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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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「よし。そういう訳で近づくぞ」

「「「「はーい」」」」

「ど、どういう訳?」

「行くぞ、ティア」

「え?」

「からかわれたのよ、ティア」

「え?くぅ~。待ちなさいよー!」




僕達は魔虫に近づいて行く。


   「昨日と同じだ。斉射で2匹殺す。

    1匹をセラナが止め、バイヨが殺す。

    残りはティアが《バインド》だ」

   『了解』

   「ティアは《バインド》が解けそうな奴を教えてくれ。優先的に殺す」

ティア「分かったわ」

   「よし。じゃぁ・・・あ」

ミキ 「どうしたの?」

   「不味い。トラブル発生だ」

バイヨ「どうした」

   「あいつ等が来てる」

   『!?』

ティア「あいつ等って放蕩騎士?」

   「あぁ」

マヌイ「なんてこったい」

サーヤ「まぁ、どうしましょ」

ケセラ「どうして我々の所へ?」

   「迷わないように木に印を付けて来たからそれを辿って来たんだろう」

ミキ 「どうするの?」

   「今魔虫をるんなら速攻で殺らないといけないが・・・」

マヌイ「何でいて来たんだろうねぇ」

サーヤ「そうよねぇ。勝手に私達を置いて行ったのだから自分達で調査するつもり    だったのだろうし」

バイヨ「調査の仕方なんて知らないから私達の後に尾いて来たんだろう」

ティア「昨日の酒といい、夜番といい、ムカつくわ!」

エマ 「ティア、落ち着きなよ」

ティア「良く冷静でいられるわね」

エマ 「弓を撃つのには平常心よ」

   「だって、ジーナさん」

ミキ 「・・・何?」

   「い、いや、別に」

ミキ 「で、どうするの?」

   「流石に昨日の今日だ。それに許すのは1回だけって言ってあるしな」

ケセラ「どうするのだ?」

   「囮・・・騎士の務めを果たしてもらう」

   『・・・』

マヌイ「でも心を入れ替えて私達の手伝いをしようとして来たのかもしれないよ」

   「マ、アヤ。お前はなんて優しいんだ。アヤに免じてチャンスをやろう」

エマ 「チャンス?」

   「もしアヤの言う通りなら協同しよう。邪魔するようなら囮・・・騎士の務    めを果たしてもらおう」

ミキ 「もうはっきり囮って言っても良いんじゃない?」

   「じゃぁ、少し移動するぞ」




「クソッ!あいつ等め!置いて行きおって!」

「全くです!強行軍で来たのだから酒を飲んで寝過ごすのなんて小さな問題でしょうに!」

「貴族に対する畏敬の念が有りませんな!」

「全くだ!」

「口振りと言い全く怪しからん!」

「しかし何故あ奴らを追うのです?」

「あ奴らを働かせて調査させるのだ。私は貴族だ。リーダーなのだ」

「なるほど、流石坊っちゃま」

「私は神から選ばれたのだ!今の境遇も神からの試練。打ち勝って家に戻って見せる!兄達を引き摺り下ろしてな!」

「おぉ!それこそブルバス家に相応しい気骨と野心!頼もしい限りです!」

「私が当主になった暁には、お前達にも相応の俸禄を約束してやろう!」

「おぉ!益々忠義の道に励みまするぞ」

「しかしそろそろ懐具合も寂しゅうなりましたな」

「飲み屋もツケが溜まり過ぎ出入り出来ませんし」

「娼館は現金払いだから寄り付く事も出来んしな」

「だからこそこの依頼を達成し金を手に入れ名誉を実家に見せるのだ」

「しかし女なら目の前に居るのだがなぁ」

「あぁ、結構いい女も居たぞ」

「やってしまえばいいのではないか?」

「うむ。我々は神からの試練の最中だ。それを慰めるのも名誉だろう」

「その通りだ」

「やってしまおう」

「止めろ!お家に通報されたらどうするのだ!」

