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HappyHunting♡  作者: 六郎
第12章 グッドモーニング (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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その日は何事もなく1日目の予定街に着いた。

高そうな宿に馬車を預けフロントに向かう前、


「部屋は一緒にしてもらう」

「お前は何を言っているんだ!?そんな事出来る訳なかろう!」

「いーや。護衛を任された以上ある程度こっちの要望にも従ってもらう」

「従えだと!?正気か!セーラ様に!?」

「その通りだ」

「たかが冒険者が殿下と同じ部屋に居られる訳なかろうが!弁えろ!」

「僕達が別の部屋に居る時に襲撃があってセーラ様が殺された場合、その責任は僕達には無い。それを了承しろ。契約書にも追加でしたためろ」

「何だと!?」

「もう1度言う。僕達が不在時の襲撃による如何なる結果にも僕達には何の責任も無い。良いな」

「うぐぐぐ」

「ラーン」

「セーラ様」

「結構です」

「結構、というのは?」

「両方です。契約書も同室も」

「セ、セーラ様!」

「彼らの責任の現れでしょう」

「し、しかし!」

「ラーンさんよ」

「何だ!」

「ソルスキアに行くなら山越えするんだろ」

「当り前だ!」

「野営するんだろ。野営も宿の同室も、何か違うのか?」

「うむむむ」

「マコルさんの言う通りですよ」

「セーラ様」

「マコルで結構ですよ、セーラ様」

「・・・分かりました、マコル」


フロントで貴族用の部屋を借りる。

丁度8人居るので1部屋で十分だった。

最上階の一室に入る。


「「「「「クリア!」」」」」


僕達で部屋の中を確認してセーラ様達を迎え入れる。


「これが貴族用の部屋かー」

「思った以上では無いわね」

「そうだねー」

「他人の金で泊っておきながら失礼な奴等だ!」

「まぁまぁ、ラーン」

「ふーむ。ガラスの窓か」

「安い宿だと木窓だしね」


俺は一通り部屋を物色する。


「じゃぁ、僕は1眠りしますので」

「な、何!?」

「マリア君、後は任せたよ」

「分かったわ」

「セリーナ、誰か来たら君が応対しろ。ドア越しにな、決して開けるな」

「心得た」


上着を脱ぎサーペント装備も脱いでベッドの布団に潜り込む。


「じゃぁ、お休みなさい」

「きゃっ」

「まっ」

「何て奴だ!」

「じゃぁ夕食まで休憩しましょう」

「「「りょうか~い」」」

「お前達のリーダーはいつもあぁなのか!?」

「そうですよ。夜に備えて昼はあまり活発にしないんです」

「夜に、なるほど」

「軟弱だ。昼も夜も、時間を問わず力を発揮出来ないとは!」

「人それぞれでしょう。無理をして調子を崩しては依頼をこなせませんわ」

「道理ですね」

「セーラ様。しかし時には無理をしなければならない事もあります」

「今無理をする必要は無いって事でしょう?」

「むぐぐ・・・」

「とりあえずセーラ様と侍女の方は休んで下さい。お2人が旅の移動で1番のネックですから」

「お前も無礼だな」

「事実を申してるまでです。この先休める時に休んでいただかないと護れるものも護れなくなります」

「分かりました。エリナ、休みましょう」

「承知しました」




その後、夕食で目覚め、風呂に入り疲れをしっかりとる。

その夜は何事も無く無事に過ぎた。

翌朝、出発する。


「夜に備えてって、夜番もせず普通に寝てただけではないか」

「襲撃も何も無かったでしょう?」

「それはそうだが」

「彼が起きないって事は何も起きないって事ですよ」

「はぁ?」

「早く、行きますよ」




2日目の昼行も何事も無く終わり2日目の予定街に到着した。

宿に向かう前に武器屋に寄って槍を何本か購入した。

普段なら使わないが護衛だと守る為に必要になるかもしれないと思ったからだ。

森では扱い辛いが街道の移動であれば問題無いだろう。


宿に着いて最上階の貴族用の部屋をとる。


「「「「「クリア!」」」」」


「うーん、昨日とあまり変わらんなぁ」

「地方に行くほどグレードは下がって行くぞ」

「「「「えぇー」」」」

「観光気分は止めろ!」

「うふふふ。余裕が有るのは良い事ですわ」

「しかしセーラ様」


コンコンコン


ドアがノックされた。


「何だ?」

「お茶をお持ち致しました」

「頼んだか?」

「いいえ」

「ラーンさん?」

「いいや」

「・・・入れ」

「失礼致します」


男が茶を持って入って来た。


「頼んでないが」

「当宿の貴族用サービスで御座います」

「なるほど」


そう応えながら4人に目配せを送る。


「淹れてくれ」

「畏まりました」


ケセラはドアに向かう。

サーヤは収納袋が入った大きなバッグから連射式を手にするがまだ出さない。


「どうぞ。淹れたてを御賞味下さい」

「助かるな。春の陽よりで暑くなってきた所だったんだ」

「そうで御座いましょう。冷めない内に早目に御召し上がり下さい」

「この茶はどこの産地かな?」

「は?」

「茶の産地だよ」

「茶の産地などどうでも良いではないか。喉が渇いておられよう、早く御召し上がり頂こう」

「貴族が飲むんだ、さぞ高い茶なんだろうな」

「は、はぁ。ま、まぁ」

「早く持って来いと言うに」

「あちらの女性騎士様もあぁ仰っておいでですから」

「どこの産地か知らないのか?」

「い、いえ、そんな事は・・・」

「飲んでみろ」

「は?」

「飲んでみろ。聞こえたろ」

「「「・・・」」」


その時に及びセーラら3人も察したのか緊張が走る。

男の給仕は動きが止まっていた。


バタン


ケセラがドアを閉めたと同時に男がビクッと体を震わせる。


「どうした、飲んでみろ」

「・・・」

「お前も暑いのか、汗を掻いてるぞ。丁度良い、茶を飲めよ」

「・・・」


《魔術昇華》で視ると《剣術》が発動したようだ、魔法陣の多面体が視える。

面体は少ない、そこまでの腕ではなさそうだ。

手元に魔力が集まっている。

男は袖に手を入れた。


「けええぇぇい!」


袖から短刀を抜き放ち俺に突いてくる。

俺は腕で《受け流し》そのまま腕を伸ばして男の目に指を突き込む。


「ぎゃうっ!?」


狼狽えた隙に男の手元から短刀をはたき落とす。

落ちた短刀をミキの元に蹴る。

股間を蹴り上げると男は蹲って悶えた。


「うごぉぁ・・・」


ミキは短刀を拾い上げた。


「安物ね」


俺は蹲る男を蹴倒し横顔を踏みつける。


「さてと、風呂場で良いかな?」

「?」


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