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HappyHunting♡  作者: 六郎
第11章 北部動乱 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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「東門の清掃もやるんでしょ?」

「うむ」

「午後からやります?」

「いや、まだ調査が続いているのだ」

「えっ、でも大丈夫なんですか?今攻められたり」

「それは大丈夫のはずだ。昨日の戦いで敵は死者が100人を優に超える。傷者もそれに匹敵するだろう。戦力は当初の7割程になっているはずだ。当分立て直しやらで攻めては来れまい」

「なるほど。だとしたら今の内ですか」

「・・・食料かの」

「えぇ」

「うむ。その辺も考えているのじゃ。もしかしたら頼むかもしれん」

「それは構いませんが、収納袋は公にしたくないので大きな作戦にされると・・・」

「大丈夫じゃ。配慮はするよぉ」

「お願いします」

「それで、敵の幹部を討ち取ったのは覚えているかね?」

「幹部?」

「マコル!お前が壁から引き摺り落とした男だ!」

「・・・あぁ!あのプレートメイルの!」

「そうだ!何で忘れる!」

「特に印象無いからなぁ」

『そりゃぁねー』

「記録によると鉤縄で落としたとあるが」

「そうですね。なんか背が高くてごっつい、狙い易い奴が来たなーって思ったんで。楽でしたね」

『・・・』

「そうだ!念の為に剣を拾って・・・えーっと、それから・・・」

「私が預かったんだ!」

「そう!確かそう・・・のはず」

「疲れてたからね」

「そうだねぇ」

「仕方ありませんわ」

「スタミナポーション2本も飲んでたしな」

「そうだ!ポーション売ってます?」

「品切れじゃのぅ」

「ですよねー」

「もう1人、幹部を。これは生け捕りだが」

「・・・あぁ、あいつね。あいつもあんま印象無いなぁ」

「・・・どうやって捕まえたのかね」

「梯子を降りて逃げようとしてたので、飛び降りて踏んずけながらそのまま地面に」

『・・・』

「地面に落ちたら起き上がれない感じだったので」

『そりゃぁねー』

「そのまま手足の骨を折って捕まえました」

「・・・う、うむ。証言とほぼ同じだな」

「お前達が倒した幹部達は結構重要な人物だったのじゃ」

「へぇ?」

「立て直しに時間が掛かるというのはそれも含まれているのだよ」

「なるほど。まぁ、フリーエさんの為になったのなら、良かったよな?」

「そうね」

「うん!」

「はい!」

「そうだな」

「ヒェッヒェッヒェッ。ありがとなぁ」

「ブルーフの報告だと君達も流石に疲れたようだね」

「彼女らはゾンビみたいでしたね」

『お前が1番ゾンビだった!』

「ヒェッヒェッヒェッ。まーずはゆっくり休んでおくれな」

「ありがとうございます」

「すまないが報酬は今は無理なのだ。後日必ず支払うので待って欲しい」

「戦争に勝たなきゃ報酬も無いですよ。なっ、バイヨ」

「はい。承知しております」

「すまないねぇ」

「午後は特に任務は無い。上長には連絡をしておくから休むなり自由にしてくれ」

「分かりました」

「ただ直ぐ連絡が付くようにはしておいてくれ」

「はい」

「うむ、御苦労だった!これからも頼むぞ!」

『はい!』




カズヒコ達が部屋を出て行く。


「ふーむ」

「いや、数を正確には覚えていないとは」

「しょうがないじゃろ。乱戦じゃったみたいじゃし」

「冒険者ならば報酬の為にキッチリするでしょう」

「冒険者なのは間違いない。悪魔を倒すくらいじゃからのぉ」

「えぇ」

「フリーエ様の為と言っていましたが・・・」

「本心であって欲しいものよ」

「私にはそう思えましたが」

「ヒェッヒェッヒェッ」

「まぁ正確に数えられませんでしょう。今の所の記録だけでも彼らだけで少なくとも80人を倒していますから」

「ふーむ」

「街外の弓兵は殆ど彼らでした。矢が我が軍が支給する物ではありませんでしたし」

「壁上の死体も門の真上付近の死体は彼らで間違いないでしょう」

「ふーむ」

「門ですが。街軍の死体は有りませんでした」

「門を守っていなかった訳だな」

「はい」

「塔に押し込まれたとか」

「はい」

「ふーむ」

「門付近の死体ですが。我々が倒した敵の傷口は分かります。他は全て切れ味の悪い、剣で斬ったのではなく鉈のような物でぶった斬ったようでした」

