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HappyHunting♡  作者: 六郎
第10章 土竜 (マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ、セラナ)
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「どうだった?」

「うーん。無抵抗の人間が死ぬのは何かしら思う所はある」

『カズヒコが!?』

「死んで当然だが、言葉に表せないものがあるな」

「そうね。私も当事者だし一応見届けたけれど・・・同じように感じたわ」

「ふーん、カズ兄ぃがねぇ・・・」

「でもお饅頭食べてましたよね、満面の笑みで」

「「「えぇー!?」」」

「泣いてたぞ、あいつ等」

「そりゃーそうでしょうよ!」

「あのまま晒されるのか」

「凱旋門同様、見世物さ」

「見せしめだしね」

「女は居なかったね?」

「あぁ、周りの人達の話を聞いたが、懲役奴隷になるらしい。積極的にやってたのは男だしな」

「子供は孤児院だよね」

「らしいな」

「懲役奴隷って厳しいんだろ?」

「勿論な。罰則な訳だし。ただ北部より全然マシだぞ」

「そうなんだ」

「あっちは使い潰すの前提だからな。こっちは労働力と見做して使ってる」


「あいつ等の村はどうなる?」

「そのまま打ち捨てだろう。別の開拓者が名乗りを上げたらそのまま使われるだろうな」

「その前に舟を回収したいな」

『舟!?』

「舟なんかどうするの?」

「特に考えて無いが。菊池君が補修すればスキル経験値になるだろうし」

「ふーむ」

「旅の途中に橋の無い川に当たったら使えるだろうし」

「でも収納袋に入るかしら?」

「小さく改修して2,3人乗りにして入るようにすれば良いだろう」

「うーん、確かに」

「何かから逃げるにしても川を下った方が早いだろうしな。良いとは思うが。取りに行くのか?」

「往復4日かぁ・・・。菊池君、舟を1から作れるか?」

「無理ね。1度見て調べればまだいける気がするけど」

「依頼の精算が終わったら取りに行くか」

「確かに川とか泳いで渡りたくないもんねぇ」

「備えあれば、ですわ」

「また考えておくか」


「これからどうするの?」

「防具を受け取りに行こう」

「そうね」




武器防具屋で装備を受け取った。

ケセラの装備は2日後だ。

今回の代金はその時で良いらしい。

昼食を摂り街外で装備の感触を確かめる。


「軽いわぁ!」

「ホントね!」

「これで今までの手甲より頑丈なんですよね!」

「矢も付けられて良いわね!」

「カズヒコさんも付けられるんですか?」

「あぁ。僕は投擲用の小さなナイフをね」

「後は追加装甲を上着に縫い付けるのね」

「サーヤ君。頼んだよ」

「はい!任せてください!」


「盾の目玉の効果は分からないわね」

「実験対象が魔犬とかだしな。それに、かも知れないってだけだ。気持ち程度だよ」

「私は有る気がしている」

「そう?」

「あぁ。離れた魔犬も私を見ているような気がする」


「そういえばカズヒコさん」

「うん?」

「《パワーショット》の呼び方なんですが・・・」

「そうか」

「そうだ。思い出したんだが以前マヌイが《エアロエッジ》を唱えた時、聞きなれない言葉だったんだが」

「あぁ。僕達の故郷の言葉だ」

「ほう。何故かな」

「ケセラは敵対する相手が《エアロエッジ》と唱えたら、何が来ると思う」

当然エアロエッジだろ」

「《風刃》だと?」

「今なら分かるが知らない者は・・・なるほど」

「そういう事だ」

「対処が遅れるな」

「その隙を突く」

「対人戦か」

「1番の魔物だからな」

「うむ」

「でも、同郷の人にバレませんか?」

「確かに。しかし100人くらいだったからなぁ」

「会う確率低いしね」

「1割は僕達の同僚だし」

「9割の内、何人か殺したしね」

「そうなのか!?」

「えぇ。大盗賊団だったの」

「えぇ!?」

「聞いた転生者が味方だったら構わないだろうな。敵だったら殺す」

