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HappyHunting♡  作者: 六郎
第12章 グッドモーニング (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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その深夜。


セーラはベッドで寝入っていた。

彼女の口を押さえる圧力で目が覚める。


「んん!?」

「しー」


俺は唇に指を当て静かにするよう促す。


コクコクコク


通じたようだ。

ラーンやエリナにも菊池君とサーヤ君が同じようにしてくれたようだ。

3人を風呂場に移動させる。

ラーンには盾を持たせておいた。

ベッドの裏には菊池君とマヌイが待機。

ドア付近にケセラが待機。

俺とサーヤ君はそれぞれの窓付近に《偽装》して待機していた。

ベッドにも《偽装》して全員寝ている様にしている。


しばらくして。

月が傾き月灯りが部屋の中に入らない時間帯となった。

そして2つの影が2つの窓の上から降りて来た。

ロープで体を縛って降りて来たようだ。

窓をなにやらカチャカチャ弄っているようだ。

やがて窓の鍵が開いた。

簡単な留め具だったからな、しょうがないだろう。

そして2つの影は音を立てない様にそろりそろりと窓を開けていく。

影が入れる程開けると窓の縁に足を掛けた。

どうやら入って来るようだ。

2つの影がそろりそろりと窓から部屋に侵入して来る。

床に音も無く着地して辺りを窺う2つの影。

ロープを外して部屋の奥に進む。

入って来た影が部屋の奥に進むと更に2つの影が窓の上から降りて来る。

そして同じ様に部屋に入って来た。

今入って来た2つの影も奥に進もうとしたが、


ズムッ


「ぐっ」

「うっ」

「撃て!」


俺とサーヤとで直近の2人の背中を道中で買った槍で刺して指示を出す。

ミキがベッドの陰から姿を現し弓を構える。


「くそっ!」

「謀られた!」

「《風載矢》」


ヒュン


「ぐあっ!」

「マヤ!」

「アイ!」


マヌイが魔導具の照明を点けた。


「くあっ!」


1人残った影は眩しさに怯む。

その隙に俺は飛び掛かり槍を影の足に突き刺した。


「ぐあっ!」


サーヤも俺に遅れてもう一方の足を槍で突き刺す。


「ぐっ!」


俺もサーヤも、突き刺したまま抜かず捻りを加える。


「ぎゃああぁぁ!」


ケセラが飛び掛かりシールドバッシュを頭に食らわせて影は昏倒した。




俺とサーヤ君は死体を片付けると言って出て行ってからまた部屋に戻って来た。


「それで」

「ん?」

「説明して貰おうか」

「とりあえず寝ましょうよ。朝でも良いでしょう」

「・・・そうしましょう、ラーン」

「・・・はい」


翌朝の朝食中。


「気配を感じましてね」

「外のか?」

「えぇ」

「結構襲撃まで時間的に余裕が有ったが」

「誰も傷付かなかった。何が不満なんですか?」

「いや、不満は無い」

「尋問されてるようで不愉快ですね」

「う」

「申し訳ありません、マコル。そんな気は無いのです」

「セーラ様・・・」

「それで賊の話はどうでした?」

「変わらずですね。正体不明の男に雇われたと」

「男ですか」

「えぇ」

「4人の内2人は《夜目》スキルを持っていたようで、かなりの暗殺者だったと。自分で言ってましたからどこまでホントか分かりませんけど」

「《夜目》持ち!?かなりの手練れだぞ!」

「へー」

「へー、ってお前な!」

「3度目か。かなりしつこいですね。何か恨みでも買いました?」

「「「・・・」」」

「今はまだ街中で襲って来ないから良いですがね。来たら騒ぎにはなりますよ」

「関係無い人を巻き込むのはヤダなぁ」

「うーむ」

「飯を食い終わってしばらくしたら出発するか」

「直ぐ出ないの?」

「ラッシュを避けようと思う」

「そうね。人が少ない方が良いわね」

「うん、そうだな」




メインストリートを北門、昨日街に入って来た門に向かって歩む。

通常なら南門なのだが大事をとって北門から出る事にした。

道行く人達が全員暗殺者に見える。

