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HappyHunting♡  作者: 六郎
第10章 土竜 (マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ、セラナ)
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その夜。

ラグリ商会へ向かった。


「エウベルトが使ってたって所ね」

「普段人気が無い所だよね」

「彼らが、諜報員が使ってたって事ですか」

「なるほどな」


ラグリ商会は倉庫街の一角にあり、倉庫とは別に本館も有る。

本館は普段人の気配が無かった館だ。

日中は人が多い倉庫街も夜になると人は居ない。

みんな居住区へ帰るのだ。

ただ、周りの館から灯りがちらほら零れている。

仕事をしている所も有るのだろう。

そういった館の死角からラグリ商会に近づいて裏口に辿り着いた。

《罠》で鍵を開け館に忍び込む。

当然中は真っ暗。

各自、最低限足元だけを照らすようにランタンを持っている。

灯りが外に漏れないように気を付けてだ。

館はそんなに大きな物ではない。

普通なら商店区にあるべきだろう商会本館は恐らく目立ちたくない為、

何かからか、何かを隠す為か。

したがって館を視ても特段怪しい物は無かったが、


「地下だな」

「地下?」

「地下が有るの?」

「あぁ」

「怪しいですわ」

「だな」


館の地下に以前視た金庫のような物が視える。


「でも地下への階段が無いわ」

「そうだねぇ」

「隠してるのでしょう」

「だな」

「丁度この壁を挟んだ応接室の真下。応接室と同じ大きさの空間が有り、その壁に金庫が有る様だ」

「うーん」

「しかし今僕等が立ってる廊下までよりも地下は広いようだ」

「・・・つまり?」

「つまり、この近辺に地下への通路が隠されている」

「へぇー」

「この近辺っていうと・・・怪しいのはこの収納部屋?」

「だな。他には見当たらん」

「開けてみよう」

「うん」

「鍵が掛かってますわ」

「任せろ」


《罠》とピッキングで鍵を開ける。

中を照らすと狭い部屋はちょっとした倉庫で備品が保管されている。


「・・・特に怪しい所は無いわね」

「床を調べろ」

「床・・・敷物が敷いてあるね」

「敷物をどかしましょう」


敷物をどかすと床は木材の床板を張り合わせて出来ていた。


「木だねぇ」

「うーん」

「別に・・・」

「僕が調べる」


俺は床に這って床板と床板の間に爪を入れて調べる。

あらゆる方向から爪を入れてしばらくすると爪に感触が無くなる。

引っ掻けて持ち上げると床板が浮き上がり取っ手が現れた。


『えっ!?』

「ロープを巻いて引っ張るぞ」

「え、えぇ」


取っ手にロープを巻いて部屋が狭いので全員じゃなく3人で引っ張ると、

取っ手が有った一帯の床が捲れ上がった。


「わぁ・・・」

「階段ですね」

「こういう仕掛けか」

「僕が最初に降りる。声を掛けるまで来るな」

「でも」

「私が盾で行こう」

「いや、生物の魔力反応は無い。罠だけを用心すれば良い。それなら僕が先頭だ」

「・・・そうね」

「分かったよ」

「はい」

「うん」


俺はランタンを照らしながら階段を降りて行く。

この空間なら館外に灯りは漏れない。

降りてゆくと異臭に気付く。

1階の応接室よりやや広い空間の中央に大きな台が有り、

それに2匹の悪魔が載せられていた。


「声を立てないで聞いて欲しい」

『うん』

「悪魔が死んでる」

『えっ!?』

「立てるなって」

「だ、だって」

「そ、そうだよ」

「悪魔って聞いちゃぁ・・・」

「う、うん。しょうが無いと思うぞ」

「まぁ、そうだな。危険は無さそうだから降りて来ても良いぞ」

「じゃ、じゃぁ・・・」

「せ、折角だしね」

「カズヒコさんの下に行きます」

「盾は必要なさそうだな」

「壁に手を付きながら降りて来ると良い」

『分かった』




5人分のランタンだと少し足りないが辺りを探すと部屋用の照明器具が有った。

魔石はまだ残っているようで使ってみる。


『きゃっ!』


照明に照らされた部屋の中央の台の上に2匹の悪魔が横たわっている。

そりゃぁ悲鳴の1つも上がるわな。


「臭いのは悪魔の死体のせいね」

「でも虫も集ってないし・・・」

「腐敗もしていませんね」

「悪魔の血を抜き取ったんだ。合わせて体液も抜いたんだろう」

「なるほど。腐らせないようにか」

「防腐処理も施してある。臭いはそれも有るな」

「こいつらも元は・・・」

「だろうな」

「周りには医療器具が有る。ここで血を抜いていたんだ」

「ふーむ。拘束具で拘束されたまま、か」

「遺体は古いのとやや新しいのが有る」

「新しいのがエウベルトが飲んだ血って事か」

「書類も有るね・・・観察記録みたいだね」

「ラグリ商会の書類も有りますわ」

「ふむふむ。ウリク商会と商売していたのは事実みたいだな」

「金庫を探しましょうよ」

「そうだな。こっちだ」


部屋の奥の壁に絵画が掛けられている。


「神か」

「あぁ。八神教の1神だな」

「神の前で悪魔の儀式か・・・笑えないねぇ」

『・・・』


絵画をどけると金庫が現れた。

鍵を差し込む。

魔力反応の後、


カチャリ


音がした。

扉を開く。

中には書類と金が入っていた。


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