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HappyHunting♡  作者: 六郎
第10章 土竜 (マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ、セラナ)
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朝食中にギルドから連絡を受けた。

午後に顔を出すとしよう。

午前中は修行を優先したい。

急ぎでも無いようだし大丈夫だろう。

俺は鍛冶をしている。

横でサーヤ君が上着を縫っていた。


「時間が掛かったみたいだねぇ」

「あの量ですし、内容もですけど。3男も居ましたしね」

「そうだな」

「上着はどうですか?」

「良いねぇ。着てても鍛冶出来るよ」

「良かったです」


良い笑顔だ。


「私達は装甲多めですね」

「あぁ。僕は遊撃だからね。機動力を活かすのにあまり多いと動き辛いからだ」

「2人は後衛ですけど私は」

「ケセラと並んで戦う可能性が有るんだ。多めにするのは当然だろう」

「・・・はい」

「元々遊撃タイプでもないしね」

「・・・はい。でもクロスボウに付けるのは面白いですね」

「矢が飛んで来ても避けずに装甲で受ければ良い。避けると次の動作に時間が掛かるからね」

「はい!それにアタッチメント形式なので必要無い時は外しておけば良いですし」

「そうだ。弓にも付けたかったんだが流石に視野が無くなるからね」

「私は普段は弓ですけど・・・」

「それで良い。《弓術》Lv7だしね。ハンマーが必要な相手の場合クロスボウとの両片手持ちで対処してくれ」

「はい!」


「ケセラの様子はどうだい?」

「少し落ち着いたような、安心したような。そんな印象です」

「国を捨てたんだ。僕等もいきなり殺されてこの世界に転生して来た。混乱は有るだろうよ」

「カズヒコさん・・・」

「でも生き返れたんだからラッキーだな。これを活かす手は無いよ」

「はい!」

「マヌイとケセラ。妹達を頼むよ、お姉ちゃん」

「もう!子供じゃありません!」

「はっはっは」




5人でギルド本館へ入ると丁度バイヨ達が階段を降りてきたところだった。


「やぁ」

バイヨ「あぁ、マルコ。元気か?」

「お陰様でね。話ってのは依頼の?」

バイヨ「あぁ。そうだよ」

「どうだった?」

バイヨ「まぁ、事前の契約通り+αって所だね」

ティア「契約だったしね」

エマ「そうね」

バイヨ「マルコ達の金が無かったら草臥れ損だったけどね」

「そうか」

ミキ「これからどうするの?」

バイヨ「依頼を探すよ。もう鈍っちまってさ」

ティア「ホントね。まぁあの内容だったし仕方ないんだけど」

エマ「マルコ達も行ったら?私達は終わったからもう大丈夫だと思うわよ」

「そうだな、じゃぁね」

バイヨ「あぁ、またな」


バイヨ達と別れて受付嬢の方へ歩こうとすると、


「あっ、マルコさん!丁度良かった!」


階段から降りて来た黒人受付嬢に声を掛けられた。


「2階へどうぞ!」




「やぁ、時間が掛かって申し訳なかったね」

「どうもスティーゲンさん、あの内容ではしょうがないですよ」

「そう言って貰えるとね。待機中はどうだったかね」

「もうお金が無くて依頼を受けようか迷ってましたね」

「はっはっは。済まないね。では早速依頼の精算に移るとするかな」

「お願いします」

「うむ。先ず依頼票と全員のカードを提出してくれ」

『はい』

「君、頼む」

「はい」


受付嬢が依頼票とカードを持って部屋から出て行った。


「契約書を確認してくれ」

「はい」

「2の、本来の討伐報酬の1/3の支払いは悪魔に限定されるから今回適用されない」

「はい」

「3の、討伐した遺体の納品は悪魔のみなので今回関係は無い」

「はい」

「従って1の基本10万エナに歩合だが」

「えぇ」

「基本15万エナになる」

「ほぉ?」

「1チーム脱落と考えてくれ」

「なるほど」

「歩合の方だが、魔虫100匹以上更に大ヤスデ、更に根本的な原因である新種のキノコを発見しその母体を討伐した事。これを鑑み100万エナを払う事になった」

『おぉ!』

「お待たせしました」


受付嬢が戻って来た。


「合わせて115万エナだ。受け取ってくれ給え」

「はい」

「そしてギルドカードを返す。君等は全員Cランクになった」

