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HappyHunting♡  作者: 六郎
第10章 土竜 (マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ、セラナ)
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⑩-04-254

⑩-04-254




午前の修業が終わって昼食後、ウリク商会へ出向いた。

査定が終わったらしい。


「こんにちは、オランドさん」

「こんにちは、マルコさん。お待たせしまして」

「いえいえ」

「今回は魔虫100匹以上と大ヤスデの買取で切りよく340万エナとさせて頂きました」

「結構です」

「装備を作るという事で伺っておりますが」

「はい。もう発注しています」

「そうですか、では代金はそちらの方に」

「分かりました。あと少々大ヤスデの素材を売ってください。市場値で構いません」

「分かりました。後ほど見て行って下さい」

「はい」

「装備を整えられると言う事はしばらくは依頼は受けられないので?」

「えぇ。のんびりしようかと」

「休息も仕事の内ですからな、それが良いでしょう」

「えぇ」




ウリク商会を出てバイヨ達が泊っている宿に向かった。

生憎バイヨ達は留守にしていた。

明日一緒に昼食を摂ろうと言伝を頼んで街外へ向かった。


「依頼したいなぁ」

「まぁ、仕方ないよ」

「魔石を稼がないとね」

「魔虫でかなり稼いだが」

「幾ら有っても良いのよ」

「まぁ、そうだな」

「菊池君とサーヤ君の武技を見たいってのが本命だ」

『そうだ!』


誰にも見られない森の奥に来て武技を見せてもらう。


「先ずは菊池君から見せてもらうか」

「良いわよ」

「先日のなんちゃって騎士の死体が有るからそれに試し撃ちするか」

『・・・』

「どした?」

「鎧だけで良いんじゃない?」

「うん」

「ですね」

「だな」

「実際に人体にどんな被害が有るか見えた方が良いだろ」

「見たくないから言ってんのよ」

「むぅ・・・」

「カズヒコさん、あとで捨てに行きましょう」

「は~い」

「じゃぁ鎧だけ出しますね」

「お願いね」


1か月前に手に入れた正真正銘の騎士の鎧を木に括りつけた。

バリスタの試し撃ち用に幾つか残しておいた物だ。


「・・・~~~《カタパルト》!」


シュッ

カンッ

ガアァァァン


『!?』

「《風圧波ショックバースト》か!」

「えぇ」

「当たった瞬間発生したね!」

「これ魔虫の時だったら1発で仕留められたんじゃないか?」

「そうね!あぁー、惜しかったわね!」

「これゴブリンの頭に刺さったらどうなるんだろー」

『・・・うーん』

「想像したくないな」

「そうね」

「流石にな」

「《風刃エアロエッジ》を乗せてみてくれ」

「分かったわ」

「・・・~~~《カタパルト》!」


シュッ

カンッ

ギイィン


「なるほどなー」

「予想通りではあるわね」

「着弾と同時に進行方向へ《風刃》が飛んだな」

「これでも魔虫は倒せるんじゃない?」

「そうね!」

「《カタパルト》の射程は矢の射程?」

「いえ。一般的な魔法範囲の約20mね」

「ふーむ」

「100mも飛ばせたら私達要らないよ」

「その方が楽で安全じゃないか」

「あたしも役に立ちたいし」

「マヌイ・・・この間まで子供だと思ってたのに」

「出会った時22才でしたぁー!」

「こんな小さい子だったのに」

「ブヒー!そんな小さい訳ないでしょー!」


「次はサーヤ君の《パワーショット》だな」

「はい!」

「どんなスキルなんだい?」

「チャージっていうのを使うみたいです」

「なるほど。チャージ時間が長ければ威力も強くなる、そんな感じかい?」

「はい!」

「じゃぁ君のタイミングで撃ってくれ」

「はい!・・・・・・・・・・《パワーショット》!」


ゴフッ

ガイン


「ウソだろ!凹んだぞ!?」

「威力すっご!」

「凄いねぇ!」

「何と!?」

「恐ろしい威力だな」

「ハァハァ・・・でも連発は無理そうです」

「なるほど。威力の分、魔力も相応に消費する訳だ」

「ハァハァはい」

「それは私の《カタパルト》も同じね。疲れはしないけど」

「クールタイムが必要と」

「えぇ、そういう事。詠唱も必要だしね」


「いやしかし凄い武器、凄い武技を手に入れたな」

「そうね。連発は無理だけど魔虫なら1撃必殺だから、前みたいな戦いでも少し楽になるんじゃないかしら」

「いいなぁ」

「マヌイ?」

