⑨-42-231
⑨-42-231
バイヨ「しかし魔虫を5匹倒すとはな」
「ん?」
バイヨ「1度に5匹倒したのは初めてだ」
「そうか。僕等は魔虫自体が初めてだ」
バイヨ「初めてで甲虫入れて5匹か」
「ん?」
バイヨ「見ての通り鎧に守られてる。結構な強敵なんだ」
「強敵だったよ。時間が掛かった」
バイヨ「・・・あれでか」
「しかし魔虫か」
ミキ 「これが騒動の原因?」
「うーむ。確かに5匹居ればかなりの被害になるが・・・」
ケセラ「冒険者のパーティも居なくなっている」
バイヨ「それ程とは思えないな」
「魔虫が居るのは山なんだろ?何故ここに?」
バイヨ「山に居るのは冬だ。夏は降りてくる」
「山こわっ!」
マヌイ「じゃぁ何故この虫達はここに居るの?山でもないのに」
バイヨ「・・・分からん」
「つまり。本来居ないはずの魔虫がこの森に居る」
バイヨ「あぁ」
「誰も帰って来ない森に」
バイヨ「そうだな」
「じゃぁ、こいつ等が原因だと仮定しておこう」
バイヨ「こいつ等が!?」
「他に原因になるよう物が無いからな」
ミキ 「そうね。じゃぁ、必要になるかもしれないから証明部位と魔石を持ち帰り ましょう」
マヌイ「分かった!」
サーヤ「はい」
みんなで証明部位と魔石を取る。
「じゃぁ、今日はもう帰ろう。帰った頃には日暮れだ」
「そうだな」
「そうしましょう」
「疲れたしね」
僕達は野営地に歩き出したがサーヤ君に目線を送る。
サーヤ君は頷いた。
サーヤ「あの、すいません・・」
バイヨ「どうした?」
サーヤ「はばかりを・・・」
バイヨ「あぁ、分かった。私も女だからね、分かるよ」
「じゃぁ、ジーナ君。付いて行ってあげてくれ」
ミキ 「分かったわ」
サーヤ「では失礼しますね」
菊池君とサーヤ君は離れて行った。
「しかし甲虫の突進を大剣叩きつけて防ぐとはねぇ」
バイヨ「モノが良いからな」
「モノ?」
バイヨ「良い鉱石から作られたんだ」
「へぇ~。エマも良い腕だったよ」
エマ 「ありがとう」
「《弓術》持ってる正確さだったな」
エマ 「まぁね」
ティア「ちょっと!」
「ん?」
ティア「私は?」
「ん?」
ティア「私よ!闇魔導士よ!」
「つーん」
ティア「ちょ、ちょっと!?」
エマ 「ティアはマルコに突っかかり過ぎよ」
バイヨ「そうだな」
ティア「べっ、別につっかかってなんて」
「まぁ?僕の1番の武器である魅力に当てられたのも分かるけど?少しは抑 えて欲しいねぇ」
ティア「はぁ!?バッカじゃないの!?」
「そういう態度も照れ隠しからだろうけど、少し・・・ね」
ティア「ちょ、止めてよ!別にあんたなんて何とも「あっ、戻って来たよ」」
「じゃぁ行こうか」
ティア「ちょ、待って!」
ケセラ「うむ。早く野営地に行かないと日が暮れる」
ティア「待って!そうだったように終わらせないで」
バイヨ「行くぞ、ティア」
ティア「バイヨまで!?」
エマ 「お腹空いたよ」
ティア「エマ!?」
サーヤ「お待たせしましたー」
「じゃぁ帰ろっかー」
『はーい』
ティア「待ってよー!」
野営地に向かっていた時。
「はぁ~メンド臭い事になった」
ミキ 「どうしたの?」
バイヨ「どうした?」
「あいつ等が野営地に居る」
マヌイ「あいつ等って、あいつ等?」
ケセラ「あの騎士風冒険者か?」
「あぁ」
『面倒臭ぁ~』
バイヨ「どうする?別の場所を探すか?」
ティア「今から!?もう直ぐ日が暮れるわよ」
エマ 「そうね、探してる時間なんてないわね」
「じゃぁ行きますよ。行きたくないけど」
開けた場所に出るとあいつ等が居た。
「見ろ!爺!私の言った通りであろう!」
「はい!流石、若!御慧眼恐れ入ります」
「ふははははは!そうであろう、そうであろう!」
「何?」
「竈の跡を見てここを野営地にしてるからまた戻って来るって予想してその通りになって褒められてる」
『へ、へぇ~』
「おい!貴様等!よくも我らを置いて行ってくれたな!」
「何の事だ?」
「自分達だけ馬車に乗りおって、我らを置いて行ったではないか」
「馬車で行ったのは事実だがお前らを置いて行った覚えは無いぞ」
「何を言っておる!置いて行ったではないか!」
「お前こそ大丈夫か?春にはまだ時間が有るぞ?」
「何だと貴様!」
「置いて行ったというのならお前らとどこかで会っていたはずだが」
