②-17-34
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入街税2400エナを払い街に入る。
この街の冒険者カードじゃないと税金を払わないと駄目らしい。
「高いな」
「コローとは領主が違いますからね」
「税額は領によって違うのか、街によって違うのか」
「両方でしょう」
「今日は宿を見つけるだけだね」
「そうですね。お風呂にも入りたいですし」
「ここも風呂は高級宿だけで、あとは大衆浴場かな」
「でしょうねー。エルドさん並みの宿でいいんで大衆浴場で済ませましょうよ」
「そうだね。とりあえず、大衆浴場に近い安宿を聞き込もうか」
先ず聞き込みをし、大衆浴場の場所を確認しに行った。
すごく大きな建物という程でもなく、そこそこな大きさだった。
その浴場の店員さんに聞いて周辺で安い宿を探した。
エルドの宿と同じくらいの宿賃で、同じく夜朝飯付きなのでそこに決めた。
夕飯を食べ終え休憩後、風呂に行った。
「オプションは全部買取かー。どれも高いな」
「大量生産じゃないですからね。石鹸が200エナ!?」
「この世界のは全部手作りだからなー」
「えっ、くさっ!?この石鹸臭いですよ」
「脂を、動物性の脂を使ってるんだろう。植物性のを探したまえ」
「え~と、400!!・・・どうします?」
「ここまで来たら買おうか。買取だし、また使えるんだし」
「そうですね。まー、精神衛生上必要経費ってことで」
「だね」
風呂を終えて部屋に戻った。
「いやー、久しぶりのお風呂はやっぱり良いですねー!」
「ホントにねー」
「雨の日だからか人はそんなに居ませんでしたね」
「隣の人に聞いたんだけど、大体食う前に入るらしいよ」
「へー、そうなんですか」
「うん。風呂入って、食って呑んで屁ぇこいて寝るんだって」
「おっさんかっ。おっさんだけども。じゃぁ、空いててタイミング的に良かったんじゃないですか?」
「あぁ、そう思う。仕事帰りのおっさんが沢山いる想像をしてみたまえ」
「・・・オエッ」
「そこまでっ!?」
「明日から活動開始します?少し休みます?」
「活動しよう。今日早く寝て、早く感を取り戻そう」
「分かりました。じゃぁ、朝いちで冒険者ギルドですね」
「あぁ。登録して周辺の魔物の情報収集、出来れば討伐に出たいね」
「メインは勿論・・・マヒのマイタケですよね」
「あぁ、モチのロンさ」
「登録時の名前はどうするんです?新しくするんですよね?」
「あぁ、そのつもりだ。もう考えてる?」
「いえ、まだ」
「じゃぁ、お互い秘密にしとこうか。登録時に知るってことで」
「あっ、いーですねー。そうしましょう」
その日は早く寝て翌日に備えた。
朝起きると鐘が2つ鳴るところだった。やはり疲れてたらしい。
2人で朝食を食べる。
「普通ですね」
「うん。普通にうまいよ」
「先輩結構なんでも美味しいんですね」
「大概美味く感じるね。君はそうでもないのか」
「エルドさんのよりは・・・って感じで。別に不味くはないです」
「宿はどうする?」
「どうするって?」
「旅用の荷物で結構大荷物になってるだろ。あの荷物持って狩りには出られんぞ。荷物置きっぱなしだと何日分かまとめて払わないといけないだろ」
「そっかー。私はここで良いですよ」
「そうか、じゃぁ10日分前払いしとくか」
「そうですね。雨も上がったことだし、狩り日和ですね」
「がんばりますかー!」
朝飯を食べ終えて、宿の人に聞いて冒険者ギルドに向かった。
コローのと同じ様に本館に並んで納品館が建っている。
どちらも木造だ。
戸を開けて中に入る。
中は空いていた。
粗方、冒険者は依頼を受け出ていった後のようだ。
依頼掲示板で調べたがマヒマイタケの採集は残念だが無かった。
「すいません。登録をお願いします」
「はい、登録ですね。新規ですか?上書きですか?」
「新規で、2人。お願いします」
「分かりました。ではこちらに名前と年齢、ジョブとスキルをお書きください」
「「はい」」
お互い見えないように書き込む。
「では登録料2000エナになります」
受付嬢からカードを受け取った。カードの説明は断った。
「この周辺の魔物の情報を知りたいんですけど」
「でしたらあちらに本がありますのでお調べください」
「ありがとうございます」
本を持ち奥のテーブルに座った。
パーティの待ち合わせや情報交換で本館内にそれ用のスペースが設けられている。
お互いのカードを渡し合う。
「おいっ!なんだよ『ミキティ』って!」
「なんですかっ!何か問題でも?」
「俺は君を呼ぶとき叫べばいいのか?」
「そーゆー先輩も!『カズー』って何ですか?天空の城でも探しに行くんですか?」
「父さんの夢を叶えたいんだ」
「まんまじゃねーか!」
「先ずは飛行石を探さんとな」
「魔石がある世界だけに突っ込めない!」
本で調べるとマヒマイタケは南の森にいるようだ。
「とりあえず行ってみようか、周辺の探索をしつつ」
「そうですね。探索をメインにしつつ、狩れたらって感じですかね」
「あぁ、最初は無理しなくて良いだろう。薬草や木の実なんかも調べとこう」
僕が背負子を背負って南の森へ来ている。
植生はコローと変わりはないようだ。
これであれば魔物の分布や気配なんかは何となく分かりそうだ。
「今更だが」
「はい」
「晩秋か初冬に冒険者になれたのは良かったのかも知れんな」
「どうしてです?夏とかの方が魔物も活発でこんな奥まで来なくても良かったかもしれませんよ」
「蛇とかさ。そんな魔物がもし居たら危なかったなって。今は《魔力感知》があるからいいけど」
「ほっ、ホントですね。あっ、でも魔幼虫は1年中居るらしいですよ」
「えっ、そうなの?じゃあ別に何時でも良かったわけだ」
「まー、でもそういう巡り合わせだったんじゃないですか」
「それもそうだな。所で1つ疑問が有るんだよ」
「な、なんです?」
「魔幼虫の成虫を見たこと無いんだよ」
「そう言えばそうですね。魔物として出て来てもおかしくないですよね」
「出てこない方がおかしいと思うんだよね。幼虫が1年中居るんなら1年中会いそうな気もするんだけど」
「ん~、森の奥の方、山の方へ行ってる?」
「それか、あれは地虫だから土の中で変態して・・・そのまま土の中で生息しているのか。土の中の魔物って居る?」
「この辺では確認されてませんね~。飛んで行っちゃったり?」
「う~ん、謎だね。確認したいな~。少し追跡をして「早くキノコの里に行きますよ」はい」