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HappyHunting♡  作者: 六郎
第11章 北部動乱 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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夜にバイヨ達と共に本部に出頭をする。

部屋に案内されるとフリーエさんとレヴィさんも居た。


「夜にすまないねぇ」

「いえ、構いませんよ」

「早速で済まないが依頼をしたい」

「依頼?」

「うむ。受けるか受けないか、この場で返事をして欲しい」

「内容は?」

「軍の極秘任務になる。申し訳ないが受領されなければ話せない」

「・・・なるほど」

「報酬も、例によって直ぐに払えない。申し訳ないが」

「・・・ふーむ。これは指名依頼ですか」

「そうだ」

「フリーエさんの?」

「そうなんじゃ」


メンバーをチラッと見る。

みんな頷いている。


「バイヨ?」

「君らが受けるのなら乗りたいね」

「あなた達と一緒なら生き残れそうな気がするし」

「昨日もそうだったしね」

「ふー。老い先短いお婆ちゃんの頼みだ、受けましょう」

「また!マコル!」

「マコル君!」

「ヒェッヒェッヒェッ。まぁだ死ねんよぉ」

「では受理という事で良いかね」

「「はい」」

「うむ。では内容を説明する。君達には我々からある重要な密命を託され、南下して指定の街に向かいある人物に会う事になっている」

『?』

「・・・なるほど」

「何?どういう事?」

「囮という訳ですか」

「・・・その通りだ」

『!?』

「囮!?」

「どういう事?」

「不思議だったんだ」

「何が?」

「昨日、敵は本隊を東門に向けただろ」

「えぇ」

「何故東門だったんだ」

「それは・・・2軍だから?」

「そういう事だ」

「そういう事?・・・どういう事?」

「敵は東門が1番弱いと知っていたって事だ」

『!?』

「スパイか!」

「その通りだ。街主の搾取や悪魔騒動はまだ良い、調べれば直ぐに分かる事だからな。しかし軍の配置は最低街の中に居なければ分からない。街軍の弱体化を考えると街軍の中にスパイが居るものと推定される」