「そうだ!会ったではないか!」
「どこで?」
「ムルキアを出て数時間の所でだ!」
「う~ん。知らんなぁ。あ、君達。テント張っておいて」
「「「「は~い」」」」
「知らぬ訳が無かろう!貴様等も我らを見ていたではないか!」
「う~ん・・・はっ!そういえば」
「思い出しおったか!」
「君達ぃ~。今日は僕の好物を作る日だからねぇ~。忘れないでくれよぉ~」
「「「「は~い」」」」
「ききき貴様の好物など今はどうでもよかろう!」
「何を言ってる!5日に1度しか無い好物の日だぞ!今日を逃したら5日後だぞ!」
「食い物ごときで我との話の腰を折るでないわー!」
「お前ごときで俺の好物を食い逃して堪るかぁー!」
「お前ごときだとぉー!私を誰だと思っているのだ!」
「3男だろ」
「ききき貴様ぁー!」
「若!話が進みません。冷静に!」
「ぐぬぬぬ・・・お前らとすれ違ったではないか!」
「いつの話だ?」
「3日前だ!」
「3日前って、依頼受注してムルキアを出た日じゃないか!?」
「だからそう言っておるだろうがっ!」
「そんな前の事を思い出せって?う~~~~~~~~~~~~~~~~~ん。はっ」
「よ~~~やく思い出したか!」
「そういえば、プレートメイル着て荷物背負った奴らが僕等に手を振っていたが、もしや」
「手を振っていたのではない!いや、振っていたのだが!あぁ、もう!」
「あれがお前ら?」
「そうだ!」
「ウッソだぁ~」
「嘘ではない!」
「仮にお前らだったとして。それがどうしたの?」
「どうした・・・って。えっ?」
「だから、それがどうしたんだっての」
「何故停まらなかったのだと聞いている!」
「何故停まらなければいけないのかと聞いている」
「我らを乗せる為にだ!何を言っている!」
「何故お前らを乗せるんだ?」
「なっ、何だと!?」
「定員8人の馬車にお前らが乗る余地なんてお前の心の広さ位しかないぞ」
「全く無いではないか!」
『ぶっ』
「わ、若!」
「はっ!ききき貴様!」
「だから停まらなかった訳。お分かり?」
「貴様等が降りれば良かろうが!」
「何故僕等が降りてお前らが乗るんだよ」
「我らが貴族だからだ」
「お前平民だろ」
「ぐぬぬぬ!ぶっ、無礼者が!」
「つまり。お前は僕等が金を払って借りた馬を力ずくで奪おうとしたと」
「貴族の私が乗るのが相応しいのだ!」
「じゃぁ何でお前らは馬車を借りなかったんだ?」
「なな何を~」
「な~ん~で、馬車を借りなかったんでちゅか?」
「くくく・・・」
「まさかぁ、貴族様がぁ、お金が無いから借りなかったぁ、なんて言わないよね?」
「ぐぬぬぬ・・・」
「それで通りすがりの冒険者の馬車を奪おうとした、なんて言わないよねぇ」
「ききき貴様ぁ・・・」
「それって犯罪だから通報しますね」ケロッ
「はっ!若!なりません!」
「爺ぃ!何だ!」
「お家に傷が!」
「!うぬぬぬぅ~」
「じゃぁ戻ったらスティーゲンさんに報告報告っとぉー」
「待て!お前!」
「じじいにお前呼ばわりされる覚えはねぇんだよ、すっこんでろ!」
「くっ!き、きさまぁ」
「さ~って、飯の用意でもするかなぁ」
「待て!お前!」
「5日ぶりの好物だからな」
「ま、待ってくれ!頼む!」
「何だよ、食い損なったらどうしてくれるんだ、責任取れるのか?」
「頼む!通報は止めてくれ!」
「何を言ってる。犯罪者の通報は国民の義務だぞ」
「犯罪者ではない!」
「未遂だった。でも僕等が停まってたらやってたって事だよね?立派な犯罪者ですぅ~、ベロベロバー」
「くぅ・・・貴様ぁ・・・」
「若!頼む!ワシの顔に免じて通報は止めてくれ!」
「クソじじいの顔なんて煎じて飲めるか!頼まれなくても通風にはなりたくねーよ!」
「免じるのだ!煎じるのではない!」
「えらそーに、何を大声出してるんだ?少し落ち着け」
「お前が、お前がぁ」
「口の利き方に気を付けろ?善良な通報者だぞ?」
「ぬうぅぅ」
「分かったらさっさとお家に帰れ。あっ、お前ら家に帰れるの?」
「くぅぅ、貴様ぁ」
「若っ!頼む!通報は止めてくれ!」
「許すのは1回だけだぞ。次は無いからな」
「う、うむ。分かった」
「よーし、行って良し」
「うぐぐ・・・」
騎士達は離れて行った。
「私、もうマルコに突っかかるの止める」
「そうしなよ」




