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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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野営地で休む。

午前中は何かと時間を取られたが明日の夕方には村に着きそうだ。

バイヨ達が居るのでロケットストーブは出せない。

以前の竈だ。

風呂も使えない。明日もだろうな。

2パーティの竈を近づけてみんなで囲んで暖をとっていた。


「バイヨ」

「ん?」

「折角8人居るんだ。連携した方が良いと思うんだが」

「あぁ、そうだな。どうする?」

「3人だしね。良いわよ」

「私も」

「ではそうしようか」

「あぁ。じゃぁ盾役はセラナとバイヨに頼む」

「うむ」

「分かった」

「盾役の援助にジーナ君、アヤ、ルーラ君、ママ」

「エマよ!」

「エマの4人が。僕とティファが遊撃か」

「ティアよ!」

「ティア。右側と左側、どっちが良い?」

「右側で」

「分かった。じゃぁ、僕達は左側を受け持つ」

「あぁ」

「そっちは今まで通り戦ってくれ。こっちもそうする」

「連携は?」

「いきなりは無理だろう。こっちは3人射手が居る。そっちの援護をする事になるんじゃないかな?」

「そうだな・・・まぁそうなるだろうな」

「セラナは防御に徹する。そのつもりでいてくれ」

「分かった」

「あんたは何するの?」

「ん?」

「女に指示しておいて、あんたは何するのよ」

「僕は指示役だ。リーダーが戦闘に参加したら全体が分からなくなるだろ」

「ふん!そうやって安全な所に居るのね」

「リーダーってそんなもん」

「私は違うわよ!戦ってても指示出せるわ」

「僕には無理だな。だから指示に徹する」

「あなた達はどう思ってるの!?」

「「「「?」」」」

「黙ってこいつの指示を聞いてるだけ?」

「そうやって生き残って来たからね」

「マル兄ぃを信じてるから」

「余計なお世話ですわ」

「彼は決して卑怯な男ではない」

「ちっ」

「止めろティア。彼らには彼らのやり方がある。私達もだろう?」

「・・・えぇ」

「そうそう。流石バイヨ。そちらはちゃんと纏めてくれよ」

「あぁ。安心してくれ」

「ふん!」

「もう寝るか。明日は早く出発して今日の遅れを取り戻さんとな」

「そうだな」




翌早朝に馬車の改造だ。


「また?」

「昨日は板バネのみだったが今日はショックアブソーバーも付ける」

「ショックアブソーバー?」

「ダンパーってやつだな」

「見たこと有るわね」

「スプリングのは分かり易いからね」


「おぉ!昨日よりも楽だな!」

「突き上げ感が和らいだわ!」

「良いよ!マル兄ぃ!」

「素晴らしいです!」

「これは助かるな」

「ちっ」

「ティアも、助かってるのは事実なんだし」

「分かってるわよ!」

「次は油の粘性とシャックルだな・・・ブツブツ」




乗り心地が良くなったお陰で休憩もそんなに時間を取らず夕方には村に着いた。

村長らしき初老の男が出て来た。


「バイヨ。交渉はどうする?」

「君に任せるよ」

「良いのか?」

「君の方が口は達者だろ?」

「どうかなぁ」

「任せるよ」

「分かった」


「ムルキアからの冒険者ですか?」

「そうです。マルコと言います」

「バイヨだ」

「おぉ。お待ちしていました。ささ、どうぞ」


馬を預け村長の家に入る。


「村人が帰って来ないと聞きましたが」

「はい。それで調査を頼んだ冒険者も誰1人戻らず。事は都まで届いたようで、よろしくお願いします」

「はい。森というのは・・・」

「南西になります。川を渡った奥地になります」

「なるほど。ちなみに今までに何か分かってる事は?」

「いえ、全く・・・」

「そうですか。分かりました。あ、これムルキア冒険者ギルドのマスターからの手紙です」

「えっ!?拝見しても?」

「どうぞ」

「・・・サインは要らない?どういう事です?」

「実は村だけの話じゃなくなってきているらしいとしか・・・」

「・・・そうですか。まぁ街主なり国なりが出て来てもらえるに越したことは有りませんからの」

「えぇ」

「では解決の確認は無しで?」

「公都から派遣された我々を信じていただくしかありませんが」

「・・・そうですか。まぁそれしかありませんしな」

「お願いしますね」

「分かりました。では宿に案内しましょう」

「お願いしますね。あっ、そういえば」

「どうされました?」

「後日、もう1パーティが来る予定でして」

「はぁ」

「貴族風のいけ好かない奴らでして」

「貴族・・・風?」

「えぇ。3男だったかな」

「あぁ・・・」

「メンド臭い奴なんで適当にあしらって下さい」

「はぁ、分かりました。ご丁寧に教えていただき」

「いえいえ。僕等も嫌って・・・オホン。宿にお願い出来ますか」

「はい」




2家屋に分かれて休息をしている。


「どうだった?」

「村人は問題無さそうかな」

「何がだ?」

「村に悪魔や魔女なんかが居ないかって事よ」

「な、何だと!?分かるのか?」

「任せろ。僕の魅力に悪魔も堪らず尻尾を出すのさ」

