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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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⑨-17-206

⑨-17-206




翌朝。

食事を終え、ウリク商会に向かった。


「お早うございます、オランドさん」

「お早うございます、皆さん。どうぞ、此方へ」


応接室に通された。


「宿の御感想は如何ですか?」

「快適に過ごしていますよ」

「それは良かった。時に」

「?」

「皆さんは南部からいらしたのですよね?」

「えぇ」

「南部の宿はどうですか?」

「どう、と言いますと?」

「正直我々が南部に行く暇も有りませんで、うちより大きい商会と差別化を図る上でも南部の様子を知りたいと思いまして」

「なるほど。そう言えば」

「そう言えば?」

「南部はオプションでフルーツ等が有りますね」

「それは私共も供させて頂いております」

「後、巨乳マッサージ嬢によるマッサージのサービスとか」

「なんと!?」

「ちょっと!」

「それは新しいですな!」

「でしょう!」

「でもそういうのは公序良俗上どうなんです?」

「確かに。しかし性的でなければ許可は下りるでしょう」

「テストならいつでも声を掛けてください。マッサージされますよ」

「はっはっは。そうさせて頂きますよ」

「「「もう!」」」


「それで本日はバリスタの件で御越し頂きました」

「はい」

「入手の目処が立ちまして、その後報告にと」

「早いですね!」

「いえ、伝手を得たと言った所で。これから発注をする訳でして」

「なるほど」

「その際に色々御希望を聞いておこうと思いまして、此方をご覧下さい」


パンフレットがテーブルに並べられる。


「機能や特性も有りまして、この中からお選び下さい」

「分かりました。君達も一緒に検討してくれ」

『はーい』

「攻城用のは大きいな」

「えぇ。固定型で5人以上で運用する物です」

「5人!?」

「それは流石に無理だなぁ」

「小さいのだとクロスボウの強化版みたいだね」

「えぇ。それは威力もそこそこですね」

「彼女が着てる様なプレートアーマーを貫通するようなのはありますか」

「・・・金属を貫通ですか。うーん、それこそ固定型じゃないとまず無理ですねぇ」

「そうかー。うーん」

「別に貫通しなくても良いんじゃない?」

「うん?」

「火矢みたいにして相手を火達磨にすれば」

「なるほど!」

「何を相手になさるお積りなんですか!?」

「僕達は4人も美女がいるでしょ。プレートアーマーを着た冒険者が来たらって、思うとね」

「な、なるほど。今までにもそういった事が?」

「経験談です」

「・・・苦労をされてるんですね」

「えぇ・・・矢や槍だけじゃなく鉄球を撃ち出す事が出来る物はありますかね」

「えーっと、オプションを替えて対応するって事でいえば、すこし改造すれば大体対応可能だと思います。その分納品に時間が掛かると思いますが」

「鉄球!?」

「貫通しないなら重さでね」

「衝撃でブッ飛ばすんですね!」

「それこそ、ワイバーン相手だったら槍で、プレートアーマー相手だったら鉄球でってね」

「相手に合わせて弾を変える訳か。うん、良いんじゃない」

「良いと思うよ」

「大きさはどうします?」

「固定型は大きいが設置に時間が掛かりそうだなぁ」

「マルコの運用だとそれは不味いんじゃないか」

「そうだなぁ。ある程度威力は捨てて移動設置型にするか」

「人数はどうするの?」

「2人、くらいか?」

「それでしたら、この辺りかと」

「馬車にも載せたいな。組み立て式にしよう」

『・・・』

「でしたら・・・これですか」

「・・・うん。これにしようと思う。みんなはどうだ?」

『良いと思うよ』

「じゃぁ、これでお願いします」

「分かりました。今伺った条件で見積もりを取ります。返事が来たら御知らせするので最終的に買うかの決断はその時に」

「分かりました」

「では、私の方はこれで」

「はい。ではよろしくお願いします」

「承りました」




「値段も書いてあったけど・・・」

「30万エナかぁ」

「高いといえば高いですけど」

「高くないといえば高くないのよね」

「金属とかはそんなに使ってないからな」

「主に木だしね」

「じゃぁ、バリスタ代のお金を稼ぐ為に依頼を受けるぞ!」

「「おー!」」

「「買わなきゃ良いじゃない(か)」」




冒険者ギルドで依頼掲示板とにらめっこをしている。


「何か良いのある?」

「うーん。この辺にはマイタケはいないみたいだねぇ」

「そいつは困ったな」

「朝のラッシュで美味しいのはもう残ってないと思うよ」

「そうねぇ」

「盾役の私も居る事だし、討伐依頼を受けたらどうだ?」

「討伐ねぇ」

「ちょっと怖いわよね」

「うん、ちょっとねぇ」

「女ですし」

「・・・いや、バリスタ買おうって奴らが・・・」

「ん?野衾の討伐。野衾って何だ?」

「あぁ。野衾か」

「知ってるのか、セラナ」

「あぁ。恐ろしいが弱い魔物だ」

「恐ろしいが、弱い?」

「個体自体は1mの大きさのリスに似た魔物だ」

「ほほぅ、リス。なるほど、弱そうだ」

「恐ろしいのは襲い方だ」

「ふむふむ?」

「上空を飛んでいて獲物を見付けると急降下、襲撃して来る」

『こわっ』