「そうね。そうしないと私達の身も危ういから」

「危うい?」

「大盗賊団が転生者の仕業って分かったら転生者狩りが始まってたかもしれないでしょ」

「そ、そうだな」

「同郷ってだけで同じくくりにされたくないね」

「そうですね」

「不思議だが、魔法の詠唱は間違えてはいけないけどスキル名は変えても良いんだよな」

「そうなのか!?」

「あぁ」

「《パワーショット》はどうするの?」

「そうだったね。普通なら強烈矢、強撃矢とかか?」

「サーヤはどんなのが良いの?」

「カズヒコさんに付けてもらえれば・・・」

「ふーむ。単純かつ意思を込められる名前が良いだろうなぁ。サーヤ君は努力家だからな。その意思と一矢をかけて、強撃の一矢ってどうかな」

「はい!《強撃の一矢パワーショット》にします!」

「私の《カタパルト》はどうする?」

「固有スキルなんだろ?カタパルトじゃ駄目かな?」

「固有って、スキルの場合他に無いって意味じゃなくて、一般じゃないってだけよ」

「そうなんだ。じゃぁ他にも持ってる奴が居るかも知れないんだね」

「可能性ね」

「ふーむ。じゃぁ普通だと射出矢か。言い辛いな、僕だけ?」

「まぁ私もちょっと・・・」

「しゅじゅちゅ、手術に近いものが有る」

「・・・」

「単純に魔法を乗せる矢、魔載矢とか」

「魔力を乗せるって思っちゃうかも」

「風載矢」

「良いんじゃない。イメージし易いわ」

「しかしこのパーティは魔導士が3人もいるのか。贅沢だな」

「表立って使わないけれどね」

「命の危険が有れば各自で判断して使えよ」

「えぇ」

「うん」

「迷ってると手遅れになる。判断力も養っていくんだ」

『了解』




夕食を終えて各自の時間だ。

俺は裏庭でランタンの灯りで鍛冶を、

菊池君は《木工》修練を、

マヌイとサーヤ君は追加装甲を上着に着け、

ケセラは本を読んでいた。

鍛冶を終えて部屋に帰る。


「ジャジャーン!」

「おっ!」

「カズ兄ぃの!出来たよ!」

「おぉ!出来たか」


剣を弾く大ヤスデの外殻を縫い付けた上着だ。

早速着てみる。


「どう?」

「どうです?」

「いいねぇー。軽い」

「「良かったー」」

「少し動き難くなったのはしょうがないだろうな」

「うん。どうしてもね」

「心臓などの急所を守る位置に装甲を付けましたから多少制限されますね」

「まぁ、元々動き易さ優先で作ってあるし良いだろう。でも僕からで良かったのか?」

「リーダーなんだから当たり前だよ!」

「そうですよ!」

「そ、そうか?次は・・・」

「サーヤ姉ぇのだね」

「前衛にもなる訳だしね。私とマヌイは基本、後衛だし」

「うん」

「そうか。今日はあと1着作れるかって所か」

「そうだね」

「そうですね」

「着々と経験値を積み重ねてるな。菊池君も」

「えぇ」

「ケセラは?」

「私はどうしても、な」

「ん?」

「道具が必要なのだ」

「買えば良いじゃないか」

「いや、薬作りは、その・・・」

「高いんじゃない?」

「なに!?」

「・・・うぅ」

「ケェセェラァ~」

「は、はい」

「遠慮するなって言ったよなぁ~?」

「は、はい・・・」

「家族なんだから、その胸ぐらい態度デカくなれとは言わないが「スコーン!」」

「ケセラ。パーティになって時間も経ってないし遠慮するのも分かるけど、我儘言えるのも家族なのよ」

「は、はい・・・」

「明日買いに行きましょう」

「す、すまない」

「ケセラ、謝るな」

「え」

「何故謝る。何も悪い事してないだろ」

「そうだよ。幸せの為にお金を使うんだよ」

「そうですよ。ケセラも依頼をこなしたんだから報酬を受け取れるのよ」

「あ、あぁ」

「前に言っただろ、使いたい時に言えと」

「あ、あぁ」

「みんな楽しそうに作ってるだろ?《薬学》は嫌いか?」

「いや。私に合ってると、思う」

「続けたいか?」

「・・・あぁ」

「じゃぁ買わないとな」

「すまな・・・ありがとう」

「あぁ。早くポーションを作って助けてくれよ」

「あぁ!頑張るよ」


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