「サーヤ姉ぇ、悪魔に尻尾有ったっけ?」

「あの悪魔は有ったと思うけど」

「村人の様子もおかしくは無かったと思うわ」

「怯えた様なのは事件のせいだろうね」

「何か企んで隠してるようには見えなかったよね」

「そうね。全てお見通しとまではいかないけど」

「どうするの?」

「手掛かりを見付けない事には始まらない。考えても無駄だが最悪、悪魔。と考えていれば良いだろう」

「そうね。じゃぁ明日に備えてもう寝ましょうか」

「あ」

「何?」

「ケセラ」

「何だ?」

「闇魔法ってどんな魔法だ?」

「「「!?」」」

「主に行動を縛る魔法だな。どうかしたのか?」

「いや、別に。さぁ寝るぞー!」

「張り切って寝る奴を初めて見るぞ」




早朝。村長に挨拶してバイヨ達と南西の森に向かう。


「どうぞご無事で」

「ありがとうございます。そうだ、村長さん」

「はい?」

「旅人か冒険者で”ヨセフ”という名前に心当たりは?」

「ヨセフ?・・・いえ、有りませんなぁ」

「そうですか。では」


先に歩いていたみんなに合流し今後の相談をする。


「さて、どうしたらいいと思う?マルコ」

「何も手掛かりが無いからな。先ず手掛かりを見付けよう」

「奥地に行ってからって事だな」

「あぁ」




昼休憩が終わって大分過ぎた所で幅数mの川に出た。


「これより奥地か」

「よし。ここより村側に少し戻った所で野営しよう」

「もうか?」

「そこを野営地にする。奥地から村までは帰れんだろう」

「じゃぁ川の近くでは駄目なのか?」

「寝てる時に急な増水や川から魔物が現れるかもしれん。誰1人戻っていないんだ。用心に越したことはない」

「そうだな。そうするか」


来る途中の開けた場所を野営地にして周辺を探索する。

異常は見当たらないので準備に取り掛かった。


「アヤ、ペグのやり方大分上手くなったな」

「うん!」

「こんな所で野営して大丈夫だろうか」

「大丈夫よ。カズヒコの索敵力知ってるでしょ?」

「あ、あぁ。しかしどうしても怖くは感じる」

「まぁ、しょうがないわよね。でも8人居るんだし、何とかなるんじゃない?」

「あ、あぁ」

「早く準備して明日に備えて休みましょう。休むのも仕事の内よ」

「そうだな。分かった」


その夜は何事も無く過ぎ、明くる早朝に僕達は奥地に入った。


奥地を突き進むのではなく探索予定地の外縁部をジグザグに行っている。

そういう訳で奥まではまだ相当ありそうだった。

昼休憩を取っている。


バイヨ「マルコ」

   「ん?」

バイヨ「何か分かったか?」

   「あぁ、まぁな」

バイヨ「何が分かった?」

   「何も無いというのが分かった」

ティア「何よそれ!勿体ぶって結局何も分かってないってだけじゃない!」

バイヨ「何も無い・・・か」

   「あぁ。魔物も、動物すら何も居ないな」

   『!?』

バイヨ「そういえば・・・」

ミキ 「魔物も1匹も見ないわね」

マヌイ「鹿や猪も見ないし、変だねぇ」

サーヤ「そうねぇ」

ケセラ「どういう事だ?」

   「2つ、考えられる」

ケセラ「1つは?」

   「何かに怯えて他の地域へ逃げ出したか」

ケセラ「もう1つは?」

   「何かに全て捕食されたか」

   『!?』

バイヨ「魔物って事か・・・」

   「だろうなぁ、人間の線では無くなったな」

バイヨ「人間?人間の仕業だと思っていたのか?」

   「その可能性も考えていた」

ティア「何で人間なのよ」

   「それを調査に来た」

ティア「むむ・・・」

エマ 「魔物って何?」

   「それを調査に来た」

エマ 「んん・・・」

ケセラ「最悪も考えなきゃならんか・・・」

バイヨ「最悪?最悪とは?」

   「セラナ・・・」

ケセラ「む、すまない」

バイヨ「答えてくれ。最悪とは何だ?」

   「・・・何でこの仕事を受けたんだ?」

バイヨ「Cランク単体じゃなく複数のパーティで受けるから3人でも大丈夫だと    思ったが」

   「そうだ。本来もう少し実力が上の冒険者が受けるはずの物だ」

バイヨ「悪魔騒動のルンバキアに行っていると聞いているよ」

   「そうだ。隣のルンバキアで悪魔騒動。この森では多くの行方不明者」

バイヨ「・・・まさか」

ティア「嘘でしょ」

エマ 「何で」

   「そうだと決まってはいない。だから最悪の場合だと言ったんだ」

バイヨ「君達は承知で受けたのか?」

   「受けさせられたんだ。言っただろ」

バイヨ「・・・そうだったな」

   「村長のサイン不要もその為だ」

   「「「?」」」

   「仮に悪魔だったとして討伐したら確認の為に悪魔を見せるだろ」

バイヨ「あぁ、そうだな」

   「国中に広がる訳だ。ベルバキアにも悪魔が出たと」

バイヨ「パニックか」

ティア「それで納品しろってわざわざ契約したのね」

エマ 「悪魔は国法で納品しないといけないのに、わざわざね」

   「流れとかには知らない者もいるだろう。僕達みたいに」

バイヨ「悪魔の血は何処の国でも所持するだけで違法だぞ」

   「「ふ、ふ~ん」」


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