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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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20匹程の魔虫の素材を剥いだ。

罠も回収した。


マヌイ「マル兄ぃ」

   「うん?」

マヌイ「あの騎士達はどうする?」

   「あぁ、毒ガスにやられた奴らか」

ミキ 「2人死んでるわね」

   「まぁ・・・収納しといてやるか」

サーヤ「分かりました」


バイヨ「これからどうする?」

   「奥に進もう」

バイヨ「戻らないのか?」

   「魔虫も戻って行った。巣が有るのかもしれない」

バイヨ「なるほど。じゃぁ野営地は進みつつ見つけるか」

   「あぁ、そうしよう。君等の重い荷物も預かろう」

3人娘「「「助かる!」」」




奥に進んで途中の開けた場所で野宿をする。


『あったかぁ~』


全員でロケットストーブで暖めた土管に座っていた。


   「土管を一応8人分で作っておいて良かったな」

ミキ 「ホントね」

バイヨ「この竈も火力が凄いな」

ティア「芯まで温まるから美味しいわ」

エマ 「でもこの大きいのは何なの?」

マヌイ「お風呂だよ」

3人娘「「「風呂!?」」」

   「すまないが君達の風呂はあっちで用意している奴で我慢してくれ」

バイヨ「いや、風呂があるだけ有難いんだが」

マヌイ「収納袋って便利だよねぇ」

ケセラ「収納袋が有っても風呂を持ってる奴は居ないと思うぞ」

ティア「そうよね」

エマ 「うん」

マヌイ「マル兄ぃは鍛冶用の窯も収納袋に入れてるんだよ」

3人娘「「「は!?」」」

   「壊れた所が有ったら直すぞ?」

バイヨ「・・・いや、特には・・・」


バイヨ「それじゃぁバリスタでジャイアントミリピードをやるのか」

   「その予定だ」

   (ピードは脚って意味だ)

ミキ (へぇ~)

   (スタンピードのピードと同じ意味だ)

ミキ (スタンは?)

   (つんのめるとか突っかかるとかの意味だ。スタンピードは沢山の脚が急い    でつんのめる様子だ)

ミキ (それが暴走って意味ね)

