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HappyHunting♡  作者: 六郎
第10章 土竜 (マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ、セラナ)
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病院を出て魔術師ギルドへ向かった。


「パオーン!」

「どーもー」

「いらっしゃ~い、おや?あんたらは」

「お久しぶりです~」

「おーおー。元気にしちょったかいの?」

「えぇ。上級ポーションを2つも使って元気元気」

「はぁ~。生き急ぐなぁ言うたのに」

「僕じゃないですよ。通りすがりの女性が魔物に襲われて大怪我を」

「その娘に使ったぁ言うんかの」

「えぇ。お陰で感謝されて。あの宜しかったらうちでお茶でも。いえ、僕を待ってる依頼人がいるので。そんな、せめてお名前だけでも「上級ポーションを2つとスタミナポーションを人数分下さい」、あっ、駄目です、こんな所で。良いではないか良いではないか・・・」


「スタミナポーションもかえ?激戦じゃったのかえ?」

「いえ。念の為に飲んで備えていただけですわ」

「うんうん、それでえぇんじゃ。いざという時じゃなく万一の為に飲むんじゃ」

「いざっていう時は?」

「逃げるんじゃよ。全力でな」

「へぇ~?」

「生きてればやり直せるでな」

「なるほどねぇ」

「流石、経験の蓄積が違うのですかな」

「水晶持ちのお嬢ちゃんも、その身なりじゃ盾役じゃな」

「す、水晶持ちは止めていただきたい」

「ふぇっふぇっふぇ。元軍人さんかな」

「む」

「所作と何より言葉遣いじゃな。堅いよーお嬢ちゃん」

「むむ。そうか」

「マル兄ぃまだやってるよ」

「ほっときなさい。見ちゃ駄目よ」

「あーれー、お止めになってぇ」


「ご老体もベルバキア軍に?」

「ふぇっふぇっふぇ。一応なぁ。でもご老体はなぁ」

「過度な言い回しは逆に失礼だよ」

「マル兄ぃ」

「人にもよるがのぉ」

「現役だしね」

「む。そうだった。申し訳ない」

「ふぇっふぇっふぇ。堅いのぉー。水晶は柔らかそうじゃのに」

「むむっ」

「じゃぁお爺さんで良いのかなぁ」

「あぁ、そんなもんで構わんよぉ」

「じじい、なんか面白い魔導具有る?」

「おみゃーは足りなさ過ぎるのぉー!」


「どんなモンが欲しいんじゃえ?」

「そうだなー。森を移動してる時迷わないように方向が分かる物・・・が助かるな」

「羅針盤は大き過ぎるしねぇ」

「・・・ふむ。魔導コンパスが、適当かのぉ」

『魔導コンパス?』

「あぁ、ダンジョン産じゃ。主にマッピングに使われるが地上でも使える」

「北を指すんです?」

「あぁ。あまり当てには出来んがな」

「意味ねぇーじゃん」

「大体は北を指すのじゃ。指さない時が偶にあると言うだけでの」

「コンパスが?不思議だな」

「それに魔力が強い場所になると針が光る」

「魔力が強い場所?」

「たまーにそういう場所がある。魔力スポットっちゅーんじゃが。そんな所は魔力を強く含んだ植物や動物・・・」

「魔物」

「うむ」

「持っている者の魔力の強さでも光の強弱で変わるんですか?」

「いや、人間や魔物には反応せん、ほれ」


魔導コンパスを取りだして自身に、僕等に近づけて見せる。


(純粋魔力に反応するのかもな)

(なるほどね)

(あの冬虫夏草の繭の在った場所・・・)

(あぁー、かもね)

