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HappyHunting♡  作者: 六郎
第10章 土竜 (マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ、セラナ)
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「黒犬かぇ」

「はい。ご存じですか」

「あぁ。眷属じゃな」

「はい。ブラックドッグの正体は人間でした」

『何っ!?』


動きが止まる。


「なんとまぁ・・・倒したのかぃ」

「はい」

「そうか。人間か・・・悪魔の血か」

「フ、フリーエ様!?」

「村人の少女がヨセフなる者に会っていました」

『何っ!?』


こういう遊びが有ったな。達磨さんが転んだ・・・だっけ?


「ヨセフか・・・人相は」

「盲目の少女で」

「・・・そうか」

「それからムルキアに帰って知り合いの商人が以前、ルンバキアからの帰りの旅で襲われた際の犯人を思い出したのですが・・・」

「悪魔だったと」

「はい」

「時系列は」

「村の事件発生後に商人の襲撃です」

「なるほど。ルンバキアからベルバキアに移動し、村からまたルンバキアに来た、と」

「恐らく」

「ふーむ。動きが読めんのぉ」

「はい。残念ながら」

「ふーむ」

「今回は正規軍じゃ無いんですね」

「そうじゃ。流石に目撃情報が無いからのぉ。適当に理由つけて来たのよ」

「目撃情報が無いのもどうやら・・・」

「街主のやつじゃな」

「フリーエ様・・・」

「街民の歓迎は悪魔討伐へのものよりむしろ・・・」

「街民の情報によれば村も搾取されて依頼も出せない程困窮しているらしいです。冒険者ギルドの依頼掲示板も依頼は少ないですね」

「討伐依頼なんかがが少ないんは歓迎じゃが理由次第じゃな」

「商人は寄り付いてないです、冒険者は高ランクは既に他の街へ」

「街主の慌てようはそういう事かぃ」

「如何されます?」

「残念じゃが今はどうにも出来ん。街主は貴族じゃ。正規の手順を踏まんとな。ワシらはあくまで別件で来たからのぉ」

「左様ですな」

「別件の話を詰めよぉ」

「僕等がムルキアからの道中の村々には被害は有りませんでした」

「ふむ。大机の地図を見ようかぇ。よっこらせぇ」

「おんぶしましょうか?」

「きっ、君!」

「ヒェッヒェッヒェッ。頼もうかのぉ」

「老人は大切にしませんと」

「聞いたか?おんしらぁも、もっと大切にせぇ」

「君。フリーエ様が落ち着いてるのは今だけだぞ。戦になったらそれはもう・・・」

『ぞぞぉ~』


俺はフリーエさんをおんぶして大机に広げられたこの辺の地図を見られる椅子に降ろした。

フリーエさんは椅子に立って地図を覗き込む。


「マコルが西から来た。先ずは西は省いてよかろう」

「左様ですな」

「部隊を2つに分け、一方は北西から東へ。一方は南西から東へ。それぞれ村を調べながら移動し東で合流」

「とりあえずこの周辺の捜索ですな」

「うむ。何か有れば街まで報告に帰って来るのじゃ」

「はい」

「マコル達が来たのは勿論・・・」

「フリーエさんのお役に立つためですよ」

「ヒェッヒェッヒェッ。頼りにしとるでよ」

「ぜぜぜ全力を尽くす所存であります!」

「ヒェッヒェッヒェッ。気張り過ぎちゃぁ駄目だよぉ」

「あああありがとうございます!」

「マコルも。パーティを頼むよぉ」

「無理そうなら逃げます」

「うんうん。それでえぇ」

「僕等は北を受け持ちます」

「・・・おんしらぁは南がえぇじゃろ。国境にも近い、危険じゃ」

「ブラックドッグは子供達を食っていました」

『・・・』

「もしかしたらヨセフが居るかもしれない」

「生け捕りにしたいんが正直な所なんじゃが」

「・・・そうですね。努力します。しかし北は譲れません」

「・・・情報料って事にしようかね」

「ありがとうございます」

「気ぃ付けてなぁ」




カズヒコ達が部屋を出て行った。


「彼らが悪魔と魔女を倒した例の」

「あぁ。1人増えたみたいじゃな」

「ブラックドッグも倒すとは」

「ヒェッヒェッヒェッ」

「見かけでは分からんもんですな」

「女4人じゃしな」

「子供の事で熱くなっていました。フリーエ様が気にかけるのも分かります」

「新しい世代が出て来とるな」

「しかしまだまだですよ。あなたの指導が必要でしょう」

「これ以上仕事を増やさんで欲しいのぉ」

「・・・街主ですか」

「別件で来たが何もせんとは言っとらんしのぉ」

「では内密に」

「うむ。頼むぞぇ」

「承知致しました」




宿の部屋で明日からに備える。


「どうだった、憧れのフリーエ様は」

「はぁ~。緊張したぁ~」

「ふふふ。ケセラの慌てよう」

「あんなケセラ姉ぇ初めて見たよ」

「ホントね」

「し、仕方ないだろう。雲の上の存在だったのだから」

「フリーエさんをガッカリさせんようにしないとな」

「うん。締まって行く」

「北は危険って言ってたけど」

「僕は間違っていた」

『?』

「ヨセフはルンバキアからベルバキアに行ってルンバキアに戻ったと言ったが」

「えぇ」

「最初の悪魔と魔女からの発生を見るとそうだよね」

「逆だったんだ」

「逆、ですか?」

「冬虫夏草の依頼を受ける時に、盗賊団か悪魔かは50%50%だと言ったが」

「あぁ、言ってたな」

「結果的に関係ない冬虫夏草だったけどね」

「100%だったんだ。いや結果からだと0%なんだが」

「うん?」

「ヨセフはルンバキアから悪魔騒動を始めたが拠点はルンバキアじゃなくベルバキアだ」

「隣の国に騒動を起こしていたって言うの?」

「あぁ」

「100%と言うのは?」

「盗賊団、悪魔。どっちでも当たりだった」

「どっちも?」

「僕等が当初この国に来る目的・・・」

「諜報員を追って・・・!?」

「えっ、まさか!?」

「そうだ。ヨセフが諜報員だ」




ドドドドドド

ガラガラガラ


馬車を駆って先へ急ぐ。


「先ずは良かったが。手掛かりは無かったな!」

「あぁ、そうだな!」


黒猫を宿の部屋に残し、早朝にキルフォヴァを出発して北西に進んで村を訪ねた。

通常の馬車なら1日掛かる距離だがこの馬車なら昼に着いた。

そこは悪魔の被害は無かったが酷い困窮した有様だった。

転進して東へ向かう。


「でも何で北なの?」

「最初にソルスキア国境に近い南で悪魔と魔女騒動を起こした」

「次は北って訳?」

「村の現状が酷い。旅人や冒険者も居ない」

「目撃者も居ないって訳ね」

「それにヨセフがティラミルティの諜報員なら逃げやすい北側でやるだろう」

「悪魔、魔女、ブラックドッグにまた悪魔だもんね」

「このまま逃げる気でしょうか」

「それは分からないな」




夕方近くに街の北方面の村に着いた。


「当たりだ」

『えっ!?』

「一切の魔力反応が無い」

「1つも!?」

「マヌイとケセラは野営の準備を。他は手分けして手掛かりを探す!」

『了解!』


3人で手分けして手掛かりを探していると、


「カズヒコさん!」


サーヤの下へ走る。


「骨か」

「人間のでしょうか」

「恐らく。まだ有るかもしれん。探してくれ」

「分かりました!」


付近を探すと次々と見つかった。


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