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HappyHunting♡  作者: 六郎
第2章 冒険者 (コンテ:カズー、ミキティ)
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②-09-26

②-09-26




「うわっ!どうしたんですかっ!?」

「き、菊池君!」

「なんですか?」

「聞いたか?」

「何をです?」

「マイタケは魔物なんだって」

「聞きましたよ!キノコのモンスターですよね。まぁどんなのかは大体想像つきますが」

「値段が高いんだと・・・」

「えぇ、聞きましたよ。それがどうしたんです?」

「いいか、キノコは何類だ?」

「菌類です」

「そうだ、その通りだ。じゃぁ俺の固有スキルは何だ」

「《殺菌》です・・・あっ!!」

「分かったかね、菊池君」

「はい!しゃちょー!お金の匂いがします!」

「そうだろう、そうだろう」


「エルドさん。この時間ギルドってまだ開いてますかね?」

「んー?開いてんじゃねーかな。納品された物の処理をしてると思うぜ」

「そうですか、ありがとうございます」


「どうするんです?」

「先ずは納品の値段を調べよう。食べ終わったら行ってくる」

「私も行きます!ついでに生態や生息地なんかも調べましょう」

「そうだな、そうしよう。ふふふ、鍋が美味いぜ」

「ホントですね。メッチャ美味しいです!」


夕飯を食べ終わり急ぎ足でギルド納品館へ向かった。

食べた直後の血生臭さにちょっと咽る。

戸を開けて中へ入ると結構な数の冒険者がいた。


「人数多いな」

「ですね。普段私達は余裕を持って帰って来てますけど、普通の冒険者って門限まで粘るのかも知れませんね」

「なるほどな。僕達は魔法があるから楽に仕留められるからな」

「様様ですね、って。あれ?奥に行く人もいますね。どうしたんでしょう」

「ホントだな。ってそれは後で聞くとしよう。今はマイタケだ」

「そ、そうですね。多分いつでも聞けるでしょうし」


マイタケの価格板を探す。


「5000エナってマジかっ!?」

「ウッソでしょ!!」

「1匹で過去最高の稼ぎを更新するぞ!?」

「ひっひっひ・・・」


菊池君が怖い笑い方をしている。


軽く往復ビンタで頬をはたいた。


「戻ってこ~い・・・」

「はぁっ?・・・ま、ま、先ずは生息地ぃ、生態ぃ、攻撃方法ぅ、5000エナぁ」


まだ片足向こうの世界に残しているらしい。


そうこうしていると冒険者の数も減ってきたので色々聞いてみよう。

おっちゃんはカウンターにはいない。

他の冒険者の対応か、交渉担当って言ってたからそっちの仕事をしてるのかも知れんな。面倒くさくなくて都合がいい。


「すいません、少しお聞きしたいことがありまして」

「はい、なんでしょう?」

「マイタケっていうモンスターについて知りたいんですけど」

「マイタケ狙いですか。失礼ですけどランクは?」

「Gです」

「Gですと・・・難しいでしょうねぇ」

「と言いますと?」

「遭遇した時の為にお教えしますが。マイタケの値段が高いので関心を持たれたのかと思いますが、先ずその身が美味しいこと。あらゆる料理に合うので用途が広いんですね。更に毒袋も薬や武器などに用いられます。そしてあまり討伐されないこと、これが主な理由になっています。

と言いますのも、最大の理由が先述の毒です。ここらのマイタケは眠り粉を周囲にばら撒くので近接職は近づけません、遠距離職が仕留めても周囲の眠り粉が数時間は漂うので待っている間に別の魔物に襲われるのです」

