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HappyHunting♡  作者: 六郎
第10章 土竜 (マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ、セラナ)
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「そんな訳で高ランクは留守だ。君達に頼みたい」

「はぁ~、前回の依頼では騙されたしなぁ~」

「むぐっ」

「報酬がちゃんとしてればなぁ~」

「も、勿論今回ははっきりした報酬査定を用意している」

「それが普通だよなぁ~。規格外の事をされたしなぁ~」

「うぐっ。ま、まぁとりあえず聞いてくれないか」

「聞いたら受ける流れだよなぁ~」

「それに今回の依頼は、ンナバイヨ君達がマルコ君達が受けるのなら自分達も受けると言う事で来てもらったのだ」

「えっ」

「あぁ。マルコ達が居れば安心だってね」

「巻き込むなよぉ~」

「そう言うなよ。信頼してるんだよ」

「前回危ない目に遭っただろ」

「それを切り抜けただろ。頼りにしてるよ」

「はぁ~。聞くだけ聞くか?」

「まぁ、しょうがないわね」

「しょうがないよ」

「しょうがないですわ」

「仕方ないな」

「す、すまんね」


「今回の依頼は討伐依頼。ブラックドッグの討伐依頼だ」

「「ブラックドッグ?」」

「「「ブラックドッグ!?」」」

「魔犬ですか?」

「マルコ!」

「マル兄ぃ!」

「マルコさん!」

「どしたー」

「「「悪魔の眷属(だよ)(です)!」」」

「帰るぞ!」

「えぇ!」

「待ってくれ!最後まで聞いてくれ!」

「う~ん。どうぞ」

「ここから北に3日行った所に村がある。結構大きな村で教会が有る」

「教会」

「エリス教だ」

「・・・」

「その孤児院の子供達が殺されている」

「「「「「!?」」」」」

「子供だけが狙われてるんですか!?」

「あぁ。その通りだ」

「悪魔の眷属って言っても犬でしょ!?無差別じゃなく子供だけを!?」

「あぁ。しかも死体の様子から性的暴行を受けて食われていたらしい」

「なんだと・・・」

「食べられるのはまだ分かりますけど・・・」

「そうなのだジーナ君」

「何故ブラックドッグだと断定されてるんですか?目撃者が?」

「あぁ。村民が何人かな」

「そいつらが犯人の可能性は?」

「勿論調べた。しかしその可能性は無いらしい。同時に複数人が目撃している。それに最寄りの街で依頼を受けた冒険者も被害を受けて撤退している」

「ブラックドッグの特徴は」

「人より大きく毛並みは黒」

「ブラックドッグか」

「うむ」

「他に被害は?」

「出ていない。村民を見ると姿を消すのだそうだ」

「ふーむ」

「目撃した村民は大人なんですか」

「あぁ」

「子供を・・・許せんな」

「えぇ」

「君達」

「良いよ、マル兄ぃ」

「ブッ殺してやりましょう!」

「孤児達の無念を晴らしてやる!」

「受けましょう」

「い、良いのかね?報酬を聞かなくても」

「・・・報酬を」

「う、うむ。討伐報酬は200万エナ。しかし討伐報酬なので君達2パーティで200万となる」

「えぇ」

「達成証明は証明部位だけで構わない」

「えっ!?悪魔の血は?」

「ブラックドッグは悪魔ではない。血で人間が悪魔にはならないんだ」

「それは良かった」

「とはいえ、悪魔の眷属。なるべく他の人間の手に渡るのは避けたい。納品してくれれば便宜を図ろう」

「分かりました。ちなみに素材は解呪の必要が?」

「あぁ、ある」

「・・・分かりました」

「では依頼票を渡そう」


「しかし、スティーゲンさん」

「うん?」

「ベルバキアで悪魔の眷属・・・」

「村付近では知られてしまった。もはや隠しようが無い。これからどうなるのかは分からん」

『・・・』

「バイヨ、出発は?」

「マルコ達は?」

「準備が必要だ。明後日だな。構いませんか」

「うむ。相手が悪魔の眷属だからね。しっかり準備してくれ」

「じゃぁバイヨ」

「分かった。明後日だね」

「では皆、くれぐれも注意してくれ」

『はい!』




本館を出てバイヨ達と別れた。


「腹減ったな」

「まだ間に合うわよ」

「急いで食べて作戦会議だよ!」

「そうね」

「そうだ!」


部屋で夕食後のフルーツ盛り合わせ(特盛)を食べている。

しばらく食べられないだろうからと注文した。


「ブラックドッグかぁ」

