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HappyHunting♡  作者: 六郎
第12章 グッドモーニング (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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翌朝。

朝食を摂ってソルスキアに向けていざ出発・・・とはいかず、森に来ていた。

当然ナメクジンの討伐だ。

天気は曇り。

森の中は陽が当たらず乾燥を嫌う奴等には活動し易いだろう。

ラーンが先頭を歩き、僕等はセーラとエリナを護りながら歩いていた。

2人共森を歩き易いようにパンツスタイルになっている。


「人の大きさのナメクジとか・・・怖過ぎ」

「ホントね。しかも立って歩くって・・・」

「冗談じゃねーぞ」

「カズ兄ぃ達はナメクジ苦手なの?」

「俺は1番苦手だ」

「へぇー。意外だね」

「何で?」

「虫とか大丈夫だったから」

「ナメクジは見た目虫じゃないだろ」

「そうだけどさぁ」

「マヌイは大丈夫なの?」

「・・・んーん」

「「駄目じゃん」」

「手伝わなくて良いのか?」

「ん?」

「ラーン様を」

「何でわざわざ危ない目に遭う必要が有る。金にもならないんだぞ」

「そ、そうだが」

「同じ騎士仲間なのは分かるけどね、流石に急いで行かなきゃいけないのにこんな所でかまけてる暇は無いでしょ」

「う、うん」

「次期大公だもんねぇ」

「何とかしたいという気持ちは分かりますが」

「追っ手が来るかもしれないのにな。下手に危機が見えないから余裕が有ると錯覚しているんだろう」

「目に見えなきゃ動かないのね」

「日本人みたいだな」

「「「?」」」

「こっちの話だ」

「所で魔物の反応って有るの?」

「あぁ、それらしき反応なら感知してるよ」

「「「「!?」」」」

「ちょ、大丈夫!?」

「あいつが何とかするんだろ。自信有るみたいだったし」

「騎士も魔物退治するの?」

「通常は街軍だな。それで対処出来ない場合騎士が出張る」

「ケセラ姉ぇはナメクジンを倒した事有る?」

「無いな」

「ナメクジンって、ナメクジの人型だからナメクジンか?」

「うん」

「わっかりやすっ!」

「立って歩くって言ってたしねー。対処どうするの?」

「そうだな。まぁ、ナメクジが大きくなったと考えるなら・・・松明を用意しとくか」

「熱に弱いの?」

「あぁ」

「まぁ、大体の生き物はそうだよねぇ」

「そうね」




そのまましばらく森を捜索していた。


「あれ」

「どうしたの、ミキ姉ぇ?」

「ちょっとヤバいんじゃない?」

「魔物ですか」

「えぇ」

「どこに?」

「木の上に居るわ」

「「「!?」」」

「このまま進むと・・・」


ラーンは先頭を進んでいた。

しかし彼女は騎士。

森などでの活動ではなく対人戦を想定した戦いの訓練をしてきた。

従って人と同じ目の高さでの捜索に注力していたのも仕方ないだろう。

今彼女を足元から見上げると樹上の枝に乗る巨大なナメクジが見えた事だろう。

そしてその巨大ナメクジの頭に生えた触角の先端に付いた目はラーンに向けられていた。


ボトッ


「ぐおっ!?」

「ラーン!?」


巨大なナメクジが頭上からラーンに落ちて来た。


「ぐあっ!」


ラーンは手を噛まれてしまった。

しかし利き手ではなかったので抜剣してナメクジンを斬る。

腕?を斬られるも然程ダメージは無い様子だ。

ナメクジンの口から小さな歯が幾つも見えている。


「コイツ!」


ラーンは再び斬り掛かる。

袈裟斬りに斬られ首?から腹まで斬り裂かれたナメクジンはその裂け目から体液を大量に零す。

体液を失って活動出来なくなったナメクジンは地面に跪く。

ラーンは振りかぶって首を刎ねようとするが、


「ちっ!」


剣に纏わりついたヌメリが切れ味を落とさせ半ばまで食い込んだまま刎ねる事は出来なかった。


「くっ!」


ラーンも膝をつく。

首を刎ねようとしたナメクジンは僅かに動いているが流石に首を半分持っていかれラーンを襲う事は出来ない。

その様子を離れた木の裏から顔を出して窺っているモノが居た。

それも1匹ではなく。

見ている眼は顔に無く、触角の先端に付いている。

木の裏から新たなナメクジン達が姿を現した。


「「ひぃっ!」」


セーラとエリナが思わず声を上げた。

腕?をだらんを垂らして歩いてくるナメクジン達。


「「「「「ぎょえー!?」」」」」

「気色悪っ!」

「無理っ!無理よっ!」

「あっ、歩いてるよぉ!」

「気持ち悪いですっ!」

「おえぇぇ!」


セーラとエリナも同じ気持ちなのか2人で抱き合っている。


「ラ、ラーン!逃げて!」

「ひ、姫でん・・・か」


ラーンはよろよろと立ち上がりこちらに歩こうとするが後ろのナメクジン達の方が早い。


「麻痺してるな」

「噛まれたのね!」

「そんなっ!ラーン!」


ラーンは歩くがナメクジン達との差がどんどん詰まってゆく。


「助けて!ラーンを助けて!」

「お断りします」

「何故!?」

「そういう契約ですから」

「契約って!そんな事言ってる場合じゃないでしょう!」

「そちらの事情に口を挟まない。僕達も姫の護衛だけに徹する。そういう契約です」

「だからそんな事言ってる場合じゃないと言ってるでしょう!」

「契約終了後報酬は頂けるのですかね?」

「はっ!?」

「依頼達成後報酬を払うって話でしたけど」

「そうです!」

「今契約を破ろうとしてるセーラ様が、本当に払うんでしょうかね」

「!?」

「我々冒険者にとって、契約は大事なのですよ」

「そっ、それは私達も同じです!」

「であれば、僕等はセーラ様しか護衛しない、そういう契約だったはずです」

「だから「更に」!?」

「今契約を破ろうとするセーラ様が、護衛依頼を達成したらホントに報酬を払うのか疑念が湧くのですよ」

「くっ!」

「今報酬の担保はあなたが公女だって事しか無いんですよ。前金も有りませんでしたし。契約事項を自分達の都合の良い様に破るようなあなた方が報酬を払うのか、そういう疑念です」


そんな事をしている間にラーンに追い付いたナメクジン。


「くっ!」


ラーンは振り向きざまに首を狙って剣を横薙ぎに振るう。

しかし剣とナメクジンとの双方のヌメリのせいで斬れず衝撃を与えるだけに終わる。

人間であればダメージも有っただろうがナメクジンには然程の事も無かったようだ。

剣が当たった衝撃でフラついただけでまたラーンに向き直る。

そのまま体重を乗せて押し倒した。



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