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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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⑨-14-203

⑨-14-203




ウリク商会で話を終えて宿に戻った。

夕食を摂っている。


「皆、すまない」

『ん?』

「あんな高い物を・・・」

「まーたメンド臭い事を言いだしたよ、このは」

「うぅ」

「気にしなくて良いって言ってるのにー」

「いや、しかし100万エナだぞ」

「護衛依頼を全うしていただければ良いだけですよ」

「そ、そうなのだが」

「真面目なのは分かるけど、もう買ったんだし割り切ってよね」

「前衛なんだから高い装備は当然だよー」

「あ、あぁ」

「じゃぁ、こうしよう」

「うん?」

「依頼をこなそう。冒険者の。働いてれば気も紛れるんじゃないか」

「そうね」

「そうだね」

「良いと思います」

「う、うむ。そうしてくれ。このままジッと待っているのもなんだし、そうしてくれ」

「じゃぁ、明日冒険者登録して証明部位を納品するか」

「まぁ、予定通りって事ね」

「そうだな」

「でもケセラの装備が出来るの2日後だよ」

「のんびり観光しつつ情報を集めよう」

「そうしましょう」

「そうね。まだ見てない所あるし。ケセラ、案内してよ」

「分かった。ありがとう」




部屋に戻って皆思い思いの事をしている。


菊池君は弓の調整を。

サーヤ君は編み物を。

マヌイは風呂に入っていた。


「ああぁ!やっぱ風呂は広いのが良いねぇ」

「贅沢に慣れちゃ駄目よ」

「そうよ、マヌイ」

「分かってるよー。あれ、カズ兄ぃは何してるの?」

「職人に作ってもらう図面を書いてるのよ」

「あぁ、オランドさんに頼んでたやつ」

「えぇ」

「鍛冶用の窯だっけ」

「そう」

「必要なの?冒険者なのに」

「冒険者を引退した時用って仰ってましたけど」

「《隠蔽》の経験値稼ぎよ」

「だよねー」

「でも凱旋門凄かったわね」

「うん!大きかったね」

「えぇ」

「今度は海亀ね、サーヤ」

「はい!」

「そう言えば約束って言ってたけど?」

「サーヤがパーティに入った時、いつか一緒に見に行こうって約束したのよ」

「そっかー。私も見た事無いから見たいな」

「勿論一緒に行くに決まってんでしょ」

「やったー!」




翌朝。

冒険者ギルドにやってきた。

納品館が併設されている。

流石に公都のギルドだけあり今までで1番大きい。

扉を開けると中もやはり広い。

朝のラッシュは終わったはずだが人も多いな。

受付の上にはドラゴンの頭部が今にも叫ばんばかりだ。


「お早うございます・・・」

「お早うございます・・・どうされました?」

「いえ、北部に黒人は珍しいなって思って」

「あぁ。先祖がね」

「先祖?」

「私の先祖が、奴隷王に憧れて従軍したのよ、はるばる南からやって来てね」

「そんな事が!?」

「えぇ。それで此処で母を見つけてそのまま居付いちゃったって訳」

「へー、ロマンティックですね」

「ふふ、ありがとう。では改めまして。どのような御用でしょうか」

「はい。新規登録をお願いします」

「新規登録ですね。ではこちらに名前と年齢、ジョブとスキルをお書き下さい」

「ジョブとスキル?」

「ケセラ。ジョブとスキルは書かなくても大丈夫だ」

「そうか」

「3サイズは書いとけ」

「こらっ!」


5人で共用スペースのテーブルにつく。


「僕とルーラはもういいとして」

「私はジーナよ」

「いきなり大転換だな」

「えぇ。都だしバッと大きく、ね」

「ふーん」

「私はアヤにした」

「アヤ・・・か」

「どうしたの?」

「いや、故郷の・・・名前に似ててね」

「へー、そうなんだ」

「あぁ。で、ケセラは?」

「うむ。セラナにした」

「「「「うーん」」」」

「ど、どうした」

「セラナ。君は逃亡してるんだぞ」

「そうよ。私くらい思いっきりチェンジしないと」

「そうだよ、安易だね」

「捻りが足りませんよ」

「う、うーん」

「まぁ、もう登録しちまったんだ。それで当分いくとしてだ」

「納品しましょうか」

「そうだね」

「討伐依頼を見ておきません?」

『!?』

「そうだな。忘れてたよ」

「うっかりしてたわ」

「流石ルーラ姉ぇ」

「うふ」


依頼掲示板に向かい討伐依頼から探す。


「有ったよ!」

「おっ、どれどれ」

「1匹1000エナだって!」

「なんと!流石公都、太っ腹だな」

「11匹だから1万1000エナか」

「浮かない顔だな」

「い、いや」

「100万エナには全然届かない、そんなつまらん事思ったりしてないよな」

「うぐ」

「まぁ開き直られるよりは良いんじゃない」

「そうだね。徐々に慣れていこうよ」

「えぇ」

「よ、よろしく頼む」


納品するとランクアップを勧められたので本館へ戻ってランクアップを済ませるとEランクになった。


「よーし。ランクも上がったな」

「うん。でも私達にはあまり関係無いけどね」

