⑫-13-339
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「3人は剥ぎ取っててくれ」
「「「了解!」」」
「マーヤは俺と来い」
「はい!」
3人は生きてる者はトドメを刺し金品と装備を取っている。
俺とサーヤは生き残りの1人に話しかける。
腹に矢が刺さって走れなくなったようだ。
「よぉ!」
「くっそ!」
「昼飯は美味かったか?」
「くそったれが!」
「はっはっは。そうかそうか、腹一杯か」
「お腹一杯で突き抜けてますわ」
「はっはっは」
「おほほほ」
「ちきしょーめが!」
俺は腹に刺さった矢を掴んで揺さぶる。
「そーれそれそれ」
「ぎゃああぁぁぁ!」
「素直に吐けばあまり苦しませずに殺してやらん事も無い」
「なめんな!」
俺は矢を掴んで手前に奥に、押したり引いたりする。
「そーれそれそれ」
「ぎゃあああぁぁ!」
「サーヤ君もやってみるか」
「はい!」
「待って!待ってくれあああぁぁぁ!」
「いーい感じだ」
「はい!」
「喋る!喋るから!」
「いーや。もう少し遊ぼうぜ」
「そうですわ。あなた達も遊ぼうとしたんですもの、今度は私達の番よ」
「ちょ、まっ、ぎゃああぁぁぁ!」
悲鳴が付近に響いて少し経って僕達は戻って来た。
「マコル!」
「はい?」
「気付いていたのか!?」
「はい?」
「あの者達だ!」
「えぇ」
「何故だ!」
「はい?」
「何故知らせなかった!」
「知らせるまでも無いと思いまして。ご無事で何よりです」
「何故昼食を摂ろうとしたのですか?」
「あの者達は街道まで迫った森に潜んでいました」
「分かったのか!?」
「えぇ」
「どうやって!?」
「秘密です」
「何だと!?」
「あなた方に秘密が有るように、私共にも秘密が有ります」
「ぬぅ!」
「昼食の理由は?」
「誘き出す為です」
「誘き出す?」
「あの者達は恐らく朝からあそこで張っていたんだと思います。そこで暢気に昼を摂っているのを見て我慢出来なくなったんでしょう」
「・・・そうですか」
「あの狭まった森から攻められるよりは、広いこの辺りで迎え撃った方がよろしかろうと」
「ぬぅ」
「死者から奪うのはお止めなさい」
「お断りいたします」
「まぁ」
「何だと!」
「あなた方が殺したんじゃない。僕達だ。どうするかの権利は僕達にある」
「冒険者の流儀ですか」
「然様です。僕達は自分達で金を稼いでいます。今使った矢も金が掛かるのですよ。税金で暮らして生活に困った事の無いあなた方には分からないでしょうがね」
「む」
「何!」
「何もしていないあなた方にどうこう言われる筋合いはない」
「お前こそ!女達に戦わせて何もしていないではないか!」
「大公殿下と一緒ですよ」
「?」
「何だと!?」
「大公殿下が直接税を取り立てますか?一介の兵士となって敵を殺しますか?」
「お前は王だと言いたいのか!」
「はっはっは、まさか。リーダーとして、という事ですよ」
「リーダーの役割を果たしていたと?」
「結果はご覧の通り」
「・・・」
「誰も傷付くことなく敵を殲滅。何か不都合でも?」
「・・・」
「お気に召さなければ契約を破棄してください。私共は構いませんよ」
「こんな所で出来る訳が無かろうが!」
「では次の街ででも」
「いいえ。最早時間は無いと言ったでしょう」
「我々下々の者達は貴族様方の仰る事だけを聞いておけばよいと」
「そうは言ってません!」
「正直何故不満を述べられるのか図りかねまして。御身を傷付けず賊を退治しても怒られ、報酬は後払いなのに私達を殺そうとした賊の金品を奪うなと怒られ、下々の者としてもいい加減空きっ腹も立とうというものです」
「・・・」
「貴様・・・」
俺は首を傾げる。
「へぇ。《剣術》を、ご教授いただけますか、騎・士・さ・ま」
「・・・」
ラーンの剣は抜いたままだった。
多面体が視える。
「お止めなさい、ラーン」
「セーラ様」
「分かりました。あなた方の腕はこの目で確認しました。昨日の件といい、今の事といい、確かにフリーエの言う通りです。このまま契約の履行を望みます」
「私共と致しましては破棄を望んでいるのですが」
「貴様!」
「ラーン!」
「しかしセーラ様!」
「世間知らずの者や実戦を知らない騎士にあれこれ口出しされるのがもぉ~!堪らなく嫌でして」
「成敗してくれる!」
「止めなさい!」
「・・・」
「分かりました。今後は口を出しません」
「しかし!」
「ラーンも!その様に、いいですね」
「・・・は」
「はぁ~。契約続行かぁ~」
「ほらっ!ちゃちゃっと片付けるわよ!」
「死体はどうするのぉ?」
「急がないと街に入る前に日が暮れる。しょうがないがそのままにしていこう」
「ゾンビにならなければいいのですが」
「頭にペグを打ち込むか。マヤぁ~ペグをおぐっ」
「オラァ!いい加減にしなさい!」
「私がハンマーで潰して回りますわ」
「マーラ、お願いね」
「はい」
「ほらっ!ちゃちゃっとしなさいよ!」
夕方門限近くで街に入る事が出来た。
宿に向かい最上階の貴族用の部屋をとる。
「「「「「クリア!」」」」」
「ガラス窓が2つか」
「大きな窓ね」
「少しグレードが落ちてきたか?」
「そうかなぁ」
「あの賊達は何と言っていたのだ?」
「つーん」
「貴様!」
「ラーン」
「し、しかし!」
「マコル。今後の為にも聞かせて下さい」
「しょうがないなぁ」
「くくっ!」
「昨日の奴と同じですね。目新しい情報は得られませんでした」
「そうですか」
「ふん!焦らしておいてその程度か!」
「敵だけじゃなく味方の情報も無いですからねぇ。引き出せる情報も限定されますねぇ」
「「「・・・」」」
「ただ・・・」
「・・・ただ、何だ」
「・・・いえ、別に」
「別にではないだろ。言え」
「ただ・・・今日の夕食何にします?」
「きーさーまー!」




