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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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翌日。

午前のスキル修行を終え、ミーティングを兼ね昼食を摂っていたところ、


『《縫製》を習得したっ!?』

「はい!」

「早くないか!?」

「早いわよ!」

「凄いね!」

「早過ぎるだろう!」

「実は奴隷時代に1度習得機会が有ったんですが・・・」

『・・・』

「そうか・・・サーヤ君」

「はい」

「その機会を潰した奴を見つけたら知らせろよ」

「はい」

「どうするのだ?」

「知れたこと、ブッ殺す!」

「えぇ!そうよ!」

「そうだね!」

「そ、そんなにか!?」

「あー、ケセラ」

「な、なんだ?」

「エルフに生まれて魔法を使えない君ならサーヤ君の気持ちが分かると思ったんだけどな」

「あっ、あぁ!そうだな!いや、その通りだ!」

「幸せになる機会を潰されたんだ。自分も潰されても文句は言えまい!」

「そうだな!」

「適当に痛めつけて捕まえる。トドメはサーヤ君に任せる。ブッ潰してやれ!」

「はい!ブッ潰してやります!」

「待てよ」

「どうしたの?」

「下ろし金を作るか」

『下ろし金!?』

「大根とかをすり下ろすヤツ?」

「すり下ろしてやれ!」

「はい!」

「「「こわっ」」」


「でも、良いなぁ」

「焦らなくて良いからな」

「うん。分かってる」

「一緒に頑張りましょう」

「うん!」

「しかし《縫製》が有るんなら下着とか作ってもらえば良いんじゃないか?レベル上げにもなるし」

「そうね。特にケセラはアーマーメイルだから消費が激しそうだしね」

「そうだな。頼めるだろうか」

「任せて」

「ありがとう」

「そうなると・・・作りながら行く街々で売っていけるんじゃないか?」

「でも商人ギルドを通さないと駄目なんじゃないの?」

「ウリク商会みたいに懇意にしている所なら」

「買い取ってくれるって訳ね」

「あぁ。例えばこの辺だと羊毛を仕入れて毛糸に紡ぐ。羊毛のままだと嵩むが毛糸にしてしまえば圧縮出来る」

「尚且つサーヤのスキル上げにもなると」

「ケセラを送りにソルスキアまで行くんだ。羊毛はアリかもな」

「そうだね。タリルコルさんに卸せば良いんじゃないかな」

「そうね」

「商売の基本は安く仕入れて高く売る事だが、単価が安いと利益も安いんだよな」

「薄利多売ね」

「じゃぁ単価が高いのを仕入れれば?」

「うむ。今の君達なら可能だろう?」

「うーん」

「どうしたの?」

「高級な物だと売る相手も限られるだろう」

「そうね」

「貴族が口を挟んだりしないだろうか」

「「「うーん」」」

「貴族であれば利益も相当になるから良いではないか」

「貴族ねぇ~」

「良い感じはしないなぁ~」

「今までの経験からですしね~」

「そ、そうなのか」

「勿論、貴族のみんながみんな駄目だとは思わないよ」

「そうね。ケセラに紹介する人もそうだしね」

「うん。あの人は良い人だったね」

「そうね」

「だったら・・・」

「割合が・・・圧倒的じゃないかと、思うのは被害妄想だろうか」

「「「うーん」」」

「で、では気に入った相手に売れば良いのではないか?収納袋も有るのだし」

『!?』

「おまっ、天才だな!」

「凄いわね!」

「ケセラ姉ぇ冴えてるね!」

「むむむっ!」

「えっ・・・」

「そうしよう!気に入らねぇ奴にゃぁ売らねぇ。これで行こう」

「気分屋の行商人、良いわね!そうしましょう」

「生活費は冒険者の依頼をすれば良いしね」

「ストレスが無いですね」

「今も大して変わらないと思うのだが・・・」




ミーティングも終わり、午後の訓練と魔石採取をこなして納品館に行く。

調査の件で本館へ寄って欲しいと告げられた。

本館を訪れるとあの娘に見つかり応接室に連れて行かれた。

遅れてギルド長のスティーゲンさんも入って来た。


「やぁ、久しぶりだね」

「あ、ども」

「そう嫌な顔をしてくれるなよ」

「べーつにー」

「今回呼び立てたのは他でもない。公国から情報料を下賜するという事になってね」

『!?』

