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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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⑨-20-209

⑨-20-209




日の出と共に起き、食事を摂る。


「マルコ」

「ん?」

「昨日の件だが・・・」

「あぁ。気にするな。黙ってておく」

「・・・ん?」

「痔の話だろ」

「ち、ちがっ!?」

「血が?そうか、辛そうだな」

「違うー!依頼の話だー!」

「うん?」

「村の為にって話だ!」

「あぁ、それか。気にするな。人それぞれ価値観が有る。価値観が違うからって君の考えを批判するつもりはない。好きにすれば良い」

「いや、私は今君達の護衛を引き受けている身だった。それを優先する」

「そういえばそうだったな」

「あぁ。私は誓った。君達を傷付けたらこの身がどうなっても構わないと。だから・・・どうした?」

「・・・」

「マルコ?」

「・・・この身がど「オラァ!」ぉぉぉ!」

「胸じゃなく空を見なさい空を!」




食事を終えて片付け、辺りを散策し適当な所を見つけそこでしばし待つ。


「む!」

「どうしたの!」

「上空に感有り」

「上空!」


そう言ってみんな空を見上げる。


「雲が有るわね」

「晴れ間も有るけどね」

「恐らく雲の中だ」

「魔物なの?」

「あぁ。鳥では無い」

「何故分かるんだ?」

「・・・僕の、魅力?」

「みんな、戦闘用意よ!」

「「「了解!」」」


「それで!どうするの?」

「ルーラ!大楯と支柱だ!」

「了解!」

「支柱を4本立てて大楯を嵌め込んで上向きに載せる。セラナ以外で支柱を支える。セラナは真ん中で大楯を固定しろ!」

『了解!』


急いで準備する。


ちょっとしたテントだ。天井は堅いが。

4人は大楯の下で座って準備している。

支柱はそんなに高さは無い。

あまり高いと不安定なので座れる高さにしたのだ。

俺は野衾が現れるまで惹き付ける。


ボッボッボッボッボッ


野衾が雲を突き抜けて真っ逆さまに落ちて来る。

凄い速さだ。


「来たぞ!」

『了解!』


俺は急いで大楯に潜り支柱を支える。


「セラナ!任せたぞ!」

「分かった!」


セラナは落下の衝撃で大楯がずれないように支える役目だ。


「来るぞ・・・3,2,1・・・」


ゴオォォォン、ゴオォォォン、ゴオォォォン


大楯に衝撃が響く。

絶え間無く次々に。


「「「きゃあぁぁ!」」」


ボタボタボタ


大楯に跳ね飛ばされた野衾が地面に落ちて来る。


「キュイイィィ・・・」


倒れた野衾と目が合った。

その間も衝撃音が響く。

しばらくして、


「止んだ・・・か?」

「まだ上空に居る。全員待機!」

『了解!』


俺は大楯から出て空を調べる。

やはり雲に隠れて野衾の姿は視認出来ない。

しかし俺達の真上に移動して来ているのは感知出来る。


ボッボッボッボッボッ


「来た!」


急いでまた大楯に潜る。


「来るぞ・・・3,2,1・・・」


ゴオォォォン、ゴオォォォン、ゴオォォォン


「「「きゃあぁぁ!」」」


ボタボタボタ


「キュイイィィ・・・」

「キュウゥゥゥ・・・」

「キュゥ・・・」


さっき落ちた野衾の上にも落ちて来る。

大楯は外側に円筒状に湾曲しているので周辺にずり落ちて来る。

辺りは呻き声が響く地獄絵図となっていた。


「止んだ・・・か?」

「あぁ。取り合えず付近上空には居ないようだ。出ても良いぞ」


みんな恐る恐る大楯の下から出てくる。


「うわぁ・・・」

「凄惨ね・・・」

「戦場だな・・・」


辺りはまだ生きているのも大勢いるようだ。

痙攣しているのも居る。


「よし!スキル上げするぞ!」

『えー!?』

「セラナ」

「何だ?」

「何かレベル上げたいスキルが有るか?」

「い、いや。今は特に」

「そうか。じゃぁ、アヤ!弓の用意だ」

「う、う、うん」

「一撃で仕留めろ。楽にしてやれ」

「わ、分かった!」

「みんなは死んでる奴を集めて数えてくれ!」

「分かったわ」

「はい!」


カズヒコがマヌイに付いているのを見ながら3人で話している。


「しかし、一瞬で終わったな・・・」

「大楯なんか何に使うんだろうって思ったけど」

「凄い、ベコベコですわ」

「凄まじい衝撃だったからな」

「値段分の価値は有ったわね」

「そうだな」

「これで40万エナか、良いわね」

「しかし、こう簡単だとな・・・」

「野衾を見つけられるあの人だからこそよ」

「そ、そうか。そうだな」

「ずっと上空を監視してないといけませんものね」

「今回みたいに雲からだと、逃げる猶予は数秒間ね」




マヌイの《弓術》スキルの経験値の肥しとなって生きていた野衾は全滅した。


「じゃぁ、4人で村長を呼んで来てくれ。あっ、ラドニウスもな」

「分かったわ。けど1人じゃ危ないわよ」

「私が残ります!」

「そう、じゃぁお願いね」

「はい!」

「行くわよ、アヤ、セラナ」

「うん」

「あぁ」


僕とサーヤ君で野衾を綺麗に整列させている。


「マヌイの防寒マスクの進捗はどうだい」

「はい。もう手慣れて来たのでもう直ぐ出来そうです」

「そうか。次は?」

「ケセラのを作ろうかと」

「そうか、すまんね」

「いえ」

「弓の調子は?」

「はい。スキルが上がってたお蔭か、使えてます」

「そうか。じゃぁ、マヌイも、スキルレベル上げを優先した方が良いね?」

「はい」

「バリスタは君に任せようかと思ってる」

「バリスタですか?」

「あぁ。力が必要だろうし・・・うん?待てよ」

「?」

「バリスタに《弓術》が乗るんだろうか」

「あぁ・・・どうなんでしょう」

「もし乗るんなら力も強いしサーヤ君が最適だろう、頼むぞ」

「はい!」

「・・・家族って言って貰えて嬉しかったよ」

「カズヒコさん」

「毎回危険な目に合わせてるのに」

「承知の上ですよ」

「・・・帰ったら美味いもんでも食べに行こう」

「はい!」

「おっ、帰って来たな」


菊池君が村長や村人を連れて戻って来た。

ケセラがラドニウスを引いている。


「こりゃぁ・・・まぁ・・・」


整然と並べられた野衾に村人達はあんぐりとしていた。


「33匹居ます。どうぞ確かめてください」

「は、は、はい!」


村長は1匹1匹数えていく。


「た、確かに、33匹確認しました」

「では依頼票にサインをいただけますか」

「は、はい」


サインを貰った。


「では依頼は達成という事で、僕達は引き上げます」

「あ、あの」

「はい?」

「野衾はどうなさるので?」

「あぁ。馬車に載せて持って帰りますよ」

「全部ですか?」

「えぇ、全部。お売りしましょうか?」

「い、いえ」

「そうですか、では」

「あ、ありがとうございました」


「アヤとルーラ君は馬車の中で野衾を引き上げてくれ」

「分かった」

「はい」

「全部は載りきらないんじゃないか?」

「半分は収納袋に入れて、半分で全部載ってるように見せてくれ」

「分かった」


村人達が積ん込みの様子を見ている。

全て積み込んで僕達は出発した。

僕達は徒歩だ。


「村から離れたら全部収納するからそれまで頼むぞ」

「ブオオォォォ!」


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