⑪-07-300
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「くそっ!あんのアマァ!」
「あいつ等やるぞ!」
「見りゃぁ分かんだよっ!」
「隊長!どーすんですかぁ!隊長ぉ!」
「囲め囲め!こちらの方が多いんだ!囲むんだ!」
「盾を避けて回り込めぇ!」
「弓を殺せぇ!」
「おぉ!」
「おぉ「サクッ」おうふっ!」
「ちくしょーがっ!」
彼女達と兵士達は対峙して睨み合いとなった。
彼女達は矢を撃っても武器で叩き落とされる。
兵士達は回り込もうとすれば集中射撃を食らう。
集中射撃の隙に近づこうとすれば盾に阻まれ大剣でブッ叩かれる。
「貴様等ぁ!」
「うあぁーん!」
幹部らしきプレートメイルの兵士が子供を掴んで出て来た。
「子供を殺されたくなければ武器を捨てろぉ!」
「な、なんて卑怯な!?」
「それでも兵士なの!?」
「クズ野郎が!」
「わーはっはっは!何とでも言え!戦争は勝てば良いのだ、勝てば!」
「何が戦争よ!村を略奪してただの盗賊じゃないの!」
「喧しい!これが戦争というものだ!」
「流石副長!」
「今の内だ!やっちまえ!」
「おらぁ!武器を捨てやがれ!」
俺は付近の家の掃除を終え、兵士達の背後からクロスボウで撃っていた。
バレないよう最後尾の奴を狙って。
しかしそんな場合じゃないようだ。
子供を盾にしている兵士にダッシュで近付き首を刎ねる。
『あっ』
副長が死んだ事態に兵士が固まっている内に子供を抱えてその場を離れる。
「《バインド》!」
「うあっ!」
「ぐあっ!」
シュシュシュシュッ
「ぐぅ!」
「ひう!」
「ふあ!」
彼女達目掛け走り込んでいた兵士達は闇の手に掴まれ身動き出来ない所を射殺されていった。
「あの野郎!」
「男も居たぞ!」
「ブッ殺せ!」
「ほら、この家に入ってろ」
「うん!」
子供を家に押し込め追いかけて来た兵士に相対する。
「死ねやぁ!」
1人の兵士が剣を振り上げる。
ガクッ
「!?」
兵士が体勢を崩した次の瞬間、その兵士の首は飛び刎ねていた。
マチェーテに血振りをくれる。
「おぉりゃぁぁぁ!」
ガクッ
「!?」
更に首が飛ぶ。
「な、何だ!?」
「こいつやるぞ!」
「えぇーい!副官!あいつを仕留めろぉー!」
「おぉう!」
プレートメイルの大柄の男が大剣を手にズイッと前に出る。
「《身体強化》!」
なるほど!
《魔術昇華》か《魔力操作》Lv10か《魔力探知》か、
それ等のお陰かその全部のお陰か分からないが、
奴のスキル発動で胸に魔法陣が出るのが視えた。
魔力も体中を巡っている。
魔法陣。
ジュゼッペを殺した後、彼女達や街の人達が恐らくスキルを発動したのであろうそのタイミングで視える事があった。
しかし常時展開してるスキルなんかは視えない。
これは俺のスキルレベルが低いせいか?
まぁそれは今調べなくともいいだろう。
重要なのは魔法陣が2次元ではなく3次元的なのだ。
的、というのは、
魔法陣は多面体。
しかも閉じられていない、面の足らない面体なのだ。
しかも発生する時は2次元の魔法陣1枚が先ず最初に現れる。
その面の一辺から更に面が展開され、
更に展開された面から新たな面が展開されていく・・・
閉じられていない、つまり不足している面はレベルが足らないという事だろうか?
恐らくそうだと思う。
何故なら今発動しようとしている土魔法はLv1、
《土想造》が2次元の魔法陣1枚だけだからだ。
大剣を振りかぶって今まさに左足を踏み込もうとした大男の足元に穴が開く。
僅かに開いた穴。
しかし全力を大剣に込めた大男のバランスを崩すには十分だった。
ガクッ
「!?」
《神経強化》で思考速度が速くなって大柄の男がここまでやって来るまでに色んな考察が出来た。
便利、いや、凄い俺に合っている。
魔力消費が大きいが。
サク
バランスを崩した大柄の男は俺に首を差し出す格好となってそのままさっくり突き刺される。
「かぱかぱかぱ・・・」
声が出ないのかしきりに口を開閉させているが、
膝を横から蹴り砕きよろけた所に腰の鎧の隙間から山刀を刺し込む。
ギン
チェインメイルに阻まれたようだ。
腰帯から錐を取りだし首を押さえている男の側面に回り、同じ個所に刺し込む。
「ぐえ」
背後に回ってもう一方の膝を砕いて首に錐を刺し込む。
5、6度ほど刺し込んで男を引き摺り倒す。
目を突き刺して大男は動かなくなった。
錐をしまいマチェーテを持ち直して立ち上がる。
「こっ、降伏する!」




