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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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⑨-18-207

⑨-18-207




早朝。

宿を出て武器防具屋で大楯を受け取り乗合馬車屋で馬車を借り、冒険者ギルドに行って依頼を受け、宿に戻って馬車を預けて商会へ行く。

少し疲れた。


「お早うございます、マルコさん。どうぞ此方へ」

「お早うございます、エウベルトさん」


エウベルトに伴われ応接室に入る。


「葬送で碌に挨拶も出来ずに申し訳ありませんでした」

「いえ、お気遣いなく。葬儀の方は」

「えぇ、滞りなく」

「そうですか」

「所で私が忙しくしている間に結構な買い物をして頂いたみたいで」

「いえ、必要な物ですから」

「今も例の物を見積もっているとか」

「はい。オランドさんに丸投げですが」

「いえいえ。皆様の要望に応えるのが私共の仕事ですから」

「はっはっは。オランドもあぁ言っていますからお気になさらず」

「ありがとうございます。それで今日は?」

「えぇ。先日100万エナの装備を買われたと報告を受けまして、そろそろ依頼をお受けになられるのでは、と」

「えぇ。今日から依頼で都を出る事にしています」

「今日からですか」

「はい」

「失礼ですが依頼の内容を御話頂いても?」

「大丈夫ですよ。北東の村に野衾の討伐に行きます」

「野衾!?」

「えぇ」

「討伐出来そうですか」

「やってみない事には分かりませんが」

「自信は御有りで」

「誰も死なない様に、危なくなったらスタコラサッサ、ですね」

「はっはっは。命あっての冒険者家業ですからな。それが正解ですよ」

「商人も一緒ですね」

「・・・そうですなぁ、商人か」

「?」

「あ、いえ。そこでお話ですが」

「はい」

「もし狩った野衾、うちに卸して頂けませんか。勿論討伐証明部位と魔石は御渡し致します」

「現在のギルドの買取価格が」

「3000エナ。えぇ。4000出しましょう。如何か?」

「卸します」

「素晴らしい、即決ですか」

「断る理由が有りませんね」

「はっはっは」

「ギルドより高くなる理由をお伺いしても?」

「えぇ。ギルドで仕入れるとどうしても他の商会と共に買う事になり独占出来んのですよ。更にその商会と競る事により買取額が高くなるのです。つまり私共1つの商会で独占的に買い取れば競る必要も無く商品も大量に用意出来、その分利益も増えるという訳です」

「なるほど。分かりました」

「・・・それだけですかな?」

「ん?」

「今の話を聞いて値を上げようとは・・・」

「1度決まった取引を反故にするのは好きではありませんね」

「はっはっは。なるほど」

「それにまだ討伐した訳ではありませんから。捕らぬ野衾の皮算用ですよ」

「はっはっは、正に」

(狸っているのかな)

(知らないわよ)

(前世では元は東アジアにしかいなかったんだよね)

(だから知らないわよ)

「それでは狩りの成功を祈っておりますよ」

「ありがとうございます」


席を立とうとしたところ、


ガチャッ


戸が開いて男が入って来た。

僕等に気が付いたようだ。目が合った。


「ちっ、冒険者か」


男はそのまま出て行って戸を閉めた。


『?』

「失礼しました。内の従業員なのですが冒険者に良い印象を持っていないのですよ」

「あぁ。そういう人はいますね。慣れてますからお気になさらず」

「そう言って頂けると・・・」

「それではこれで失礼します」

「えぇ。オランド、御見送りを頼む」

「畏まりました」


オランドさんに付き添われ館を出ようとする。


「先程は失礼をしました」

「いえ、お気になさらず」

「ティンゲンさんは仕事は出来る人なんですが愛想が無くて」

「ティンゲンさん」

「えぇ。旦那様、番頭エウベルト様の補佐をしております」

「そういえば会長さんは居ないんですか?」

「ここ1,2か月見ていないのですよ」

「そんなに?」

「まぁ、元々商会に積極的に関わるお人ではありませんでしたから」

「へー。会長っていってもそういう人もいるんですね」

「うちの会長だけだと思いますけどね。うちはここ数年前に立ち上げたばかりの新参なのですよ」

「ほー。それがここまで、しかも公都で。やりますねー」

「エウベルト様の手腕ですね」

「あやかってこの依頼が成功しますように!」

「はっはっは。御無事を祈っていますよ」

「バリスタ代も払っていませんしね」

「本当だ」

「「はっはっは」」

「では」

「お気を付けて」




僕達は馬車に揺られ北東に進む。


「うぇぇ、やっぱり慣れないな」

「苦手だわ」

「3人は大丈夫そうだな」

「騎士だからな」

「当然か」

「獣人だしね」

「関係あるのか」

「小さい頃から揺られていましたから」

「突っ込みづらい」

「でも借りるんなら馬の方が良かったんじゃない?」


馬よりも少し遅いが力のあるラドニウスを借りていた。


「というか借りる必要はあったのか?」


ケセラが御者席から問うてきた。


「セラナが御者が出来て助かったよ」

「騎士だからな。《馬術》を持っている」

「乗ってみたかったというのは、ある」

『えぇ・・・』

「それにバリスタを載せるから馬とどっちが良いかっていうのもあるし・・・」

『なるほど』

「まぁ他にもあるけど。所でこれ馬なの?」

「象とか犀に近いけど」

「馬か竜かって聞かれたら竜って答えるな」

「そういえばアヤは竜騎士が好きだったわよね」

「そうだよ」

「竜騎士って竜に乗ってるの?」

「そうだ。竜といってもドラゴンじゃなく飛べない竜だがな」

「「へー」」

「2本足で走る」

「馬とどっちが早いんだ?」

「馬だな」

「うーん」

「しかし機動力は竜だ」

「「ほほー」」

「それに必要な騎乗スキルは・・・」

「《馬術》だ」

「「なんでだー!?」」




夕方、目的の村に着いた。


「だから総じて馬なんだって」

「それで《馬術》なのね」

「いやラドニウスが馬って・・・あ、村長さんいますか?依頼を受けて来た冒険者です」

「あ、は、はい!そんちょー!そんちょぉー!」


村の入り口で村人に会ったので村長さんを呼んでもらった。

馬を預けて村長宅で話を聞く。


「村長です。良く来て下さった」

「依頼ですから。話を聞かせてください」

「はい。先日、村の東にある畑の作業中に野衾にやられましてな。あいつら昼間に出よるから仕事が出来ませんのです」

「出没時間帯は分かりますか」

「朝です」

「早朝ですか」

「いえ。少し経ってからですな」

「分かりました。馬は預かって頂けますか。食われたら弁償ものなので」

「え、えぇ。構いませんとも」

「では僕達は畑の方で野営します」

「え?村には泊まらないので?」

「えぇ。周りを見ておきたいですし」

「わ、分かりました。ではどうかよろしくお願いします」

「分かりました」


村を出て東の畑へと向かう。


「うーん」

「結構荒れてるわね」

「手が入ってないから雑草が伸びて、動物にも荒らされたみたいだね」

「これは何とかしなければ」

「セラナ、気負うのも良いが戦いは明日だぞ。今夜はゆっくり休むんだ」

「むっ。騎士の私が冒険者に諭されるとは・・・」

「はいはい。陽が沈む前にさっさとテントを張りましょ」

「そ、そうだな」


5人で急いでテントを張る。


「アヤ、テントは風向きも考慮して設置するんだ」

「風向きね」

「よし、ペグを打って」


カンカンカン


「よーし。じゃぁストーブを出して食事と風呂の準備をするか」

『はーい』


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