「毒・・・ですか」

「はい」

「範囲はどの位ですかね?」

「5mって聞いてますね」

「ごっ,5m!?結構な範囲ですね」

「そうです。それで近づけないのですよ」

「狩ってる人はどうやって狩ってるんでしょう」

「それを教える冒険者はいませんよ」

「「ですよねー」」


「あの~」

「はい?」

「因みに大きさや重さはどれ位ですか?」

「大きさはゴブリン並み、重さは・・・20~30kg位ですかね」

「どの辺りにいるんです?」

「南西の森にいます。マイタケはいろんな形をしているんですよ」

「えっ?」

「動物の死体を苗床に生まれるんですよ」

「「ブフー!」」

「なので魔物の面影をしていたり、時には人間の・・・」

「いやー!」

「眠り粉で眠らされた生き物は苗床にされるという話です」

「「こわー!」」

「ふふふ、安心してください。面影が有るのは幼体です。成体はもう面影を残していないので」

「ホントですか・・・」

「はい。私達も納品されて解体しているので・・・」


サッと影が差す受付の男。

彼は一体何を見てきたというのか・・・全然想像したくない。




礼を言って納品館を出てきた。


「眠り粉は・・・怖いですね」

「あぁ」

「はぁ、5000エナが。いけると思ったんだけどなぁ」

「いけると思うぞ」

「えっ!!」

「いけると思うぞ」

「マジで!?」

「マジで」

「でもどうやって」

「眠り粉は防げないと思う」

「ええ!?じゃぁ、どうやって」

「眠り粉を漂わせてると言ってた。恐らく胞子に粉を乗せてるんじゃないかと思う」

「それで?」

「胞子なら僕の《殺菌》で殺せる」

「そいでそいで?」

「地面に落ちた粉は静かに作業をしていれば吸い込まなくて済むだろう。マスクしてやればその確率も上がる」

「天才かっ!」


「問題は攻撃方法は眠り粉だけなのかということだが」

「さっき図鑑を見ましたけど手足が極端に短いので殴る蹴るは無理でしょうね」

「そうだね。想像通りの姿だったね」

「はい。キノコに手足が生えてる感じでした」

「魔法を使うとかは・・・」

「特に記載は無かったですね。眠り粉を使う、くらいしか」

「じゃぁ、いけそうだな」ニヤリ

「はあぁ!」ポワ~ン

「戻ってこ~い」ペシペシ


「こんだけ高いと依頼とか有るかも知れんな」

「依頼報酬も・・・って討伐じゃないでしょう。採集依頼なら依頼報酬だけで、納品館の買取は無いんじゃないですか?」

「そうかー、だろうな」

「でもアリかも知れませんよ。依頼報酬の方が買取より高いかもしれないですし」

「そ、そうだな!本館覗いてみよう!」

「そーしましょー!」


本館に入るとここも冒険者が多かった。

納品や依頼を終えて手続きに来たのだろうか。

確かに獣人らしき人達もチラホラ見える。

丸っきり獣ではなく、人に耳や尻尾が生えてるという印象だ。

南部に奴隷は移住したと言っていた。

ここら辺は南部なんだろうか。

そう言えば世界地図らしきものは見たこと無い。あるのはこの街の周辺程度のものだ。



依頼掲示板を見る。


「食べたり毒袋を利用したりで恐らく本体を納品するんだと思う。だから討伐部位を納品すればいい『討伐』は違うだろう。『調査』『護衛』は無い。やはり『採集』か『その他』、この2つを調べればいいと思う」

「りょーかいでーす!」


果たして採集に「マイタケ」の納品依頼が有った。


「あ、有りましたよ!先輩!6000エナ!受注します?」

「いや待て。倒せるかまだ決まった訳じゃないんだ。倒してから受注しよう」

「そうしますか。まぁ依頼が無くなったら納品館へ買取でいいですもんね」

「そうだな。しかし依頼の納品は納品館へ納品すればいいのかな?」

「薬草はそうだったしそうだと思いますけど、一応受付のお姉さんに聞いてみましょう」


「はい、そうですー。納品館へ納品いただければー、ギルドの方からー、依頼主の方へー、お届けしますのでー」

「そうですかー。ありがとうございましたー」

「いいえー」

「あ、あと納品館でカウンターじゃなく奥に行ってる人がいたんですけど。どうしてでしょう」

「あー、それはですねー。魔物を丸ごと持ち込んだりー、高ランクの魔物を倒してー、納品する時に周りに見られたくない人達ですねー。大体Dランク以上の魔物を倒せばー、申告すれば使えますよー」

「そうなんですねー。ありがとーございましたー」

「いいえー」

「あっ!カズさんとミキさん!丁度良かったランクアッ、あっ、ちょっと!なんで逃げるんですか!ちょっとー!」




「問題がもう1つある、菊池君」

「なんです?しゃちょー」

「倒したとしてどうやって運ぶかだ」

「・・・考えてませんでした」

「僕もだ。30kgとしてだ。・・・おんぶか?」

「抱っこよりかは・・・おんぶでしょう」

「網は持っていくのは止めよう。余分な荷物は持って行かない。背負子を買うか」

「背負子だと狩ってきたのバレますね」

「う~む。更に布を被せる?」

「それで良いかもですね。背負子なら往きはバッグも載せられますし」

「江戸時代の駕籠屋みたいに2人で吊って帰るってのもあるぞ」

「背負子で」

「は~い」


余裕をみて40kgくらいまで対応できる背負子を買って帰った。


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