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HappyHunting♡  作者: 六郎
第10章 土竜 (マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ、セラナ)
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「ケセラはどんな感じだ」

「うん。ポーションはまだまだだが薬草は作れている」

「ほぅ。薬草と言うと・・・」

「採集しただけの薬草から各種薬のベースとなる薬草にするんだ。それがポーションの土台にもなる」

「ほほー。つまり基本中の基本という事か」

「あぁ、その通りだ。これの良し悪しでその後の製作物の良し悪しが決まる」

「凄い重要なんだね」

「うん」

「だから1年中採集依頼が有るのね」

「うん。人工的に栽培出来ないんだ」

「だろうな」

「えっ」

「まぁ。今までの街や村で見なかったものね」

「あ、あぁ。そういう事か」

「いや。栽培出来ない理由だ」

『えっ!?』

「分かるの?」

「確証は無いが」

「聞かせてくれ!」

「あたしも聞きたい!」

「私もです!」

「ど、どうした?」

「何故栽培出来ない!?」

「わ、分かった。だが予想だからな、あくまで」

「あぁ、構わない!」

「純粋魔力だ」

『純粋魔力!?』

「あれから毎晩、ケセラの夜の相手をしているが」

「・・・その言い方はちょっとね」

「あれから毎晩、ケセラの《魔力検知》《魔力操作》習得の練習をしているが」

「そうね、それで良いわ」

「ケセラは何か感じるか?」

「あぁ、何かは分からないが感じてる気はしている」

「うーん、それは危険だな」

『えっ!?』

「どうして!?」

「ケセラは僕の《魔力操作》を信じて練習をしているな」

「あぁ。カズヒコを信じている!」

「つまり存在すると知った上で練習しているから、感じてなくても感じた気がしてしまう恐れがある」

「うーん。プラシーボって事ね」

「あぁ」

「「「?」」」

「思い込みって事よ」

「なるほど。仮にカズヒコが魔力を操作してなくても、してると私が思い込めば感じた気になるという訳だな」

「その通りだ」

「ではどうすれば」

「仮に僕が明日西から太陽を昇らせるから信じろと言ったら信じるか?」

「いや、それは流石に」

「それで良い。信じるというのと事象を感じるのとは別だ。魔法はイマジネーションというがそれはしがらみからの解放だと思ってる」

「ふーむ?」

「無限の創造性ではなく無への回帰、とでも言うのかな」

「回帰?」

「可能性という名の球体の周りに、生きていく内に常識や因習なんかで固められて身動きが取れなくなる」

「それを取っ払っていくのか」

「あぁ。僕を信じるというのと魔力を感じるというのは別問題だ」

「あぁ。しかしどうしたら・・・」

「僕の中の魔力を感じようとするんじゃなく、僕の魔力に反応した君の魔力を感じろ」

「私の中・・・ということかな」

「あぁ。しかしケセラは今まで騎士道という、きつく大きなしがらみで囚われて来た。今までのは全て捨てる、それ程ではないと習得まで長くなるだろう」

「む。分かった。今の私の騎士道は家族を守る。これだけを考えよう。それ以外はみんなの意見を聞いて判断しようと思う」

「ケセラはケセラのやりたいようにすればいい。僕等はその手助けをするだけだ」

「・・・ありがとう」

「今まではお互いの両手の平を合わせて魔力を操作していたが」

「あぁ。そうだね」

「その大きな胸に手を乗せればより強く感じること「スコーン!」がっはぁあ!」

「もう!カズ兄ぃったら!」

「カズヒコさん!」

「ははは」


「あつつ。ということで、純粋魔力だが」

『えっ』

「薬草の話だろ?」

「そうだったわね」

「忘れてたよ」

「前提が長かったです」

「しかし為になったよ」

「結論から言うと純粋魔力だ」

「さっきも聞いたけど」

「薬草は純粋魔力で生育していると思う」

「ふむふむ」

「それが?」

「えぇ」

「しかし人間社会で栽培する場合、その土壌は十分な純粋魔力が無いのだと思う」

『なるほど!』

「肥料なんかは人間が作ったものだからね」

「辛うじて水くらいかしら」

「水だけでは十分に育たんな」

「育ったとしても薬草の用を成さないだろうね」

「じゃぁ純粋魔力を与えれば」

「栽培は出来る?」

「挑戦してみたら?」

「僕はやらないな」

「どうして?」

「カズヒコはナチュラリストなのよ」

「「「なちゅらりすと?」」」

「自然のままにって感じかな」

「えぇー。色々作ってるのにぃ?」

「生態系を壊したくないのよね」

「魔物は殺してるのにぃ?」

「矛盾してるのは分かってるんだけどね」

「私達の世界では生態系を壊して植物も動物も絶滅したりしたのよ」

「「「へー」」」

「魔物と人間の関係はもうかなりの歴史続いてるんだろ?このままでも大丈夫なんじゃないか?」

「安定してるって事かしら」

「あぁ」

「でも薬草が栽培出来たら安くなって貧しい人にも行き渡るようになるかもしれないよ」

「・・・うーん」

「マヌイは優しいわね」

「しかし純粋魔力を増やす方法は分からんしな。旅をしながらその方法が見つかった時に考えようか」

「そうだね。今は何も出来ないんだし」

「そうだな」

「薬草を上手く作る方法は有るんじゃないか?」

「えっ」

「だから含有純粋魔力を減らさないように作れば良いんじゃないか?」

「どうやって!?」

「だから人の手に付かないように扱えば」

「どうやって!?」

「1番良いのは自分で採集。収納袋にずっと入れておいて、使う時に出すとか?」

「ふーむ」

「じゃぁ明日薬草採集する?」

「そうね」

「い、良いのか?」

「妹の為よ」

「す、すま、あ、ありがとう」

「丁度ケセラの装備も出来てるだろう。慣らしも兼ねて森に行こう」

「えぇ、そうね」


「あ、それと」

『ん?』

「サーヤ君にプレゼントが有る」

「えっ!?」

「サーヤ姉ぇに?」

「あぁ。パーティに入って1周年記念、という訳じゃ無いが」

「わ、私にプレゼント・・・」

「糸車だ」

『ちっさ!?』

「修行していた所のはもっと大きかったですけど・・・」

「はっはっは。コンパクトだろう」

「人間の頭より大きいくらいだね」

「このハンドルを1回転させると”つむ”が約40回転する」

「40回転ですか!?」

「凄いだろう」

「はい!」

「ベアリングを使っててね、バンドもね、こう・・・」

「はいはい。早速使ってみなさいよ、サーヤ」

「はい!」


クルクルクル~


『はっや!』

「凄いです!」

「気に入ってくれたかな?」

「はい!とっても!」

「そうかそうか、良かった」

「最近はこれ作ってたのね」

「あぁ」

「調査に行く前に話してたものね」

「あぁ」

「羊毛を仕入れる?」

「そうだなぁ。スポーツブラはどんな感じ?」

「良い素材が見付からないわね」

「まぁ、ボチボチやっていってよ」

「うん」

「次はミシンでも作るかな」

「燻製器は?」

「あっ。結構期待してた?」

「べべべ、べ~つにぃ~」



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