「国からも報奨金を出している依頼であのような事態が起こったのだからな。しかも上位種を倒してもいる。当然の評価だろう」

「当然の評価ですよね。最初は全く評価されませんでしたが」

「・・・オホン。公国から金50万エナを与えるとの事だ。有難く受け取り給え」

「ども。では」

「あ、ちょっと待ち給え」

「はい?」

「実は受け取るに当たり1つ条件が有って依頼を受けて、あ、ちょ、何処に行くのかね!?君!止めてくれ!」

「は、はい!待って!マルコさん、待ってー!」

「何ですか、放してください」

「お願い!話を聞いてー!」

「聞きたくはありません。では」

「マ、マルコ君!50万エナは要らないのかね!?」

「はい。要りません。ではさようなら」

「待ってくれ!君!逃がすな!」

「放さないから!絶っっっっ対放さないから!」

「はぁ~、何なんですか」

「ちょっと落ち着き給え!」

「落ち着くのはあんたらでしょーが」


「で、何です?」

「50万エナは要らないのかね」

「条件付きの金なんて厄介しかないですよ」

「むむ・・・」

「うう・・・」

「話だけでも聞いてくれないか」

「今回それで酷い目に遭ったんですけどね」

「むむ・・・」

「うう・・・」

「わ、私も今回は何も言えないな・・・」

「たった50万で僕達の命は懸けられない。そういう事です」

「いや!別に命を懸けろとは言って・・・いない」

「すっごい尻すぼみでしたけど?」

「・・・」

「話を聞くだけで50万貰えるんなら聞きますけど」

「・・・」

「さよなら」

「待ってくれ!頼む!先ずは内容を聞いてからでも判断しても良いだろう?」

「内容が間違ってて酷い目に遭う事もありますしね」

「むむ・・・」

「うう・・・」

「話を聞くだけでも聞いてみたらどうかな?」

「そっ、そうだろ!聞くだけでも良いじゃないか!」

「アヤ、それじゃぁ~駄目なんだよ」

「どうして?」

「相手が出す情報は相手にとって有利だからだ。都合が悪い情報を意図的に隠してる事がある」

「べっ、別に隠してた訳じゃ・・・なくて」

「あいててて、カルドン戦での怪我が・・・」

「うう・・・」

「事件はここから南西に3日ほど行った村だ」

「強引に持っていくスタイル・・・」

「でも3日かかる村から公都に依頼が来るの?」

「最寄りの街に依頼を出したが解決されず、公都まで回って来たんだ」

「厄介事確定ぇー!」

「森の奥地に入った村人が帰って来ず、調査を依頼した冒険者もまた帰って来なかった」

「村人が殺してんじゃねーの?」

「それで依頼って?・・・」

「うむ。調査だ」

「はい。じゃぁ帰りますねー、さいなら」

「まぁ、もうちょっと聞いてあげましょうよ。それで何で私達に?Dランクよ?そんな危険な依頼はもっと高ランクに依頼すべきものでしょう?」

「高ランクに手が空いている者がいなくてな」

「公都なのに?」

「うむ。実は此処だけの話にして欲しいのだが」

「えぇ。いいわ」

「隣のルンバキアで悪魔が出たのを知っているか?」

「「「「ぶっ!」」」」

「高ランクはその討伐や素材入手の為にルンバキアに行っている。勿論全ての高ランクがそうでは無いが、他の依頼を受けている最中なのだ」

「へ、へぇ~」

「ベルバキア公国に近い所だと南東の国境付近でルンバキアの国境騎士団20名が失踪したらしくてな」

「「「「「ぶっ!?」」」」」

「馬だけ帰って来たらしい。魔物の仕業ではないかという事らしいが、如何せん時期が時期だけにな。悪魔の線も疑っているという事だ」

「それはルンバキアからもたらされた情報ですか?」

「そうだ。魔物は人間の都合など関係無いからな。情報共有をしているのだ」

「では国境騎士団20名が失踪というのもルンバキアからの情報ですか?」

「そうだ。全滅だからな。魔物だろうとは思うが、騎士20名を全滅させるとは・・・やはり悪魔かも・・・」

「「「「「ぶふーっ!」」」」」

「失踪して1ヶ月が経過している。我が国の軍もベルバキア側を捜索しているが冒険者の投入も検討している」

「「「「「!?」」」」」

「そういう訳で君達に依頼する事になった訳だ」

「で、でも、だからってDランクに依頼して良い内容じゃないわよ」

「あぁ。私達もそれを考慮して君達の他に2パーティに声を掛けている」

「・・・合同調査」