『げっ!』

「これからも頼むよ」ニコッ

「くっ」

「そしてこれは馬車の保証金の返還だ。今回奪われたので保証金は全額返金される」

「5万エナ、確かに」

「そしてこれが預かったブルバス家との契約書の代金50万エナだ。今回は冒険者ギルドが立て替えて払う事になった」

「あー、そういえばそんな物も有りましたね」

「忘れてたのかね?」

「えぇ、まぁ」

「はっはっは。50万エナだぞ」

「でもこれであいつ等に絡まれるかもしれないしなー」

「じゃぁ取るつもりなかったの?」

「脅しと言うか、契約書をチラつかせてね。僕達の前に現れない様にと」

「そうか、まぁそれは安心してくれて良い」

「?」

「彼らのパーティは解散となった」

『解散!?』

「あぁ、ブルバス家も堪忍袋の緒が切れたらしい。生き残りの従士はクビ。守役も左遷。ブラウゴは前線送りとなった」

「ブラウゴ?」

「若よ」

「あぁ」

「前線って?」

「軍に編入され北部との国境線の任務に従事する事になった」

『ぶふー!』

「まぁ、同情はしないわね!」

「そうだね!当然の報いだね!」

「厭らしい目で見た罰ですわ!」

「私達を置いて逃げ出したからな!」

「そうだなぁ。まぁ仮にもギルドランクCだし。何とかなんだろ」

「彼はパワーレベリングだからランクC相応の実力は無いぞ」

『ぶふー!』

「ウッソでしょ!?」

「あぁ。周りに倒させていたからな。倒した経験値は受け取っていたが肝心の経験が無いから武技も無い。ステータスが高いだけの”ボンボン”だ」

「へー。でもステータスは高いんですよね?」

「あぁ。だから体力テストで良好な結果を残すだろう」

「えぇ」

「最前線へ送られる訳だ」

「え、えぇ」

「でもスキルLvが低い。そもそもスキルが無いから指揮官にはなれん。一般兵だな」

「でも貴族」

「ではない。3男だからな」

「・・・南部諸国の為に命を懸ける。その崇高な精神に、黙祷」


僕等は数秒間、彼の待つ未来を思って黙祷を捧げた。

以後、2度と思い出す事は無いだろう。


「以上で今回の調査依頼に対する報酬の支払いは終わりだ。何か有るかね?」

「いえ。ベルバキア公国の危機を未然に防ぎ、人々を守れた事を誇りに思います!」

「・・・う、うむ。更に公国の為に頑張ってくれ給え」

「はい!貸し1つずつ、よろしくお願いします!」

「う、うむ」

「え、えぇ」




「165万エナか。まぁ、良かったと思うべきかな」

「最悪65万エナも有り得た訳だし、上々よ」

「そうだよ。単純に基本報酬だけなら15万だけって事も有り得たしね!」

「交渉は重要だな」

「気持ちだけじゃぁ生き残れないわ。装備も高いんですから」

「よーし!金も手に入ったし宝石屋に行くか」

「「「はーい」」」

「宝石屋?」

「あなたの宝石を買うに決まってるじゃない」

「え、い、いや、私は」

「断るって言うとみんなどう思うだろ」

「う、うぅ・・・」

「家族の証よ。受け取りなさいな」

「す、すま・・・ありがとう」

「予算100万で好きなのを買ってくれ」

「ひゃ、ひゃくまん!?」

「みんなそうだよ」

「えぇ。綺麗なの買いましょうね」

「買ったら街外へ訓練と魔石集めに行くぞ。浮つかずに集中しろよ」

「わ、分かってる!」

「薬草キットも買っていくぞー」

「「「はーい」」」

「ありがとう」




夜、宿の部屋で各自没頭している。

ケセラは首からネックレスを下げ薬草キットを使っていた。


「ミキ姉ぇ!出来たよ!」

「あっ!出来たのね、ありがと。着てみるわ」

「うん!」

「はい!」

「良いじゃないか」

「えぇ。少し動き辛くなったけどその分防御力が段違いになったし安心感があるわね。でも左側に装甲が広いけど?」

「菊池君は左手で弓を持つだろ」

「えぇ」

「その場合左脇が敵に向けられる」

「はぁー。敵からの飛び道具から守るって訳ね」

「なるほどな!」

「手甲も左手が長くなってるはずだ」

「あっ、ホントだ」

「弓を構えてる時に矢が飛んで来たら装甲で跳ね返せ。出来るだけの硬度が有る」

「分かったわ」

「流石に武技は躱した方が良いだろうが」

「そうね」

「サーヤ君とマヌイのも弓手側がそうなってるから確認しておいてくれ」

「うん!」

「はい!」


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