「何より怖いのは特攻してくるのだ」

『こわっ!?』

「諸共ってこと?」

「あぁ」

「自分達の数も減るじゃん」

「繁殖力が高いらしく、結構な数で襲って来る。空では編隊を組んでな」

「・・・ウソだろ」

「上空からの急降下で音も無く襲撃してくる。馬車に隠れても突き抜けて襲って来る。誰かがやられて気付いた時には次々落ちて来るって訳だ」

「被害が必ず出るって事か」

「あぁ。それでこの依頼も今まで残ってたんだろう」

「そういえば日付は今日じゃないわね」

「村からの依頼だね」

「こういう緊急の場合、国から補助も出るから報酬も高くなる」

「なるほど。討伐1匹に付き1万エナか。買取はどうなんだろうな」

「えーっと、1匹3000エナだね」

「何!?アヤ、何故知ってる?」

「前狼納品した時に他のも調べてメモしたんだ」

「マヌ、アヤ。俺は今感動している。成長したなぁ」

「えへへ」

「行商人を目指してたが、俺達の中で1番近いのはアヤだな」

「「そうね」」

「えへへ、そうかな」

「いつビグレット商会に帰ってもやっていける、いや。まだだ。まだ海亀を見てないからまだ帰っちゃ駄目だぞ」

「うん!まだまだ帰らないよ」

「それで依頼はどうするの」

「習性は知ってるかい?」

「ん~、そこまでは詳しくないな」

「アヤ、魔物図鑑で調べてくれ」

「うん、分かった。どれどれ・・・ちゅうこう性、集団で襲撃、1度狙ったら死ぬまで襲う、だって。ちゅうこう性って?」

「日中活動してるって事よ」

「ふーん」

「姿は確かにリスね」

「飛んでる姿はムササビにも似てるな。ムササビは夜行性だが」

「他の依頼にする?」

「いや、これを受けよう」

「受けるのか!?」

「あぁ」

「大丈夫かな、特攻って自分は死んでもいいって事でしょ?」

「そうよ」

「何匹いるんだろう」

「え~っと、30匹以上を確認、って書いてるわね」

「40万エナか。良いじゃないか」

「いや、被害は出るぞ」

「冒険者だ、当然だろう」

「え、いや、前言ってた事と違うような・・・」

「よし、先ずは準備だな。準備が終わって依頼を受けよう」

「先に受けちゃ駄目なの?」

「発注して望む物が出来るかどうか分からないからな」

「どこに行くの?」

「武器防具屋だ」




という訳でウリク商会系列の武器防具屋に来た。


「ども」

「毎度!」

「発注したいんですけど」

「あいよ!何をだい?」

「あの戸板より1回り大きい盾を」

「でっかいな!?」

「えぇ。表面は金属で後ろに木材で補強を」

「重たくなるぜ。1人じゃ動けねぇぞ」

「えぇ、大丈夫です。動きませんから」

「ふーん。盾は湾曲させるかね」

「値段が変わります?」

「金属は《鍛冶》で大したことはねぇ。木材だが、その形に切るだけだから殆ど変わらねぇな」

「じゃぁ、お願いします」

「あいよ」

「あと支柱用の木材4本も」

「じゃぁ5万エナだね」

「安いですね」

「殆ど材料費だね。アーマーみたく複雑に加工なんかしねぇからな」

「なるほど。じゃぁお願いします。何時出来ます?」

「明日の朝にゃ渡せるよ」

「分かりました、ではよろしく」

「あんたらは100万エナも払ったお得意さんだ!任せなよ!」


その後、明日の馬車の貸し出し予約をしに乗合馬車屋に行く。


「明日の馬車の貸し出しを予約したいんですが」

「どこまで行きなさるね」

「北東の村です」

「1日の距離だね。依頼かい?」

「えぇ」

「じゃぁ、帰って来るんだね」

「えぇ。帰って来ない場合も有るんですか?」

「村に預けるって手も有るのさ。諸事情でね」

「へー」

「何日借りるね」

「分かりませんねぇ、依頼達成次第帰って来るんですけど」

「ふーん。兄さん、冒険者カードを見せてくれ」

「はい・・・どうぞ」

「ふーん。Eランクかぁ。保証金がねぇと貸せないねぇ」

「ふごっ!?」

「ランクは信用だからねぇ」

「そ、そうか・・・保証金はお幾らです?」

「20万エナだね」

『たっか!?』

「馬2頭と荷台を失った場合の額さね」

「な、なるほど。ちなみにランクを上げると保証金も下がるんですか?」

「あぁ、そういうこった」

「なんてこった」

「仕方ないわね、じゃぁ20万エナね」

「はいよ、確かに。じゃぁこれ予約票。しかしEランクで20万払えるたぁねぇ。流れかい?」

「えぇ」

「じゃぁ大丈夫だろ。鐘3つまでに来なかったらキャンセル扱いになるから用心しな」

「分かったわ。その場合保証金は全額帰ってくるの?」

「いや、1日分抜かれちまうから気を付けな」


「しかしEランクで20万エナか、高いねぇ」

「ホントだねぇ」

「じゃぁ、商会って、馬車用立てるだけでも相当お金が必要ね」

「ホントですね。生き物ですから維持費も掛かるでしょうし」

「タリルコルさんも苦労したんだろうなぁ」

「そうだね」

「アヤも、またタリルコルさんに会ったら苦労話の1つや2つ聞いてあげたら?」

「うん、そうする」

「商売だけじゃなく獣人の事も世話してたからね」

「うん。元気にしてるかな」

「してますよ、きっと」

「あぁ。痩せるって言ってたから、今頃走り回ってんじゃないか」

「あはは」




その日は逃走訓練と魔石確保に勤しんで終わった。

宿に帰って食事中、宿員から明日商会に顔を出して欲しいとの言伝。

明日は朝から行く所が4か所もある。


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