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HappyHunting♡  作者: 六郎
第10章 土竜 (マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ、セラナ)
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カズヒコ達全員がフィンチを見詰めていた。


「ワシを見るなぁ!」

「どうした?こいつ」

「さぁ」


フィンチが手を置いた地面から小さな者達が生えて来る。

それは今まで食らって来た子供達だった。


「ひぃっ!」

「何をしてる?」

「振り払ってる?」

「眷属になると何か変な物まで見えるのか?」

「さぁ」

「許して!許してぇ!神よぉ!」

「司祭だろ。懺悔は自分でしろ」

「ぐああぁぁぁ!」

「不味い!」


俺はフィンチの胸毛を両手で掴み引き寄せる。


「おい!フィンチ!誰に飲まされた!?」

「おぉ、神よお許しを・・・」

「うるせぇ!おめぇが縋れるのは悪魔だけだ!」

「あ、悪魔ぁ!」

「それはてめぇだ!言え!誰に悪魔の血を飲まされた!」

「助けゴヴァっ・・・」

「言え!言うんだ!誰だ!」

「・・・マルコ」

「言えぇ!」

「もう死んでるわ!分かってるでしょ!」

「・・・」

『・・・』

「言ってから逝けぇ!」


俺は乱暴に手を放して木に叩きつけた。


「クソがっ!」


木に背もたれたフィンチは口から大量の血を垂らしていた。


「終わった・・・な」

「ブラックドッグはな」

「司祭・・・」


マリオンは司祭に向かって祈りをしようとしている。

その手を掴んだ。


「よせ」

「!?」

「神を裏切った奴だぞ」

「それでも、神は許すでしょう」

「子供を殺して食ったのにか」

「誰にも救いをお与えになられます」

「邪神は認めないのにか?」

「・・・」

「好きにしろ。お前らの神だ」


俺は手を放した。


「・・・神の御導きを」


マリオンはフィンチに祈りを捧げた。


「これからどうする?」

「死体を持ち帰り村長に見せる」

「依頼は完了という訳だな」

「その前に教会へ行って教会とフィンチの持ち物を調べる」

「どっ、どうしてです!?」

「あん?」

「何の為に!?」

「お前馬鹿か」

「なっ!?」

「フィンチが自然に悪魔の眷属になったのか、悪魔の血を飲んだのか。調べないといけないでしょ」

「そ、それは・・・」

「ルーラ君。網を出して。それで4人で担いで行こう」

「はい」

「し、司祭の身を清めさせて下さい」

「断る」

「なっ!?」

「討伐したのは俺達だ。こいつは俺等のだ、お前には口出しする権利は無い」

「で、でもこのままなんて!」

「神に祈ってやれ」

「そ、そんな」

「それしか出来ねぇだろ、あんた」

「・・・」

「フィンチとして逝かせたいのか?」

「・・・はい」

「じゃぁこいつは司祭だと村長に報告するが?」

「え、えぇ」

「教会はやっていけるのか?」

『!?』

「司祭がブラックドッグだったって知られて、存続出来るのか?」

「・・・」

「孤児達はどうなる?」

「・・・」

「教会が無くなったら、孤児達はどうなるんだ?」

「・・・」

「司祭として逝かせるのか、ブラックドッグとして駆除したのか。どっちだ」

「・・・ブラックドッグです」

「みんなも、良いな」

『分かった』




ブラックドッグを担いで村に帰った。

遺体は僕達の宿に保管すると言ってそのままマリオンにフィンチの部屋を案内させた。

勿論サーヤ君が収納袋に入れた。

部屋の捜索は俺がやっていた。

一応教会内をエマが主導して捜索してもらっている。

数時間の捜索の後、一部屋に集まって協議する。


「念の為ですけど、マリオンさん」

「・・・はい」

「この事は他には話さないで下さい」

「分かっています」

「では擦り合わせるか」

「私達は特に何も出ていないわ」

「血は、無かったか」

「えぇ」

「・・・そうか。僕の方は臭い消しを見つけた」

「臭い消し?」

「あぁ。犯行の前に使ってたんだろう」

「ふーん。それで臭わなかったのね」

「あぁ、先ずそれがおかしかった」

「うん?」

「魔犬でも獣臭さはある」

「ふむ。それが無いのがおかしいと」

「あぁ。人間の可能性を想起させた、それに」

「それに?」

「香だ」

「香?」

「教会で使われる香、少し独特の臭いだ」

「なるほど。それも消していたと」

「あぁ」

「朝のあれは、ポーションは嘘だったんですね」

「あぁ。教会の孤児院の子供が狙われてる。先ず教会関係者を疑うのは当然だろう」

「私と司祭を疑っていたのですか」

「どっちでも良い。当たった方を殺す、それだけだ」

「・・・」

「村人だったら別の手を考えてた」

「・・・」

「それに教会関係者なら見回りの時間を把握出来る」

「寝てる子供を連れ出せる訳か」

「でも誰か見てたんじゃない?あんなに大勢が一間に居たんなら」

「見たかもしれない」

「じゃぁ?」

「僕の聞き方が間違ったんだろう」

「うん?」

「知らない人を見てないか、そう聞いたが」

「そっか、子供達にとって司祭は知ってる人だもんね」

「司祭は募金の旅に出ると言って犯行を重ねてた訳だ」

「犯行の動機は小児性愛者って事で良いのね」

「村の妙齢の女性に被害は出ていない。教会の女性教徒にもね。先ず間違いないだろう。冒険者の女性は咄嗟に女に手が出たって事だろうな」

「じゃぁ、残るは・・・」

「あぁ、どうやってブラックドッグになったかだな」

「マリオンさん。司祭に変わった事は?」

「・・・いえ、これと言って思い当たる点は・・・」

「旅は事件前から行ってたのですか?」

「はい」

「旅先でなったのか、この村でなったのか」

「分からないわね」

『うーん』

「仕方ない。今は寝るか」

「そうね。朝に村長に報告するし」

「マリオンさん。司祭は旅に出た。そして戻って来ない。良いですね」

「は、はい」



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