「なるほどねー」

「それで囮って?」

「君等には明朝、発ってもらう」

「明朝?」

「君等に依頼をするのは極秘だ、明朝までの短い間にこの情報を取得出来るとなると、結構絞られる」

「えぇ、そうでしょうね」

「何らかの方法で外部と接触を図る所を捕まえる」

「じゃぁ、そこまでで良いんじゃないですか?」

「そこからベドルバクラ軍がどう動くかが重要なのだ」

『えっ!?』

「ぐ、軍が動くって!大丈夫じゃないじゃないですか!」

「南下するのだ、大軍は動かないだろう」

「・・・なるほど。ってなると?」

「小部隊か暗殺者か工作員か、そんな所だろうな」

「ちょ、えぇ!?暗殺!?」

「それで囮という訳か」

「スパイの情報はわざと流させる、という事ですね?」

「うむ。反応を確かめるのが目的だ」

「これはフリーエさんの指名依頼でしたね」

「・・・そうじゃ。わしが考えたんじゃ」

「いや、立案したのは私だ。本当は囮の事は隠して依頼するつもりだったのだ。それをフリーエ様が全て君達に話すとお決めになられた」

「かなり危険な依頼ですね」

「承知しておる」

「目的は敵の反応を確かめる、でしたね」

「その通りだ」

「指定の街のある人物というのは実在するんですか?」

「人物は架空だ。街も特に意味が有る訳では無い。それらしい設定を用意しただけだ」

「つまりその街に行くまでが仕事だと?」

「うむ」

「街の中で何かする必要は無い?」

「うむ」

「しかし暗殺者や工作員なら街の中で仕掛けてくるのでは?」

「ベドルバクラ軍がどう動くかが問題なのだ。敵軍がルンバキアに潜伏させている別の街の諜報員なりに任せ自身は動かないのなら、それはそれで構わない」

「つまり、街まで行くが軍が食いつかなきゃ街に入る必要は無いと」

「うむ。しかし君達の護衛を街軍から付ける。だから街には入って貰う事になる」

「街軍から護衛・・・ですか」

「そう嫌な顔をしないでくれ」

「ちなみにどこの門を守っていた兵士ですか」

「・・・東門だ」

『・・・』

「そいつ等がスパイの可能性は?」

「私は大丈夫だと思っている。スパイの居る所に攻め入らないだろう」

「門を内側から開けさせる手筈だった、ってのも考えられますよ」

「確かにね。実際マコル君以外に門の防衛をしていた人間はいなかったんだからね。ただ、だから逆に居ないとも考えられる」

「街には入れるんですか?戦時中でしょ?」

「その通りだ、門は閉まっている。しかし南門は警戒態勢で開いているはずだ。回り込んで行けば護衛の者が交渉するはずだ」

「承知しました」

「やってくれるかね」

「もう依頼は受けてるんでしょ」

「確かに。だから説明したのだが」

「・・・すまんのぉ」

「報酬はツケといてよ、お婆ちゃん」

「うむ。そうさせてもらうよぉ」

「明朝また会おう」




僕達は宿舎の部屋に帰った。


「何かとんでもない依頼を受けた様な気がするわね」

「気がするんじゃなくて、実際とんでもないんだよぉ!」

「フリーエ様が・・・」

「囮か・・・」

「どう思う?カズヒコ」

「・・・うーん、まぁ信用出来る人が居ないんだろうなぁ」

「そうね、スパイも居るんだし」

「でも敵の戦力は最初の7割に落ちてるんでしょ?このまま街に籠ってれば勝てるんじゃないの?」

「そうよねぇ」

「街のスパイを炙り出す為だろう。今後の為に」

「まぁ籠ってても情報が筒抜けじゃぁよろしくないもんね」

「問題は街に着くまでの襲撃だ」

「でも襲撃して来ると分かってるなら有利じゃない?」

「しかし襲撃して来るタイミング、戦力、場所、それら全て相手が一方的に決める。圧倒的に不利なのは間違いない」

「どうするの?カズヒコ。奇襲が得意の私達が奇襲されるって危ないんじゃない?」

「あぁ。確かに危険だ。加えて護衛のやつらも怪しいしな」

「東門に居た奴等でしょ?当てには出来ないよねぇ」

「うん、そうだな。昨日の戦で言えば塔の入り口で少数を相手にしてても、門を開けられれば意味は無いからな」

「だよねぇ」

「僕の《魔力探知》で1kmは索敵出来る。タイミングや場所は大丈夫だ」

「・・・1kmってもう相手は奇襲は無理ね」

「・・・そうだね」

「しかし万能じゃない」

「へぇ?」

「精度を上げれば小動物なんかも拾って情報量が多過ぎて使い物にならん。ある強さ以上のを拾おうとすればそれより弱いのは拾わない。広くなればなるほど外縁の精度が落ちる」

「人間以上の強さにすれば良いんじゃないの?」

「スキルで弱くされたら拾えん。そういうスキルが有れば、だが」

「なるほど。ほどほどにしないと駄目なのね」

「暗殺や工作員だとそういうスキル持ってるかもねぇ」

「でも有利なのには違いありませんわ」

「それは間違いないわね」

「僕が広く展開して菊池君に精密に感知してもらうか」

「二段構えね、そうしましょ」

「それなら安心だね」

「襲撃されたらどうするんだ?勿論反撃するんだろ?」

「当然だ。護衛を盾にする」

「まぁ、護衛だし」

「そうだよ。昨日役に立たなかった分、働いてもらわないと」

「でもスパイだったらどうするんです?」

「当然殺す」

「生け捕りにしなくていいのか?」

「そんな余裕が有ればな」

「そうだな」

「明日は馬車で行こう」

「良いけど、どうして?」

「仮にヤバくなったら逃げる。他の馬車では追いつけん」

「そうだね。相手も馬車で来ても逃げ切れる自信が有るよ!」

「少し心が軽くなるな」

「じゃぁ明日に備えて早めに寝ましょうか」

「そうだね」

「ナー」


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