「やってしまった後に殺せば良いのではないか?」

「若!?」

「昼は調査をさせ、夜は我らを慰めさせる。調査が終われば殺してしまえばいい。依頼中の不幸な事故としてな」

「おぉ!流石は若!」

「冴えていますな!」

「しかし、若!」

「爺よ。部下を上手く纏めるのもリーダーの務めぞ」

「しかし」

「あっ!あいつ等だ!」

「見付けたぞ!」

「こんな所に居やがって!」

「こらー!貴様等ぁー!」

「置いて行きおってー!」

「昨夜は酌もせんと生意気だぞー!」




僕等は藪の後ろに屈んで隠れていた。

ただ、後ろから来るあいつ等には見付けられるように。


『うーん』

「反省したって雰囲気じゃーなさそうね」

「そうだね・・・」

「アヤ。アヤが凹む事はない。優しさを見せた事は正しい事だと僕は思うよ」

「そうよ、アヤ。あの騎士達がクズなだけよ」

「うむ。私もそう思う。正直微妙な心境だが」

〈こらー!聞こえてるのかー!〉

〈何とか言わんかー!〉


ドドドドドドッ


「来たな。みんな動くなよ」

『了解』


〈こっちに来んかー!〉

〈そうだ!こっちに・・・ん?〉

〈何の音だ?〉

〈森の奥から聞こえて・・・〉

《魔虫だ!?》


ザザァ


騎士達の大声に反応した魔虫が奥から現れて襲い掛かって行った。

その様子を少し離れた位置から観察する。


〈こっちに来たー!〉

〈ぎゃああぁぁ!〉


「おっ。甲虫の突撃に吹っ飛ばされたな」

「鎧着てても吹っ飛んだね」


〈ぐぅおお〉


「おっ。流石のカマキリの鎌もアーマーには効かんか」

「でも衝撃で凹んでいるから相応のダメージは有ったみたいだな」

「カマキリの鎌は縦方向に来るからそれを意識して盾で受けると良い」

「うむ。心しよう」


〈ぐああぁぁ!〉


「バッタに蹴飛ばされたな」

「やっぱり衝撃ダメージが効きそうですわね」

「あぁ。地面に叩きつけられる場合、自身の体重も加わるから鎧の重さも相まって相当なもんだろう」

「はい」

「ルーラ君が殺るなら、先ず転ばせてからハンマー、で良いだろうな」

「はい!」


〈目がぁぁ目がぁぁぁ!〉


「蜘蛛の糸を顔面に食らったな・・・あれ、蜘蛛って昆虫だっけ?」

「そんな事言ってる場合じゃないぞ!そろそろ倒さないと!」

「バイヨ。慌てなくても虫達は堅い餌に難儀しているよ」

「助けないのか?」

「カードは拾ってやろうと思ってる」

「むぅ!私は行くぞ!」ダダッ

「あっ!バイヨ!もう!どうする?エマ」

「うーん。マルコ。助けてくれない?」チラチラ

「バイヨの博愛精神には感服したよ。女を助けるのが僕の騎士道精神。みんな、行くぞ!」

『・・・』

「さっき言った様にな!」

『了解!』


飛び出したバイヨを追って僕とケセラが走る。


ミキ、マヌイ、サーヤ、エマの斉射で柔らかそうな魔虫に矢が刺さっていく。


バイヨが斬りつけるが堅い外殻に弾かれている。

バイヨに向き直った甲虫の噛みつきをケセラが盾で防ぐ。


ドンッ


「す、すまん!」

「気にするな!」


大丈夫そうだな。

騎士達に襲い掛かっていた虫達の側面を突いたのでこちらが有利だ。


「《バインド》!」


影により4匹が拘束され、

頭に矢が突き刺さっていく。

ケセラのバッシュによりフラついた甲虫の頭にもバイヨの剣が突き込まれる。

短時間で6匹の魔虫を倒す事に成功した。

残り1匹の甲虫は騎士達と対峙している。


   「証明部位と魔石の確保ぉ~」

   「「「「りょうか~い」」」」

ティア「助けなくて良いの?」

   「助けるも何も、1匹を取り囲んでるだろ。助けるなら虫っていう構図だ     ぞ」

ティア「・・・まぁ、そうね」


僕等は証明部位と魔石を集めていた。




「ぬぅん!」


爺の剣でようやく頭部を破壊された甲虫の動きが止まった。



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