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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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「爺・・・」

「若!お怪我は!?」

「い、いや・・・」

「被害は!?」

「1人やられました!」

「他にも多数の怪我人が!」

「ぬぅ・・・」

「なんで魔虫がこの時期の森に・・・」

「若」

「しかも集団で?なんで・・・」

「若!」

「爺」

「御指示を」

「指示ったって・・・」

「態勢を立て直しましょう」

「そ、そうだな。態勢を立て直せ!」

『はっ!』


ようやく戦闘が終わったと気持ちに区切りがついたのか、辺りを見渡しカズヒコ達を視界に認める。


「きっ、貴様!よくも!」

「若?」

「あ奴らの所為で我々は!」


「何だ?」

「何か言ってるわね」

「無視しよう」

「虫だけに?」

「アヤ・・・それはないだろ」

「ちょ、マル兄ぃが言ったんだよ!」

「そんなつまらない事を言う訳ないだろ」

「えー!」


「貴様!我々を罠に嵌めたな!」

「何の話だ」

「我々を誘き出して魔虫に襲わせただろう!」

「お前らを誘き出す?僕等が?」

「そうだ!」

「何の為に?」

「正面を我らに任せて貴様等は裏から襲っていたではないか!」

「何の為にお前らを誘き出したのかを聞いているんだ」

「餌とする為だろう」

「なるほど」

「認めたな!」

「じゃぁお前らは誘き出された訳か」

「そうだ!」

「餌は?」

「餌!?」

「誘き出されたんだろ?何を餌に誘き出されたんだ?」

「ぬぐぐぐ・・・」

「僕等はお前らを呼んでいないし、朝も爆睡中だったみたいだしな、昨夜は酒を食らって夜番もせずにお休みだったしな」

「ぬぐっ!夜番なぞ!貴族がする事では無いわ!」

「だからお前平民だろ」

「ぬぅううう」

「今、お前らがここに居るのは僕等が呼んだせいか、お前らが勝手にここに来たのか、どっちなんだ?」

「ううぅ・・・」

「答えろ。話が進まんぞ」

「我々が・・・来た」

「そうか。じゃぁ餌にしたっていうのは成り立たんな」

「むうぅ」

「来るかどうか分からない奴を餌に出来る訳ないだろう」

「うぐぐぐ」


   『・・・』

ティア「マルコって怖いわね」

エマ 「サラッと嘘吐くもんね」

ミキ 「感じたんだと思う」

ティア「感じた?何を?」

ミキ 「あいつ等がここに来た理由」

エマ 「ここに来た理由?」

ティア「調査能力が無いから尾いて行こうとしたんじゃないの?」

ミキ 「それだけじゃ無いんだと思う」

バイヨ「それだけじゃない?」

ミキ 「女は7人居るでしょ」

   「「「・・・」」」

マヌイ「目つきが厭らしかったもんねぇ」

サーヤ「兜の中からの眼光。厭らしいですわ」

ケセラ「兜に隠れて分からんと思っていたのだろう。騎士の風上にも置けんな」


「とんだ言い掛かりだったな。それじゃ僕等は仕事が有るから、もう邪魔はするなよ」

「待て!」

「何だ」

「証明部位と魔石は置いて行け!」

「何?」

「若!?」

「我々が相手をしている間に横から掠め取っただけではないか!本来私のだ!」

「お前らが倒したのはここに居る1匹だけだぜ」

「我々が相手をしていたからお前らは倒せたんだと言っているだろうが!」

「昨日、5匹倒してる」

「な、何?」

「昨日、お前らが野営地でのほほんとしている間、僕等は魔虫を5匹倒してた」

「何だと!?」

「証明部位、見るか?」

「ぐぬぬぬ」

「それに本来こういう複数パーティによる倒した魔物の所有権は、普通倒した者のはずだ。違う場合事前に相談する習わしだろ。ベルバキアじゃ違うのか?」

「ぐぐぐ」

「分かった。じゃぁこうしよう」

「?」

「ギルドマスターに裁定してもらおう。お前ら8人で1匹倒して、僕等7人で6匹倒したんですけど6匹も自分達のだぁって言われたんですぅって、報告するよ」

「う」

「若!」