「山刀か」

「恐らく。傷口も汚く、恐らく血糊だろうと思われます」

「連戦で汚れていった刃物だと」

「えぇ」

「しかしその死体が30以上?」

「・・・はい」

「信じられんよ」

「はい。私もそう思います。しかし・・・」

「何か見たのか?」

「・・・はい」

「何を見た」

「・・・仮面の下の、素顔・・・ですか。確かに仮面はしていましたが・・・」

「「・・・」」

「仮に。ブルーフが奴と戦ったとして、勝てるか」

「・・・1対1なら」

「ん?」

「戦争だと負けます」

「戦争だと?」

「何が起こるか分からない戦場だと、っちゅう事かいの」

「はい」

「・・・そうですな。幹部を倒したのも真面に戦っておりませんし」

「それがあやつの戦い方なのじゃろぅて」

「はぁ、しかし」

「勝ち方が有る、ただ勝てば良い訳ではない・・・と」

「・・・はい」

「それは騎士の我儘じゃろぅ」

「・・・」

「それで北部に占領されれば苦労するのは民じゃ。騎士の自己満足の為に民を犠牲には出来ん」

「我儘・・・ですか」

「矜持を持つのは大事じゃが、それに囚われてはいかんのぉ」

「・・・はい」

「さてさて。仮面の下は悪魔かそれとも・・・」

「フリーエ様を慕っていましたが」

「情が深いのはそれだけ恨みも深いものよ」

「・・・任務で恨まれるかもしれませんな」

「ふーむ」

「私が命を懸けて御守り致します!」

「ヒェッヒェッヒェッ。若いもんを盾にする訳にゃぁいかんわな」

「しかし彼らにはやってもらうので?」

「はぁ~。街軍がここまでだったとはのぉ~」

「これは他の街でも同じなのでは」

「はぁ~。春じゃというのに気が重いのぉ」




僕達は宿舎の部屋に戻って来た。


「さて。午後はどうしようかしら」

「ゆっくり休もうぜ」

「ナ~オ」

「この子もそう言ってるしね」

「そうだな」

「道具の手入れもしっかりした方が良いだろうしね」

「カズヒコさんの上着を仕上げますわ」

「頼むね」

「はい!」

「私は薬草キットで《薬学》修行だ」

「あたしは戦闘用バックパックを作るよ」

「大活躍だったぞ」

「うん!」

「私は何しようかな」

「舟調べたら?」

「庭だと兵士に見られちゃうでしょ」

「この部屋でやれば良いんじゃないか?」

「「「「・・・」」」」

「調べるだけなら大丈夫だろう」

「そ、そうね。作業しなけりゃね」

「舟がある部屋って初めてだよ」

「カズヒコさんは何をされるんですか?」

「庭の隅を《偽装》して鍛冶をしようと思ってる」

「大丈夫!?」

「そういやカズ兄ぃの山刀、もう駄目になったんでしょ?」

「あぁ。昨日だけで2本逝った」

「最近連戦だったからね。替え刃を作るの?」

「いや今日は作らない。金鎚音は出ないと思うから大丈夫だと思うよ」

「そう。まぁ、気を付けてね」

「あぁ」




僕達は、それぞれの午後を過ごした後、揃って夕食を食べた。

部屋に戻って話をする。

サーヤ君から新しい上着を受け取った。


「良いじゃないか」

「良かったです!」

「手慣れて来たわね」

「はい!」

「上着も作れるんじゃない?」

「そうね」

「作ってみるか?」

「はい!」

「この戦争が終わってムルキアに帰ったら素材を手に入れよう」

「そうしましょう」

「菊池君はどうだったんだ?」

「分解して構造は分かったわ。同じのは作れると思う」

「そうか。じゃぁ広い場所で分解したやつを組み立て直してみるか」

「そうね」

「カズヒコさんは何を作っていたのですか?」

「あぁ。みんなにプレゼントだ」

『プレゼント!?』

「ほい」

「これ・・・望遠鏡?」

「あぁ」

「望遠鏡?小さいねぇ」

「ポーションの瓶を再利用した」

「望遠鏡は値段が高いが自作出来るのは良いな」

「昨日、遠くに敵を見た時欲しいと思ってね」

「なるほどねー」

「月も見られるの?」

「そこまでじゃない。試しに作っただけだ」

「カズ兄ぃは感知は出来るけど敵かどうかまでは分かんないもんね」

「なるほどね。だとすると私にも都合が良いわね」

「あぁ。場所は分かるんだ。敵かどうか確認も遠くから出来る」

「性能を上げていってよ。月とか見てみたいわ」

「そうだな。前の世界よりも大きいしな。むっ!」

「どうしたの?」

「誰か来る・・・事務員の子だ」


コンコンコン


「失礼します。カラッハ様からの緊急の呼び出しです」


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