「小さいですね」

「羅針盤に比べるとな。手のひらサイズじゃ。それに魔石を必要とせん」

「買いましょう」

「うむ。10万エナじゃ」

「人数分ください」

「ふぇーっ!!」

「ぎゃー!?」

「な、何よ!」

「1個10万で50万エナじゃぞい!?」

「えぇ」

「マル兄ぃ。1個で良いんじゃない?」

「駄目だ。もしみんなはぐれた場合を考えると全員持っていた方が良い」

「そうね。買いましょう。みんな持っているのよ」

「うん、分かった」

「分かりました」

「分かった」


「他に何か買う物ある?」

「上級ポーションだけじゃなく各種揃えておこうか」

「そうね。全部上級で済ませる程裕福じゃないし」

「貴族名鑑も買うよ」

「えっ!?買うの?」

「あぁ・・・あの・・・何だっけ?」

「あぁ・・・あの・・・なんちゃって騎士よね?」

「そう!」

「あぁ・・・あの・・・騎士の3男だよね?」

「「そう!」」

「あぁ・・・あの・・・若って言われてましたよね?」

「「「そう!」」」

「ブルバス家か?」

「「「「それ!」」」」

「あいつを調べるの?」

「いや、まぁ、あいつはついでと言うか」

「貴族名鑑は5万じゃな」

「たっか!?」

「ベルバキアだけじゃなくアレク3公国の貴族が網羅されておるからの」

「それは良い」

「?」


「それじゃぁ何だかんだで80万エナじゃ」

「はい」

「毎度ありじゃわい」

「ありがとでしたー」

「分かっておるじゃろうが危なかったら逃げるんじゃぞ」

「分かってますよ。鳩たちによろしくと」

「ふぇっふぇっふぇ」




宿に帰って来た。


「今日は何だかんだで結構歩いたわね」

「ウリク商会行って、中央広場でご飯食べて、病院行って、馬車屋行って、魔術師ギルドで買い物だもんね」

「明日はどうします?」

「朝はマヌイとケセラは修行だな」

「うん」

「うむ」

「早ければ菊池君もだろう」

「そうね」

「僕は鍛冶かな。サーヤ君も縫物するかい?」

「はい!」

「材料を買いに行くか」

「やった!」

「何か作りたい物、作って欲しい物有るかな?」

「防寒マスクは全員分作ったわよね」

「そうだねー。助かったよ」

「あぁ。野外では殊更な」

「スポーツブラとかどうだ?」

「「「スポーツブラ?」」」

「うーん、そうねー」

「熱くなってくるし」

「そうね、サーヤと考えてみるわ」

「応用で男女のスポーツパンツも出来るだろうし」

「えぇ」

「後、全員分の防具を考えようかと思ってる」

「全員分?」

「あぁ、特にケセラのだな」

「私のか?」

「チェインメイルは重いだろ」

「まぁ・・・金属だしな」

「剣を弾いた大ヤスデの外殻を使おうかと思ってる」

「なるほど!軽いしね」

「アーマーは?」

「アーマーはそのまま使おうかと思ってる」

「うむ、そうだな。大ヤスデの外殻の上に更にアーマーが有れば心強いな」

「兜は外殻で良いんじゃないか?」

「うーむ。確かに頭部が軽くなるのは歓迎なのだが」

「防御力に不安が有ると」

「うむ。剣を弾いたとはいえ、な」

「上位種だから魔法付与出来るんじゃないのかなぁ」

『!?』

「そ、そうだな!」

「忘れてたわ」

「じゃぁ、午後は僕とケセラで防具のデザインだな」

「うむ」

「むむっ!」

「病院にも行かないと!」

「そうだな」

「それじゃ午前中は修行してみんなでお昼食べて病院行って、午後は各々やりたい事やるって感じかしら」

『はーい』




翌朝。

仕事が早いオランドさんのお陰で菊池君も《木工》修行に出かけた。

サーヤ君と買い物に来ていた。


「《縫製》かぁ、羨ましいなぁ」

「いえ、そんな」

「でも《身体強化》でスキル枠全部埋まっちゃっただろ?良かったのかい?」

「はい!嬉しいです」

「でも生活スキルが《縫製》の1つだけだろ。辛うじて《解体》か」

「でも、今、幸せです!」

「・・・そうか。ふっ、その笑顔見てるとこっちも嬉しくなるよ」

「え、そう、ですか?」

「あぁ。マヌイの《皮革》、ケセラの《薬学》、菊池君の《木工》でみんなで暮らせば安泰かな」

「はい!」

「《縫製》は服を作るだけかい?」

「いえ、革を縫うにも使えます。金属は流石に無理ですが」

「なるほどねぇ。マヌイと相性が良いんだね」

「はい!」

「《縫製》かぁ。針を使うんだね?」

「はい!」

「針なら作れるかな」

「お、お願いします!」

「うん。革かぁ。人間も縫えるのかな?」

「!?まぁ、皮、ですし」

「今度材料が手に入ったら実験してみるか。輸血の件も有るし」

「はい!」


「もうすぐ1年だね」

「え」

「パーティに入って、もうすぐ1年だ」

「もう、そんなに・・・」

「そんなに?」

「楽しくて。時間が経つのが早いです」

「危険な時もあったが・・・」

「カズヒコさんと一緒なら怖くありません」

「諜報員や悪魔にも、魔女にも戦わせた」

「一緒なら、怖くありません!1年で7つもスキルを習得しましたし。武技も習得しました!」

「君の努力の成果だよ」

「奴隷だった私が武器スキル、しかも武技まで!奴隷時代は希望も何も有りませんでした。でも、スキルを習得して未来が見えてきました。私は幸せです!」

「・・・そこら辺の冒険者なんぞより強いだろうね」

「はい!」

「諜報員は・・・なんとかしたい」

「はい!」

「もう少し、危険な目に遭わせるかもしれないが」

「妹の為ですわ。家族の為に」

「・・・逃げろと言ったら俺を置いて逃げろ。それは約束しろ」

「・・・はい」

「お昼何食べるかなー」

「新しい所を開拓しましょー」

「そうだなー」


「家族の為に、カズヒコさんの為に・・・」


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