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HappyHunting♡  作者: 六郎
第11章 北部動乱 (マコル、マリア、マーラ、マヤ、セリーナ)
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⑪-14-307

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番われた1本の矢。

その先には弓を持った女が居る。

仮面を被ってるが好みの体つき、良い女だ。

街を落したら犯してやろう。

男が近い将来の欲望の夢を矢に載せて放つ。

矢は弧を描きながら女に向かって飛んで行く。

あの女が死んでもまぁ、街の中に女は居るだろ。

そう思っていた男の矢は目標の女に近付いて行き女の目前に迫る。

女もその矢を認識したようだ。

その矢を凝視する女。

あばよ。


パシッ


隣に居た男に掴み取られた。

は?

次の瞬間には女から放たれた矢によって目を射抜かれた男は永遠に醒めない夢の中に沈んで行った。




雷魔法の《神経強化》発動によって判断速度が増して矢が飛んで来ても掴み取れるようになっていた。


「だから敵の矢は気にせず俺の傍で撃ってくれ!」

「「了解!」」


敵の矢は届くがその距離はこっちの矢も勿論届くし威力も高くなる。

殺傷力はこちらが上だ。

しかし、


「どんどん梯子を掛けられてるな!」

「側塔からの援護が!」

「下手過ぎて当たってないんでしょ!」

「全く!」


登って来る魔力を感知する。

結構居るようだ。


「どうするの!」

「このまま弓兵を狙え!」

「分かったわ!」

「良い天気だ!」

「曇り空が好きだったな!」

「あぁ!マリア!マーラ!」

「「!?」」

「席を外す!矢を受けないようにな!」

「「りょ、了解!」」


俺は昼に作った火炎瓶に火を点ける。

それを持って付近の登って来る男の頭上に掲げる。


「そい!」


ガシャン!


梯子を登っていた男の頭に当たって割れた。

瞬間に火が男を包む。


「ぎゃああぁぁぁ!」

「あ、そい!」

「ぎゃあああぁぁぁ!」


何個か火炎瓶を落して2人の下に戻って来た。


「焼け石に水なんじゃないの!?」

「足元に火が有ると落ち着かないだろう!」

「延焼の可能性も有りますね!」

「矢は大丈夫だったかい!」

「手甲で弾きました!」

「はっはっは!流石だ!」

「はい!」




歩兵は街壁に殺到していた。

なまじ離れているほど弓で攻撃される危険が高い。

街壁に貼り付けば街壁上に居る射手は乗り出さないと撃てない。

乗り出そうとすれば味方に撃たれる。

問題は側塔だが命中率は低そうだ。

これなら梯子を登って行った方が良いだろう。

略奪は早い者勝ちだ。

だったら早く梯子に。

そんな思いの歩兵は街壁に殺到していた。


その様子を馬から降りて見ていた先程の慌てぶりから回復した指揮官は安堵の笑みを漏らす。


「士気も高いようだな」

「はっ。閣下の指示の賜物でしょう」

「うむ」


しかし確実に数を減らしていってる弓兵が気掛かりだ。


「この攻撃に全てを懸ける・・・」


指揮官は侵攻当初楽観視していた。

報告によれば街主の搾取と悪魔騒動でキルフォヴァは疲弊しているらしい。

村に来てみればその報告は確かだと思うに至った。

楽にキルフォヴァを落せるかもな。

周りの反対を押し切って攻め込んだのだ、必ず手に入れなければ。

しかしその思いはフリーエによって阻まれた。

今までの2度に渡る攻撃でも落ちなかった。

補給はキルフォヴァ付近では出来ず本国からのは細い。

今回の攻撃で落とさなければ不味い状態になる。

故に北門西門を攻めると見せかけ陽動し、東門に兵力を集中した。

短時間集中攻撃による一点突破。

これに全てを懸ける!




「弓兵が少なくなってるな!良いぞ!みんな!」

「でも歩兵が登って来てるんでしょ!」

「気にすんなって!」

「いや!無理!」

「梯子には1列でしか登れないんだから先頭を抑えれば良いんだよ!」

「私達の所はね!他が不味いみたいよ!」


周りの味方の兵士は確実に数を減らしていっていた。

石を落とそうとして、

弓で乗り出して、

流れ弾に当たって、

そんな理由で死んでいく。


「バイヨ!」

「おう!」

「そっち登って来るぞ!」

「《バインド》する!?」

「まだ良い!叩き落とせ!」

「任せろ!」


「うおおおぉぉぉ!」


壁に手を掛けた兵士が雄たけびを上げそのまま一気に登って来た。


「ご苦労さん!」


大剣を振り抜かれた兵士は吹っ飛んで落ちて行った。

俺の方でもミキの隣で登ってくる奴が居る。

戦闘用バックパックからロープを取りだす。

小袋に入れた砂を掴む。


「うおおぉぉぉ!」


兵士が登って来た。


「《土想造コントロールアース》」


バッと砂を兵士の顔目掛け投げ付ける。

土魔法によって誘導された砂は兵士の目へ。


「うあっ!?」


目を押さえる兵士。

そこへ首にロープを巻き付け腹を蹴る。


「う、う、うおおああぁぁ!」


よろめいた兵士は街壁の向こうへと消えた。

しかしロープがビイイィィンと張ってその拍子に首の骨が折れたのだろう、

兵士は動かなくなった。

外壁に兵士の死体がだらんとぶら下がる。

ロープを胸壁に巻き付け固定した。

これでこの真下の梯子からは死体を処理するまで登って来られんだろう。

そうだ。

胸壁と胸壁の間に《罠》でロープを仕掛けよう。

それを《隠蔽》しておけば、登って来た兵士が引っ掛かって転ぶ。

そこに斬りかかればいい。




「か、閣下!弓兵の死傷者が3分の1を越えました!」

「くっ!」

「弓隊を退かせますか!?」

「いや!このままだ!」

「し、しかし!」

「魔導士を投入しろ!」

「は、はっ!」

「あの中央の門の上の弓兵らを狙うんだ!」

「ははっ!」


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