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HappyHunting♡  作者: 六郎
第12章 グッドモーニング (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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「布団を盾にして!」


ラーンはセーラを背に先に放り投げておいた濡らした布団を盾にする。

ケセラは盾を展開しているだけだ。攻撃はしない。

村人は武器を持っているが斬り掛かっては来ない。

その間にミキとマヌイが弓を持ってる村人を射殺していく。

その間も火は勢いを増し泊まっていた家が火に包まれていく。


俺とサーヤは村人を射ながら移動し続けて馬車まで辿り着いた。


「一見して盗られた物は見られませんね」

「事が済んだ後分配する気だったんだろう」

「都合よかったですね」

「あぁ。食料なんかの重要品は収納袋に入れてくれ」

「大丈夫ですか?」

「緊急時だ、気付かれないだろう」

「そうですね」

「収納したら連れて戻るぞ」

「箱馬車からじゃなくて宜しいのですか?」

「大事なのは荷物だ。先ず荷物を運ぶ荷馬車を確保する」

「分かりました」


2人で荷馬車を運びみんなの下に戻った。


「しばらくこの馬車を盾にしててくれ!」

「分かったわ!ラーン様!こっちに!」

「セリーナ姉ぇ!馬車を盾にするよー!」

「マコルはどうするの!」

「箱馬車を取りに行くついでに家々に火を放ってくる!」

「・・・気を付けてね!」

「あぁ!」

「私は!」

「マーラは付いて来い!」

「はい!」


2人で箱馬車の所まで戻る途中で俺達が泊っていた家の火で松明に火を点ける。

箱馬車に到着すると、


「サーヤはこのままあいつ等まで戻って援護しろ!」

「カズヒコさんは!」

「火を点けて回る!急げ!」

「はい!ご無事で!」

「勿論だ!」


箱馬車を御するサーヤを見送って厩舎に火を点ける。

他に馬は居たが逃がしておいた。

そのまま他の家にも火を点けていく。

子供の魔力反応が居そうな家は除外する。

そろそろ戻るか。

元々それほど大きくない規模の村だったが今は辺りに火が立ち上り始めて大騒ぎになっていた。

その中心は俺達が泊っていた家だ。

俺が戻った頃には業火に包まれていた。


「あぁ!何でオラの家に火が!?」

「オラん家も!?」

「なんでだー!?」

「あっ!おい!待て!あいつ等を殺してから行け!」

「子供が居るんだー!」


「撃て撃て撃て!報いを受けさせろ!」

「待ちなさい!もう良いでしょう!」


セーラが箱馬車から乗り出して叫んでいる。

エリナも中に入っていた。

ラーンは外に出て箱馬車を護っている。


「護衛依頼の遂行中です!余計な言は慎まれますよう!」

「これが護衛ですって!?虐殺じゃないの!」

「セーラ様!」

「仕掛けて来たのは向こうです!魔物を討伐してやった報酬が火炎地獄とは!同じ地獄を見せてやらねば示しがつきませんでしょう!貴族として!」

「あなたが貴族な訳じゃないでしょう!」

「然様!代理ですな!」

「私は頼んでいません!」

「ラーン様!?」


俺はラーンに視線を移す。


「う」

「ラーン!?」

「姫!姫を殺そうとしたのですよ!どちらにせよ罰は受けるでしょう!」

「裁判を受けさせてもいいじゃないの!」

「どうやって受けさせるのです!?セーラ様が命令するには先ず公都に戻らねばなりますまい!?」

「くっ」

「命令が下されるまでには逃げおおせますよ!」

「だからと言ってあなたが刑を執行して良かろうはずはありません!」

「だから黙って耐えろと!?」

「そうは言ってません!」

「どうやって報いを受けさせるのです!」

「後で考えるのです!」

「だからそれまでに逃げられると言ってるじゃないですか!」

「また捕まえれば良いでしょう!」

「寝言は寝てからお言いなさい!」

「何ですって!?」

「また捕まえるなんて事を考えるなら今!ここで!殺す方が良いでしょう!」

「許しません!」

「ラーン様!?」

「セーラ様!また捕まえる労力を考えますと!」

「ラーン!」

「は!」