「そうなのか?冒険者は冒険者ランクを上げてより高ランクの依頼をこなしていくものだと思っていたが」

「私達は買取額の高い魔物を倒して生計を立てていたのです」

「別にギルドに売らなくても商人に売っても良かったのよ」

「なるほど。であればウリク商会に高く買って貰っても良かったのではないか?」

「葬送の事を考えると気が引けるな」

「それもそうだな」

「これからどうするの?」

「魔術師ギルドへ行こう」

「そうだったわ!」




魔術師ギルドへ着いた。

やはり曲線的なデザインだ。

変わらないデザインに安心する。


「こんにち「パオー!」ひえっ!?」

「1年振りね・・・」

「いらっしゃ~い」


魔法使いのお爺さんが居た。


「典型的な魔法使いの爺だな」

「えぇ。どこか安心するわね」

「こっ、これは!」

「どうしました、お爺さん」

「お嬢ちゃん。胸に水晶玉が2つも入っておるのぉ~」

『・・・』

「先輩以上がいたわね」

「そうだね」

「同列に見ないで欲しい・・・」

「ふぇっふぇっふぇ」


「何かお求めかのぉ~」

「本は何処に?」

「そちらじゃな」

「ども」

「うーん。持ってるのばかりだな」

「そうね」

「貴族名鑑というのが有りますわ」

「「・・・」」

「要らんな」

「要らないわね」

「あー」

「どうした、アヤ」

「魔導具のペンとインクだよ」

「何!」

「お爺さん!これって・・・」

「・・・zzz」

「・・・見事な鼻提灯だな」

「魔導具で作ったのかってくらい見事ね」


ペンで鼻提灯を割る。


パチン


「ほげっ」

「お爺さ~ん。まだ旅立つのは早いですよ~」

「婆さんや~!ワシを置いて逝かないでくれ~」

「キャー!」

「放せジジイ!」


「あつつ。年寄りには優しくせにゃぁいかんぞぃ」

「次やったらお婆さんの下に送ってあげますからね~」

「それで何か用じゃったのか」

「そうそう。このペンとインクって契約書で使うやつですか?」

「うむうむ、その通りじゃ。ペンは魔石をセットして使う。ペンを持った者の魔力をインクに込めて書き上げるのじゃ」

「魔石を使うって、ダンジョン産じゃないって事ですか?」

「うむうむ。ダンジョン産のを解析して造られた廉価版じゃの」

「性能は?」

「一緒じゃ。ただ魔石が要らない分、軽く、持ち易く、ダンジョン産がステータスとなる為貴族等はダンジョン産を使うのじゃ」

「ほほー」

「こういう物にも魔石を使うから小さな魔石でも需要が有るんじゃよ」

「なるほどねー」

「皮紙は何でもいいんですか?」

「あぁ。問題はペンとインクじゃからのぉ。ただ紙だと薄いのは駄目じゃな」

「そういえば皮紙は売ってないわね」

「冒険者ギルドから仕入れる事になるからのぉ。冒険者ギルドでも売っておるから意味無いんじゃよ」

「高くなるもんね」

「そうじゃ」

「お幾らです?」

「10万エナじゃ」

『たっか!』

「裁判でも証拠として採用されるからのぉ」

「なるほど。そう考えれば安い・・・か?」

「買っておきましょう」

「そうだな」

「ポーションは補充したっけ?」

「あぁ、大丈・・・ぶっ」

「ど、どうしたの!?」

「こ、これって!?」

「うむうむ。上級ポーションじゃ」

『上級ポーション!?』

「切断された腕がくっ付くっていう?」

「うむうむ」

「切断された足がくっ付くっていう?」

「うむうむ」

「切断された首がくっ付くっていう?」

「じゃかましぃーわっ!死んどるわ!」

「マジか・・・」

「何で・・・あぁ、公都だもんね」

「ここは南部北端国じゃからのぉ」

「あぁ。戦争に近い国だからか」

「まぁ。公都だからっていうのも勿論あるわな」

「よし!買おう」

「1個10万じゃぞぃ」

「これも飲んで良いのは1日2個までですか」

「あぁ。その通りじゃ」

「じゃぁ1人2個で10個下さい」

「ふぇー!!」

「ぎゃー!」

「何よ!」

「ひゃ、100万エナじゃぞぃ!?」

「あぁ」

「ペンと合わせて110万エナじゃぞな!?」

「あぁ!」

「凄いのぉ」

「切断された手足がくっ付くなら安いもんだよ」

「若いのにのぉ。生き急ぐなよ」

「戦争を起こさないでくれればね」

「ふぇっふぇっふぇ。耳が痛いのぉ」


「じゃぁ110万エナ、確かに。毎度ありじゃわい」

「ここでも伝書鳩は使えるんですか?」

「あぁ、勿論使えるともさ」

「隣の国まで?」

「あぁ。ルンバキア、ベオグランデ、ソルスキア」

「ソルスキアも?」

「ちっくと時間が掛かるがのぉ」

「まぁ、そうですよね。でも凄いな」

「いやぁ、おんしらぁの助けが有ってこそじゃ」

「え?」

「今も110万エナ払ってくれたからのぉ。鳩も経費が掛かりよるから。おんしらぁの金が国を助けるのじゃよ」

「・・・可愛がってあげてください」

「あいよぉ。使いたい時はいつでも来るがえぇ」

「そんな時が来ませんように」

「ふぇっふぇっふぇ。離れた国に居る好いた者に送るんでもええぞ。金は貰うが」

「ロマンチックじゃないなぁー」

「無事を知らせるだけでもええんじゃ。待ってる者にはなぁ」

「・・・流石含蓄が有る」

「生き急ぐなよぉ」


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