⑪-31-324
⑪-31-324
「捕虜の!捕虜の扱いが人道にもとるぞ!告発してやる!」
「人道にもとる?捕虜を盾にした奴が?」
「殺したのはワシじゃない!」
「命令したのはお前だろ」
「だからなんだ!」
「命令責任が有るって言ってんの」
「そんなものは無い!」
「責任者が責任を取らずに誰が取るんだ?」
「知るか!ワシも命令されたのだ!」
「命令したのは誰だ」
「キルフォヴァ攻略軍隊長だ!」
「じゃぁそいつに軍使を遣って、お前が責任は軍隊長に有るって言ってるって言うわ」
「止めろ!余計な真似をするんじゃない!」
「全く話にならんな」
「自分の論理だけを強制して客観的な筋道を無視する、典型的な無能の上司ね」
「誰が無能だ!」
「お前以外居ないだろ、周りの死体を見ろよ。マーラ君、もう片方も」
「はい」
「まっ、待て!「ガアァン」ってえぇぇぇ!」
「ベドルバクラ軍は何人になった」
「ぐうぅぅ・・・誰が言うか」
「マーラ君、膝」
「はい」
「まっ、待って!待って「ボキィ」ええぇぇぇ!」
「もう直ぐ陽が沈むな」
「そうですわね」
「早くしないとね」
「と、いうわけだ。分かるな?」
「わ、分かった・・・真面に戦えるのは600人程だと・・・」
「セリーナ、バイヨ。その人数だともう大丈夫かな?」
「あぁ大丈夫だろう」
「うん。こちらは300人程だからな。それにベドルバクラ軍は補給に問題が有るだろうし」
「補給か。どうなんだ?」
「あ、あぁ。本国からは満足に送られて来ない・・・」
「何故だ」
「今回の出兵は隊長が強行したのだ・・・」
「強行・・・何故だ」
「さぁ・・・手柄を取りたかったと専らの噂だが・・・」
「まぁルンバキアの混乱はつけ込む隙だからな」
「そうね」
「今回の待ち伏せはどういう命令だったんだ」
「街から重要な密命を託された冒険者が出て行くと。そいつ等を捕縛、無理であれば殺すようにと」
「なるほど。しかし100人で来るとはな」
「ワシも問うたが、それ程の重要な密命だとしか・・・」
「どんだけホラ吹いたんだ、婆ちゃんは」
「ホラ?」
「あぁ。俺達はお前らを釣る為の囮だったんだよ」
「なっ、何だとっ!?」
「街に居るスパイを炙り出す為の罠だったのよ」
「くっ、クソがっ!」
「さぁ、そろそろ行くか」
「貴様等の顔は覚えたからな!」
「ん?」
「ベドルバクラに戻ったら必ずまたここに攻め込む!」
「ん?」
「その時!お前を殺して女は犯してやる!覚えておけ!」
「ん?何を言ってるんだ?こいつは」
「恐らく人質交換の事だろう」
「人質交換?」
「あぁ。お互いの捕虜を交換、または金と交換するんだ」
「ほー」
「位が高いほど金額も高くなる」
「ビジネスね」
「戦争の一面だな」
「貧乏人からは取れんからな、貴族は捕らえるのさ」
「金の無い奴は使い捨てかよ」
「ホントに、世知辛いわね」
「だから身形が良ければ生き延びる可能性も高くなるんだ」
「なるほどなー。だから派手な装備とか有るのか」
「そういうの作ったら?貴族相手に高く売れるかもよ」
「そうだな。考えとくか」
「日が暮れるよぉ」
「おっと、そうだった」
「では始末します?」
「そうだな」
「し、始末!?」
「僕達の馬車は8人乗りなんだよ」
「もう乗れないのですわ」
「すまんな」
「ま、待て。それは・・・つまり・・・」
「神への懺悔なら早く済ませてくれ」
「!?まっ、待て!金は!?要らないのか!?」
「実家に幾ら有るんだ?」
「・・・沢山だ!」
「無いな」
「無いわね」
「無いよ」
「無いですわ」
「「「無いわね」」」
「ぶっ、無礼者!ワシを誰だと心得る!キルフォヴァ攻略軍4ま「マーラ君」「はい。ボキィ」あぁぁぁ!」
「マーラ君、ペグを出してくれ」
「ペグ?」
「あぁ。あっ、そういやマヤも1本持ってたな」
「これは駄目!」
「なんでだよ、きったないペグだし、良いだろ」
「駄目ぇ!これは駄目なのぉ!」
「寄越しなさいって、ほらマヤ「オラァ!」あぁぁぁ!」
「全く!人の気も知らないで!」
「ぐふっ、何なんだ・・・」
「はい、ペグですわ」
「あ、ありがと」
「何をするの?」
「あぁ。地面に磔にする。押さえててくれ」
「ちょ、まっ、待って!待ってくれ!」
大の字に寝かせて手の平にペグを打ちこんでいく。
カアァンカアァンカアァン
「ぎゃあぁぁぁぁ!」
「足はいいか」
「なっ、何でこんな事をぉぉぉ」
「俺を殺そうとし、彼女達を犯そうとしたから」
「は?してないだろ!」
「捕虜交換で国に帰ったらやるつもりだったんでしょ」
「い、いや、それは・・・」
「だからでーす」
「し、しかし!やってもいないのに!」
「お前寝る前に蚊を見たらどうする?」
「は?か、蚊?」
「殺すだろ。寝てる内に血を吸われないように」
「・・・」
「あと、飛ぶ音が耳障りだしな。そーゆー事だ」
「たす、助けてくれ!殺さないでくれ!」
「分かった分かった。僕達は殺さないよ」
「ホ、ホントか!?」
「あぁ。ホントだとも。僕達は、殺さないよ」
『・・・』
「パンツを降ろそう」
「な、なんでよ!?」
「マーラ君、蜂蜜を出してくれ」
「蜂蜜・・・ですか」
「あぁ。こいつのふぐりに掛ける」
「そんな勿体ない!」
「まぁまぁ。蜂蜜を掛けると虫達が寄って来るだろ」
「はい」
「虫達に刺されるかもしれん」
『ぷっ』
「その虫達を狙って小動物が来るだろ」
「小動物に噛まれるかも?」
「そうだ。更にその小動物を狙って大型の動物が」
「更に大型の動物を狙って・・・」
「魔物が来る」
『・・・』
「た、助けるって!殺さないって言ったじゃないか!?」
「僕達は殺さない、って言ったろ」
「へ、屁理屈だぁ!」
「お前に言われたくないね。じゃぁ周りの死体を片付けるか」
「待って!待ってくれ!」
「疫病が起こったりしたら大変だもんね」
「残念だが首を落とす時間は無い。森に捨てるだけにしよう」
「ゾンビになったりしないかしら」
「待ってぇー!助けてくれー!」
「手間だがマーラ君が死体に移動して行って収納してくれ」
「はい。死体を持って来るより疲れないでしょうし」
「あぁ。こいつの近くの森で纏めて捨てよう」
「待ってくれー!」