マヌイ「あいつ等戻って来ないよね」

   「あいつ等って騎士か?」

マヌイ「うん」

   「先に1人殺されてて今日2人の死体を回収した。1人は大ヤスデが連れ    去って今は4人。難しいんじゃないか?」

ケセラ「依頼は脱落か」

エマ 「荷物も放り出して逃げたしね。証明部位も無いから未達成でしょうね」

   「まぁ生き残るという事では正解ではある」

バイヨ「私達が成功するとは限らんしな」

   「悪魔じゃ無いと浮かれはしたが、厄介なのはこっちの方かもな」

ミキ 「数が多いし上位種だし、ね」

   「まぁやるしかない。明日からもきつくなるだろう。風呂に入って早く寝よ    う」

ミキ 「そうね」




風呂を2つ用意して旧型のにバイヨ達が入っている。

カズヒコはテントでリュートの練習だ。


バイヨ「リュートも持ってるのか」

ミキ 「練習中よ」

マヌイ「吟遊詩人を目指してるからね」

ティア「そういえばそんな事言ってたわね」

エマ 「なんでまた」

ミキ 「戦うだけだと・・・ね」

ティア「まぁ、そうね」

バイヨ「しかし悲しい調べだな。何て曲だ?」

ミキ 「私達の故郷の曲よ。確か・・・”天国への階段”だっけ」

バイヨ「・・・不吉なタイトルだな」

ティア「これから戦うって曲ではないわね」

ミキ 「そ、そうね」

エマ 「でもマルコって普通に戦えるじゃない」

ミキ 「?」

エマ 「あなた達がメインだって言ってたでしょ」

ミキ 「それはそうよ。普段もそう戦ってるし」

ティア「マルコは戦わないの?」

ミキ 「あの人が戦うのは切羽詰まった時よ。指示だけしている時は安全って訳」

ティア「ふーん。でもマルコも戦った方が早く倒せて安全になるんじゃない?」

ミキ 「あの人が居なくても安全に戦えるようにするのがあの人の流儀なのよ」

エマ 「居なくても戦える?」

ミキ 「あの人が死んでも私達だけで生きていけるようにね」

3人娘「「「・・・」」」

ミキ 「もし作戦が失敗したらあの人が盾になるからあなた達も逃げてね」

ティア「逃げるって・・・」

ミキ 「それがあの人の遺志だから」

3人娘「「「・・・」」」

ミキ 「あと索敵も疲れるからなるべく動きたくないっていうのも有るかもね」

バイヨ「・・・確かにマルコの索敵力は凄いな」

エマ 「私なんかより数段上よ」

ティア「エマも結構凄いんだけどね」

マヌイ「3人だけでやってるんだもんね」

ティア「女4人に男1人だと言われない?」

ミキ 「ハーレムパーティ、とか?」

ティア「え、あ、う、うん」

ミキ 「あの人は自分は何を言われようが気にしないわね」

エマ 「そうなの?」

ミキ 「そういうのどうでもいいって感じの人だし」

ティア「そう」

バイヨ「君等はどうなんだ?手を出す輩も居るんじゃないか?」

ミキ 「えぇ、居たわね」

バイヨ「どうしてるんだ?」

ミキ 「あの人が、全員殺したわ」

3人娘「「「・・・」」」

ミキ 「一切の慈悲も無く、全員ね」

ティア「・・・そう」

ミキ 「『後悔するのは良いが、後悔出来ないのは駄目だ』って言ってね」

エマ 「後悔するのは良い?」

ミキ 「死んだら後悔出来ないでしょ」

エマ 「・・・あぁ」

ミキ 「先ず生き残る事。敵は敵でしかない、迷ったら死ぬ。そんな考えなのよ」




俺も風呂に入って寝る段になった。


   「夜番はしなくて良い、僕がやる」

バイヨ「いや、しかし」

   「大丈夫だ、休んでくれ」

ティア「でも」

   「僕は外で寝る。ジーナとアヤは1人用テントで寝てくれ。狭いだろうが」

ミキ 「分かったわ」

マヌイ「うん」

   「4人用テントに5人か。バイヨが大きいからな、どうだろう」

バイヨ「む、そうだな」

   「あ、気にするなよ。ドワーフなんだから当然だ」

バイヨ「あ、あぁ。すまん。テントを入れたバッグが魔虫に破かれていたとは」

サーヤ「あの」

   「ん?どうした、ルーラ君」

サーヤ「私も外で寝ます」

   「君もか?しかし」

サーヤ「寝袋も有りますし、大丈夫です」

   「そうか」

ケセラ「いや、だったら私が」

サーヤ「いえ!私が外で寝ます!」

ケセラ「そ、そうか」

   「分かった。じゃぁ僕と2人で夜番するか」

サーヤ「はい!」




そういう訳でサーヤ君と寝る事になった。


「くっ付いて寝よう。お互いの体温で暖め合うんだ」

「はっ、はい!」

「冬の寒さは乾燥するからな、喉をやられる。マスクをして寝よう」

「はい」

「しかしガスマスクタイプだしな。毒ガスが有るんならそれ用に改造しても良いかもな。大ヤスデには間に合わんが」

「このマスクで毒ガスを防げるんですか?」

「試してみるかって段階だね」

「はい」

「しかしいつ見ても不思議だな」

「?」

「僕の世界では月は1つだけだったんだよ」

「そうなのですね」

「あぁ。しかも大きい。星々も・・・綺麗だな」

「・・・カズヒコさん」

「うん?」

「・・・私は・・・汚いですか?」

「?どうした?」

「・・・奴隷だった私は・・・」

「・・・そういう事か」

「・・・」

「ケセラの時も言ったが、僕が何を言っても君自身が強くそう思っていたら、その思いを変える事は出来ないだろう」

「・・・」

「僕は今まで冒険者を大勢殺した、僕は殺人鬼か?」

「違います!」

「過去を変える事は出来ない。君が奴隷だった事も変える事は出来ない」

「はい」

「ヤヌイを死なせてしまった事も」

「・・・」

「馬鹿な親の元に生まれる子供はしょうがない、運が無い。そう言ったね」

「はい」

「何の力も無い子供の時に攫われて奴隷にされた、しょうがない、運が無かったんだ」

「・・・」

「自分の不運を儚んで自殺する事を考えたかもしれない、しかし君は生きて来た」

「私は・・・何も考えずただ惰性で生きてただけです」

「結果、奴隷から解放され今に至る」

「・・・はい」

「運が向いて来たんじゃないかな」

「はい。お2人に出会えましたから」

「僕達は切っ掛けさ、単なる」

「切っ掛け」

「決めたのは君だ」

「私が?」

「あいつを棒でブッ叩いたのも君だ。パーティに入ったのも君の意思だ。そうだろ?」

「はい」

「僕等が君を汚いと思ってるか、思ってないか。決めるのは君だ」

「・・・」

「しかし君が、僕が汚くないと言う事で気がすむなら、何度でも言ってやる。汚いってな」

「カズヒコさん」

「僕もヤヌイを殺した、マコルも。あの村の子供も見捨てた。僕は汚い人間だ。しかし俺は正しい」

「はい。カズヒコさんは正しいです」

「俺は後悔しながら生きていく、これからもな。しかし家族を守る決断は正しいんだ、例え後悔が伴おうとも」

「はい」

「サーヤも後悔する過去だろうが後悔して良いんだ。今を生きていくのに必要であれば。俺は後悔しながら生きていく。だが死ぬ時は悔いなく死にたい、精いっぱいやったと。奴隷時代を後悔するだけの人生じゃ幸せにはなれないぞ。自分の過去を許せ」

「過去を許す」

「僕が汚くないと言う事で君の心が休まるのなら何度でも言ってやる。君の奴隷時代なんてどうでも良いってな」

「カズヒコさん」

「過去は変えられない。家族の今を、これからを考えなきゃいけないんだ、そんな暇なんてないよ」

「はい」

「サーヤも明日何食べるか、どこに行くか考えてた方が楽しいだろ」

「はい」

「金を稼いで実現しよう。家族と一緒にな」

「はい」

「先ずは仕事を終えないとな。しっかり寝ろよ。また担いでもらうかもしれないしな」

「そんな縁起でもない」

「運なんて分からないよ。そういえばサーヤ君は暖かいな」

「えっ」

「お陰でぐっすり寝られそうだ。助かるな」

「そ、そうですか」

「明日からも頼むぞ」

「はい。任せてください」

「お休み」

「お休みなさい」




「カズヒコさん・・・」

「・・・zzz」

「お休みなさい。ゆっくり休んで」

「お休みなさい、私の騎士ナイト


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