「そうだ。他はCランクで君達は彼らの補助という事になる」

「帰りましょ」

「そうだね」

「そうですね」

「うむ」

「ちょ、何故だ!」

「調査官見たでしょ!あんた達が選んだ奴の尻拭いなんか真っ平よ!」

「うぅ・・・」

「だから聞く必要なんてないって言ったじゃないですかぁ~」

「分かった!こうしよう!暫定でCランク相当にして他のパーティと同等としようじゃないか」

「そんな事出来るの?」

「うむ。緊急の場合、Cランク相当だと思われる場合にマスター権限で仮にする事が出来る。流れなどに対して使う場合が殆どだ」

「まぁ、確かに流れだし」

「それにカルドンも仕留めている。問題は無い」

(どういう事だ?この流れは受ける流れだぞ?)

(ルンバキア国境付近への調査を依頼されるよりはマシでしょう。ケセラの事が有るのよ)

(受けなきゃ良いだけの話だ)

(ここに居られなくなったら?)

(ベオグランデに行けば良い)

(もし何も問題無かったら時間の無駄になるわ。ここから南下する方がずっと近いし)

「はぁ~、分かっていないよジーナ君は」

「何を?」

「スティーゲンさん」

「あぁ」

「これは村からの依頼ですか?」

「む・・・まぁ、そうだが」

「じゃぁ調査して達成したら最寄りの街で報告すれば良いんですよね」

「い、いや。これは、この依頼はここまで帰って来て報告して欲しい」

「何故です?」

「そういう依頼であり、ムルキア冒険者ギルドからも報酬の一部を出しているからだ」

「報酬は?」

「30万エナだ」

「調査に30万!?」

「そうだ」

「1チーム30万ですか?」

「・・・いや」

「何よ!」

「詐欺だよねぇー」

「騙すつもりだったのですね!」

「感心せんな!」

「ぐぐ・・・」

「ジーナ君」

「何?」

「隣のルンバキアで悪魔騒動が起きた」

「そうね」

「ベルバキアでも南西で誰も生還していない事件が起きている」

「・・・悪魔・・・かも!?」

「「ドキッ」」

「10万で悪魔かも知れない調査に行かされる訳だ」

「帰るわよ!」

「そうだね!」

「全く!」

「程がある!」

「待ってくれ!分かった!額を上げよう!60万!いや90万出そう!」

「バッカじゃないの!1チーム30万じゃない!」

「し、しかし悪魔かどうかも分からないのにそんなには・・・」

「固定じゃなく歩合ではどうですか?」

「歩合?」

「もし大した魔物が原因じゃ無かったら安く、悪魔みたいな強い魔物だったら高く・・・どうです?」

「うーむ」

「今日の夕飯何だっけ?」

「さぁ、でも早く帰らないと時間過ぎちゃうわよ」

「そうだね、帰ろう」

「分かった!分かりましたっ!歩合制、更に固定で10万出そう」

「ふむ。仮に悪魔だったとして特定出来たら直ぐに帰って来ますが」

「あぁ。ただ特定を証明出来るように証明部位を取って来て欲しい」

「はぁ!?バッカじゃないの!?証明部位取れるんなら討伐してるわよ!」

「う、うぐ」

「これは調査討伐依頼・・・ですかね?」

「しかしそれだと悪魔じゃなくても悪魔だと報告されれば高額の報酬を支払う羽目になる」

「・・・悪魔の血。だとどうでしょう」

「・・・なるほど」

「少量でも鑑定は出来ますか?」

「あぁ。だが流石に針で刺した程度の血では無理だが、剣で斬った時の血糊であれば可能だろう」

「仮に悪魔を討伐した場合、討伐依頼で出される報酬をいただきたい」

「むっ・・・1/3だ」

「うーん。3パーティで行く訳だから・・・まぁ、そうか」

「ちなみにこの話は他のパーティにはしないでくれ」

「・・・もう契約済という事ですか」

「その通りだ」

「倒した悪魔は3パーティで分割しても?」

「いや、ギルドに納品して欲しい。勿論相応で買い取る」

「それは他のパーティにも言っておかなければいけないのでは?」

「討伐した場合にはギルドに納品する契約になっている」

「僕等にもその条件で契約するつもりだったと」

「あぁ」

「ちなみに」

「あぁ」

「悪魔以外の魔物だった場合でも納品しなければいけませんか?」

「そうして欲しい」

(この辺りか)

(流石ね)

(前に酷い目に遭ったもんね)

(えぇ)

「私は反対だ!」

「「「「セラナ?」」」」


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