そんな恐怖を抱えてみんなは護衛をしている。

護衛対象も緊張しながらも幸い門を抜けるまでの道中は何事も無く過ぎた。

北門を抜け南に転進しようとしばらく進んでいた。


「ふー、緊張したー」

「ホントね。誰が暗殺者か分からないとみんなそうに見えるしね」

「戦闘は攻撃が有利って分かったかい」

「うん」

「襲う時間も場所も戦力も、攻撃側が決められるからね」

「前言ってたね」

「こっちは無駄に気を使うから疲れるしな」


そこにケセラから声が掛かる。

セーラが話が有るらしい。

箱馬車を停めドアを開け放ちラーンが地面に降りたってドア近くに侍る。

箱馬車の中からセーラが話し出す。


「あなた方には3度、襲撃を阻んで頂きました。忠勤を信頼し重要な事を御話致します。内密にするよう御願いします」

「畏まりました」

「私はルンバキア公国公女、セルラムディ・ドゥラグレと申します」

「「「「「な、なんだってー!」」」」」

『―――』

「・・・続きをどうぞ」

「「「・・・えっ」」」

「お話しの続きをどうぞ」

「あ、いや、その」

「公女様だぞ!」

「ぶっちゃけ知ってました」

「「「な、なんだってー!」」」

「何故だ!」

「ラーンさん。あなた騎士でしょ」

「そうだが!」

「宿でセーラ様を”殿下”って呼んでましたよ」

「!?」

「騎士が殿下って呼ぶの、王族でしょ?」

「よ、呼んだか?」

「えぇ」


セーラとエリナがラーンを見る。


「ううっ」

「知っていたのですね」

「えぇ」

「知っててあの態度だったのか!?」

「別に僕等はルンバキア公国に仕えてる訳じゃないですからね」

「いや、そうだが!」

「元々貴族は嫌いなんですよ。フリーエさんは貴族然としてないから好きなだけで」

「うむむ」

「フリーエさんからどーしても、どーーーーーしてもって言うから引き受けただけで」

「・・・そうでしたか」

「態度を改めた方が良いですか?」

「・・・いえ。その為に明かした訳ではありません。襲撃者が次々に襲ってくる理由、それを知って頂く為に明かしたのです」

「そうでしたか。公女様だから狙われる、と。跡目争いでしょうか」

「恐らくは」

「巷では大臣との仲が宜しくないと伺っておりますが」

「宰相のバグレスクですね。確かに良くはありません」

「そうなんだ」

「しかし今回の襲撃の黒幕かまでは分かりません」

「いえ姫殿下!きっとそうに違いありません!」

「確たる証拠も無しに断じてはなりません」

「つまり次期大公の座を争っての襲撃だと」

「えぇ、恐らく」

「であればこのまま襲撃は止まりますまい」

「・・・でしょうね」

「そもそもですが」

「そもそも?」

「昨夕言い淀んだ件ですが、僕達の行動が筒抜けだった可能性は有りませんか。オラキアを出て2日目から襲われました。しかも宿で。僕達が泊る日時に同じ街に居たのはあらかじめ居たからではないでしょうか」

「・・・なるほど」

「3日目は道中で待ち伏せをされましたし」

「確かに。待ち伏せは我々の行動を知っていなければ出来ません」

「・・・ふーむ。これからどうなると思います?」

「今までの襲撃者は雇われ者でした」

「雇われ者?」

「恐らく足止めでしょう」

「足止め?」

「本隊が揃うまでの」

「本隊?」

「暗殺専門の部隊が来る、という事です」

「「「!?」」」

「僕達はソルスキアに最短ルートで向かっています。そのルートに配置しているでしょう」

「アルビジェか」

「アルビジェの冒険者ギルドのギルドマスターは評判やそのギルドの治安も悪く、更に最後に必ず立ち寄る街。配置にはうってつけです」

「うーむ」

「ではどうすれば良いでしょう」

「ルートを変更するしかないかと」

「ルートの変更ですか」

「はい」

「ラーン。他のルートとなると?」

「はい。西に向かってベルバキア領に入り南下して山越えするのが良いかと」

「・・・ではそうしましょう」

「宜しいので?」

「待ち伏せされている可能性は非常に高いと私も思います」

「それではこのまま西へ向かいますか」

「そうしましょう」


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