「あたしも武技が欲しいなぁ」

「それはケセラに失礼だぞ」

「あっ。ごめん、ケセラ姉ぇ」

「いや、それが本心だろう。私も欲しいしな」

「サーヤ君は1年かかったんだ。3属性魔法を持ってるのに欲が過ぎるな」

「・・・ごめん」

「いいのよ。みんなの役に立ちたいからよね」

「・・・うん」

「マヌイは冒険者になってまだ数か月。焦らなくて良い。強くなる事よりも先ず周りが見えるようにならないとな」

「うん」

「強くても、あのなんちゃって騎士みたいに立派な剣や鎧を持ってても使いこなせなけりゃ意味無いからな」

「うん」

「そういえばカズヒコは防具派か」

「防具派?」

「武器より防具を優先させる派だな」

「逃げる時に武器は使えんだろ」

「・・・逃げる事を先ず考えるのか」

「生き残る事を考えるんだ」

「それはそうだが」

「勝つのは簡単だ」

「え?」

「自分より弱い相手と戦えばいい」

「それはそうだが」

「重要なのは相手の方が強い場合、簡単に逃げられないという事だ」

「・・・そうだな」

「あのなんちゃって騎士が僕達を置いて逃げた時、僕達が逃げずに戦ったからこそあいつ等は逃げられたと言える」

「そうだ。だからこそ腹が立つのだが」

「戦術で言えば正解だ」

「うん?」

「僕等を囮として逃げたのはな」

「しかし同じ依頼を受けた仲間だぞ」

「ケセラはあいつ等を仲間だと思ってたのか?」

「う・・・い、いや」

「思ってなかったのなら、その思いは少し都合が良いな」

「うーむ」

「僕は敵だと認識していた」

「そうだったわね。殺そうと言ってたし」

「そうでしたわね」

「だから僕達の前だけに魔虫の死骸を残して突進をあいつ等に誘導した」

『!?』

「狙ってたの?」

「突進が来るのは確実だ。じゃぁ誰がそれを受けるのか。ケセラか?バイヨか?その後ろに居る者か?」

『・・・』

「マヌイ。マヌイなら誰に受けさせる」

「・・・騎士」

「そうだ。あの夜、マヌイと約束した。相手が殺そうとして来ないのに殺そうとしないと。しかし冷静に考えてあの場面で軽装備の僕達とプレートメイルのあいつ等と、どっちが突進を受けるべきか。ケセラ、軍人として答えるならどっちだ」

「・・・あいつ等だ」

「マヌイ、僕はマヌイとの約束を破ったのか?」

「ううん、破ってないよ。本当なら騎士が壁となって私達がその後ろに居るべきだったと思う」

「・・・そうだな、本来なら。しかし僕はあいつ等を信じられなかった。だから右翼にした。僕等の前の壁にして逃げられたら隊列は乱れて僕等にも死人が出たかもしれない」

「・・・そうだな。結果としてあいつ等は逃げた」

「もし、命の危険が有れば全力を開放するつもりだった」

「全力・・・そうか」

「マヌイの火魔法で魔虫を火達磨にしつつ菊池君の弓と風魔法、サーヤ君の連射式とハンマーで。僕のステータスと雷魔法を活かした機動攻撃で殲滅する予定だった」

「な、なるほど。全力攻撃か・・・」

「しかしその場合マヌイの3属性がバイヨ達に・・・」

「信用出来たんじゃないか?」

「結果としては、だ。あの時点で完全に信用は出来てはいなかった」

「・・・そうか」

「舐めて全力を出さないんじゃない。全力を出した後のことも考えて出せないんだ」

「・・・そうか」

「僕達が目立てばケセラも目立つ。それは潜伏とは言えんだろう」

「・・・そうだったのか」

「でも依頼達成して目立っちゃったね」

「そうなんだよなー!はぁー、どーしたらーいいー」

「ケセラはもうソルスキアに行かなくても良いんでしょ?」

「あぁ。君等と共に行く」

「じゃぁベオグランデに行っても良いんじゃない?」

「・・・そうだな」

「そうだね」

「そうですね」

「そうだな」

「まぁ、国境騎士20人行方不明事件はまだ収束してないみたいだし、ケセラの装備も発注してあるし、今回の依頼の精算も終わってない。このまま潜伏しつつ諜報員の情報を集める、と」

「要するに現状維持ね」

「4文字でまとまったな」

「あれだけ苦労したんだからお金は受け取りたいね!」

「でもいざとなったら逃げられるようにしておきませんと」

「そういう事だ。話を戻すが」

『話を戻す?』

「剣を振って逃げる事は出来ない、弓を撃ちつつ逃げたら追いつかれる。だから隊列を組んで逃げる練習が必要なんだ」

「あっ、防具派ってやつ」

「そうだ。無傷で逃げる事は難しい。相手の方が強いんだからな」

「それで練習をしていたのか」

「そうだ。逃げつつ相手を損耗させ、勝てそうになったら攻撃に転じれば良い。それまで生き残る事が大事だ」


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