「勝手に僕達を尾けて来て見つけたら大声で罵った挙句に魔虫に見つかって襲われた所を助けてもらったのに、その証明部位と魔石を寄越せだぁ?お前ら舐めてんの?」

「待て!待ってくれ!若!駄目です!」

「ぬぐぐぐ」

「それじゃー、お疲れさん」

「待ってくれ!報告はしないでくれ!」

「許すのは1回だけって言ったよな」

「そこを何とか!」

「ならんな、あばよ」

「若!謝罪を!謝るのです!」

「何で私が謝るのだ!?平民に!」

「しかしそれだとお家に!」

「それでもだ!私はブルバス家の者だぞ!いずれは家を継いで上にのし上がってやる私が平民に謝罪など断じて許さん!」

「しかし!」

「さいならー」

「あ、待って、待ってくれ!」




俺はみんなの元に戻った。


   「助けたのにあの言われよう」

バイヨ「あぁ、私も後悔しているよ」

ティア「バイヨは悪くないわよ」

バイヨ「しかしな」

ミキ 「これからどうするの?」

   「証明部位と魔石の採取は?」

マヌイ「終わったよ」

   「じゃぁ、とりあえずここを離れよう。あいつ等が居ては集中出来ん」

ミキ 「そうね」

マヌイ「そうだね」

サーヤ「そうしましょう」

ケセラ「騎士の恥晒しが!」




あいつ等から離れて協議する。


ミキ 「それで?」

   「やはり魔虫は異常だろうな」

バイヨ「それは分かっているが」

   「本来単独行動なんだろう?」

バイヨ「そうだ」

   「昨日だけじゃなく今回も。偶然では無いだろう」

ケセラ「虫達が群れるようになった・・・」

バイヨ「どうなっている・・・」

   「他に変わった事はないか?いつもの虫とは違う点は無いか?」

バイヨ「う~む」

ティア「そういえば・・・」

   「何だ、ティア」

ティア「ちょっと弱いような・・・」

エマ 「あぁ、私も思った」

ティア「エマも?じゃぁやっぱりそうかな?」

   「弱いって・・・感じ方次第だろ?」

ティア「まぁ、そうなんだけどさ」

エマ 「動きも少し鈍いんだよね。矢も当て易かったし」

   「ふーむ」

ケセラ「群れるようになって、単体では弱くなっている・・・か」

   「バイヨ」

バイヨ「あぁ」

   「この魔虫の群れは冒険者パーティに脅威たりうるか?」

バイヨ「十分な。戦ってみて分かったろうが甲虫等は特に堅い。カマキリ等は速    い。蜘蛛は糸が厄介で動けなくなる。私達はマルコの索敵で事前に見付けら   れたが、逆に見付かった場合の厄介さはあの騎士達が証明してくれたな」

ミキ 「私達が助けなかったら全員死んでたんじゃない?」

マヌイ「重いから逃げられないしね」

   「だが調査結果として断定するには・・・」

バイヨ「あぁ、少し弱いな」

   「まぁ、この辺の異常の理由にはなるが」

ケセラ「この辺の異常?」

   「他の魔物や動物が居ない、という理由だ」

マヌイ「あぁ!虫が食べちゃってたんだ!」

ケセラ「そうか、なるほど」

ミキ 「もう少し調査が必要?」

   「そうだね。未調査地の外縁部を埋めて行こうか」

ミキ 「それで今回と同じ様なら」

ケセラ「もっと奥地、か」

   「まぁ、悪魔の線は消えたとみていいんじゃないか?」

ミキ 「そうね。悪魔とあの虫達との関連性は無いだろうしね」

ケセラ「最悪は無くなった訳だ」

   「少しは気が楽になったかな」

ケセラ「そうだな」

   「じゃぁ、今日はもう帰るか」

ミキ 「そうしましょう」




帰り道、昨日と同じ様にサーヤ君に魔虫を回収してもらった。

騎士の死体は無かったらしい、回収したのだろう。

野営地に着いてみるとあいつ等も既に帰っていた。

翌日も外縁部を周っていたが魔虫は居なかった。

明日、奥に行ってみようとなって8人で焚火を囲って夕食を摂っていた所。


「おい!」

「ん?」


3男のパーティに居る下っ端騎士がいた。


「おい!」

「何だ」

「食料を寄越せ!」


俺は立ち上がって股間を蹴り上げた。


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