん」

「はい」

「これ《毒見》してもらえませんか」

「それは一昨日村で貰ったお酒ですか」

「そうです」

「マコル、まさか」


エリナが《毒見》をする。


「眠り薬ですね。死ぬ恐れは無いです」

「あいつ等め!」

「そうですか。ちょっと出てきますね」

「どこに行く」

「宿内に居ますからご心配なく」


俺は部屋を出て行き、厨房に向かった。

人目につかない様に《隠蔽》と《偽装》を交えながら。

途中、料理人の服を失敬して変装し厨房に入る。

流石貴族も泊まる高級宿。

厨房も貴族の胃袋を満足させる程の規模だ。

その鍋やら飲料水やらにあの村でもらった酒を入れていく。

ついでにネムリマイタケの毒も入れておく。

一通り作業を終えて部屋に帰った。


「どこに行っていたのだ?」

「様子を見て来ました」

「どうだった」

「夕飯は宿の物は召し上がらないようお願いします」

「なっ!?ま、まさか」

「用心の為です」

「じゃぁマコ兄ぃの燻製肉出そうよ」

「そうだな」

「燻製肉?干し肉か」

「えぇ」


僕等で食料を用意した。

俺特製燻製肉は貴族にも好評だった。

煙になる木片に果樹を使ってるからな。

少し自信が付いたな。もっと突き詰めよう。

ジョゼは大丈夫だろうか。

俺の燻製肉を置いて行ったがあのババアに食われてる可能性も有るな。


「今夜は夜番は任せて明日に備えてゆっくり休んでください」

「宜しくお願いします」

「ラーン様もです」

「しかし姫の警護を」

「任せられないと?」

「い、いや。お前達の働きには満足している」

「この街がルンバキア領最後の街です。明日から益々厳しくなるでしょう。休める内に休む癖を付けてください」

「う、うむ。分かった。そうしよう」

「エリナさんもお願いしますね」

「恐縮です」

「君等もだ。今夜はじっくり寝ろ。何か有ったら起こすから」

「分かったわ」

「うん」

「分かりました」

「了解だ」




食事後風呂に入って早めに就寝する。

あの村の騒動の後は野営だった。

だからだろう、みんな寝入るのも早かった。


俺と菊池君の2重の《魔力感知》で警戒していたが夜は異常無く過ぎて朝を迎えた。

カーテンを開けっぱなしにしておいたので陽が昇ると直ぐに目を覚ます。

みんな眩しさにブー垂れながらもいつもより早く起き出す。

朝食も僕等が用意して食べていた。


「恐らく囲まれています」

『ぶふー!』

「ちょ、待て!どういう事だ!?」

「昨日席を外した時ですが」

「あぁ、部屋を出て行った時か」

「えぇ。厨房にお邪魔して料理にあの村で手に入れた酒を入れておきました」

『ぶふー!』

「な、何故そんな事を!?」

「ですので基本、これから会う宿泊客は敵だと思ってください」

『!?』

「宿泊客なら宿の食事を摂るから」

「そうだ」

「でも外で食べて来る人も居るかもしれないよ」

「だから基本、だ。少なくとも敵が食べていれば今頃寝てる」

「数を減らせてるって事ね」

「そうだ。そして昨日僕等が寝る前、最上階の気配を探った時より今朝の気配の方が明らかに多い」

『!?』

「寝る前だから貴族なら泊まりに来ませんよね」

「そうだ。そして部屋を用意してるって事は」

「宿もグル!?」

『!?』

「そういう事だ」

「じゃ、じゃぁ昨日フロントマンが1階を用意しようとしたのも・・・」

「罠だった訳か」

「何て事」

「困った様子で奥に何度も入って行ってたわね」

「そういう事か・・・くそっ!」

「どうするの?」

「勿論逃げる。だから朝早く起こした。街門が開くと同時に街を出る」

「怪しかったら宿を変えれば良かったのではないのか?」

「ラーン様はこの宿で良いと仰っておいででしたが」

「じ、事情が有ったのなら知らせてくれても良かったのではないか!?」

「何度も部屋を変えるように言って知らせようとしてましたけど」

「むむ」

「それに付近にスパイが居たかもしれませんしね」

「・・・それは有るな」

「どうせなら知らないふりの方が敵も油断するでしょう」

「そ、そうだな。奇襲には奇襲だ」

「昨日の内に教えてくれても良かったのに」

「気になって眠れなかっただろ?」

「・・・まぁね」

「事情が分かったらとっとと食べて逃げ出しますよ」




食事を摂った後、逃げ支度を済ませる。

ふと窓を見るとここからは街門が見えなかった。

この宿はベランダは無かったので窓を開けて屋上に登って行く。


「マ、マコル!?」


街門を望んで部屋に帰って来た。


「どうしたのいきなり!?」

「話は後だ。用意は済んだか」

「終えたわ」

「いつでも大丈夫だ」

「よし。もう1度言う。これから会う人間は基本敵だ。俺が殺せと言ったら殺せ。ラーン様もセーラ様も口を挟まないで頂きたい。状況は我々に不利です。一瞬の躊躇が死に繋がります」

「了解した」

「・・・分かりました」

「先ず俺が先行する。最後はセリーナ、頼んだ」

「任せてくれ」

「ラーン様はセーラ様に付いてください」

「うむ」

「マーラは護衛対象の前だ」

「はい」

「マヤは後ろ、セリーナのバックアップだ。2人は連射式」

「「了解」」

「マリアも護衛の後ろ、全体を見ていてくれ」

「分かった」

「セーラ様とエリナさんに荷物を持ってもらいます」

「分かりました。私達に出来るのはそれ位でしょう」

「マリアも手伝ってくれ」

「分かったわ」




俺達は部屋を出た。

少し廊下を進むと・・・


カチャ


先の部屋のドアが開いて女が出て来た。

遅れて後ろからもドアの開く音がする。

前方の女がドアに鍵を掛ける。

そしてふっと此方を向くと、


「あっ!?久しぶりー!何だ!この宿に泊まってたのー!?」

「あー!久しぶりじゃなーい!元気だったー!?」


後ろの女と俺達を挟んで挨拶をしだした。

後ろの女の下に行こうとしたのだろう、前方の女が小走りになり俺を通り過ぎようとした。


ザシュッ


俺はマチェーテを抜いて擦れ違いざまに女の首を刎ねた。


『!?』

「セリーナ!殺せ!」

「!?」


ケセラが盾を構えながら後ろを振り返る。


「くそっ!」


後ろの女がナイフを抜いて走り出した。

マヌイが連射式クロスボウを撃つ。


ドスッ


「くっ!?」


肩口に刺さって走る勢いが弱まった。

そこへ、


「おぅら!」


ケセラのシールドバッシュで吹っ飛ばされる女。


「ぐあっ!」


倒れた女にケセラは剣を突き立てた。


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