「御者をしなさい!馬車を出すのです!」

「は、は!」

「護衛依頼中でしょう!付いて来なさい!」

「・・・撤収だ!」

「「「「了解!」」」」




ラーンが箱馬車の御者をして先を走り、俺達はケセラが御者をして荷馬車に乗って尾いて行く。


「何を考えているのやら・・・」

「あの子の気持ちは分かるわ」

「ミキ姉ぇは甘いよ」

「そうですわ」

「焼き殺そうとしたんだぞ」

「そうだよ」

「そうだけど」

「最も苦しい死に方の1つだぞ」

「そこかい!」

「尤も、煙吸って死ぬ方が早いらしいけど」

「煙で死ぬの?」

「あぁ。煙のせいで空気を吸っても苦しくなってしまうんだ。だからマスクなんかで吸わない様にするんだぞ」

「うん、分かった」

「やっぱりガスマスク作った方が良いかもしれんな」

「心配する事はそこじゃないでしょう」

「ん?」

「セーラさんよ」

「どうした?」

「怒ってたわよ」

「契約破棄するんなら構わんだろ」

「いいの?」

「殺されかけたんだぞ」

「でももしセーラさんが大公になったら私達追われるんじゃない?」

「あの甘ちゃんが大公になっても務まるか分からんが、もしそうなったらルンバキアに近寄らなければ良いだけだろ」

「暗殺者差し向けたり」

「それこそあの性格でそんな事する訳ないと思うが」

「・・・確かにね」

「ラーンさんがするかも?」

「騎士道に煩い奴が?無いと思うがなぁ」

「そうだねぇ」

「フリーエ様にどう言いましょう」

「さーせん」

「「「えぇー!?」」」

「だってツケも溜まってるし、嫌々受けたようなもんだし」

「あっ!停まるようだよ!」


前を走る箱馬車が停まった。

まだ真夜中だがら暗く危険だからだろう。

そんなに速度も出せずに走っていたしな。

ラーンが近付いて来る。


「暗くてこのまま走るのは危険だ。明けるまで休憩する」

「畏まりました」

「殿下にはこのまま馬車の中で御休み頂く。その間野営の準備に掛かれ」

「今からテントの設営を?この暗い中で?」

「そうだ。直ちに取り掛かれ」

「世間知らずが」

「何だと!?」

「テント設営だとよ~」

「「「「え~!」」」」


暗い中、テント設営に時間が掛かる。

そもそも真夜中に出発したのだ、あと数時間もすれば夜が明ける。

あまり意味の無さそうな作業に一同は余計に疲れていった。

僕達は寝袋だけで済ませた。

どうせ片付けるのも僕達だからだ。

5月だが夜はまだ寒い。

寝袋作っておいてホント良かった。

寝袋で寝る時も厚手の敷物を敷いて寝ている。

地面で直で寝ると体温を奪われる。

ムルキアからの長距離移動用に馬用の敷物も用意しておいたのが良かった。

今回の馬達にも使ってもらって明日からまた頑張ってもらおう。




朝日をダイレクトに浴びる。

クッソ眩しい。

寝袋を片付け朝食の用意をする。

その間昨夜収納袋に入れた物を荷馬車に出しておく。

3人はまだ起きて来ない。

このまま先に食べよう。


「これからどうするの?」

「最寄りの街か村に向かうしかないだろうな」

「この辺の地図は?」

「持ってない」

「「「「う~ん」」」」

「大体位置は分かる」

「何で?」

「夜の内に星の位置を確認した」

「「「「へー」」」」

「西に行けば街に出る」

「そりゃそうでしょう!」

「誰でも分かるよ、そんな事!」

「いいか、僕は1km内の魔力を感知出来るんだぞ」

「そうか。1km内に人間が居れば村か街道が分かるのね」

「陽が昇った、魔導コンパスも有る。方角は大丈夫だ」



そうこう話してる内にエリナが起きて来た。


「おはようございます」

「おはようございます」

「どちらに行かれるので」

「はばかりに」

「護衛させましょう」

「いえ、結構です」

「駄目です。単独行動は止めていただきます」

「・・・」

「マリア、セリーナ。護衛差し上げろ」

「「了解」」


しぶしぶ、といった感じで2人を連れて森に消えて行った。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 食事の用意は、護衛の仕事じゃないよね。
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