「縁が有るわね」

「しまったなぁ」

「受けたのが?」

「あぁ」

「何故だ!?」

「バイヨ達も居る。どうせなら単独で受けたかったな。全力が・・・」

「・・・そうね」

「しょうがなかったよ」

「えぇ。子供達が・・・勢いでしたし」

「・・・カズヒコも冷静になれなかったんだな」

「しょうがない。協力してブチ殺そう」

「はい!苦しませて殺しますわ!」

「戦闘になったら命令は聞けよ」

「えぇ」

「分かってる」

「大丈夫です」

「任せてくれ」


「準備って?」

「なるべく早く着きたい」

「馬車?」

「あぁ。急いで作ろう」

「分かったわ」

「3人は物資の補充をしてくれ」

「「「了解」」」




翌朝から荷車の改造に取り掛かる。

勿論修行は休みだ。

3人は食料や消耗品を買って来て荷物の品質の確認を午前中の内に済ませた。

午後には全員で馬車の改造に取り掛かる。

夕方には馬を借りて街外で試乗をした。


翌朝。

馬車屋で馬を2匹借りる。


「すまんな。今回もお前の出番は無しだ」

「ブオオォォ!」

「分かってくれ。子供達が危ないんだ」

「・・・ブゥ」

「早く駆けつけなきゃならん。分かってくれるな」

「・・・ブォ」

「またこいつ等と無事に帰って来て高級野菜持って来るから」

「ヒヒーン」

「ブオォ」

「お前もそれまで達者でな」




馬を荷車に繋ぎバイヨ達を宿に迎えに行く。


「「「たっか!」」」

「この馬車、車高高いわね!」

「って言うか、車輪が大きいのよ」

「荷台はそんなに大きくはないから車輪の大きさが目立つな」


街中は乗馬禁止なので馬をひいて北門を抜けた。


「よし、乗るぞ。バイヨ達の荷物を預かる」

「助かるよ」

「お願いね」

「ありがと」

「あと、厚着をした方が良い」

「厚着?確かに今日は曇りだから幌を付けずにオープンなのは分かるが」

「特にマスクはした方が良いな」

「マスク?今日はそんなに風は無いけど」

「・・・知らんぞ」




「「「びえええぇぇぇ~」」」


速度優先の馬車を改造して更に速度を増してある。

恐らく朝一で街から出て行ったのであろう馬車たちを何台も追い越していた。

幌を付けると風の抵抗を受けるからオープンにしてある。

馬も流石に全力だと1日中移動出来ない。

1日走れる速さで走っているが結構な速度だ。

従って馬車内を駆け抜ける風は過去に乗った馬車で経験した事のないものであったのだろう、バイヨ達3人が驚嘆している。

2時間程走って馬を休憩させた。

馬草と水を与える。

重そうな装備や大量の馬草、水は収納袋に入れて有るので荷車はほぼ僕等だけの重量だ。

更にケセラの《馬術》の影響も有るという。

通常の速度、持久力よりも何割か増しになるらしい。

荷車の耐久も若干上がるとか。

バイヨ達がガチガチ歯を鳴らしている。

風が寒かったのだろう。

僕等は春とは言え完全冬用装備だ。

特に《馬術》持ちの御者をやってくれてるケセラは、

大ヤスデのハーフマスクにゴーグル、冬用帽子にマフラーに防寒着と完全装備だ。

マヌイに急遽、大ヤスデの素材でハーフマスクを作ってもらった。

僕とサーヤ君が持ってるガスマスクタイプだ。

吸気孔は正面ではなく側面に出してある。

これで風のせいで呼吸が苦しくなることも少ないだろう。


休憩中にバイヨ達も厚着にしたようだ。

昼休憩前に徒歩1日の距離の村を通り過ぎた。

その後1時間くらい走って休憩を何度か繰り返し徒歩2日目の村を超えた辺りで野営する事になった。


ロケットストーブを出して土管に座り食事をしている。


「もうこんな所まで来ているとは・・・」

「風邪ひかないようにしないと」

「風呂に入ってくれ」

「ありがと」

「マルコ達との旅は楽だな」

「誘ってよかったわ」

「今回はまぁ、良いとしても厄介なのは勘弁してくれよ」

「はっはっは。すまないね」

「それにしても早い馬車ね」

「今までで1番早いわ」

「買ったのよ」

「馬車を?」

「荷車だけ。中古だけど」

「マルコが改造したのか」

「えぇ。元に戻す必要無いから本格的にね」

「へー」

「でも本格的にやり過ぎると返って重量が増すから適当にね」

「まぁ、荷物も私達だけだしね」

「収納袋ありきの速さね」

「君達も買いなよ」

「簡単に言わないでよ」

「お金は有っても物は無いってーの!」

「お金も無いでしょ」


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