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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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⑨-10-199

⑨-10-199




公都まで1、2日という所まで来た。


「そろそろ野営地を探そう・・・む!」

「どうしたの!?」

「人間が魔物に襲われてるみたいだ」

「何!?何故分かる!?」

「それは秘密よ」

「・・・わ、分かった」

「とりあえず様子を見に行こうよ」

「そうですわね」

「マヤ、成長したな」

「うん!」

「よし、行くぞ」

『了解!』




魔力反応が有る所まで急ぐ。


「どう?」

「争ってるみたいだ。このままだと街道だな」

「魔物に襲われたって事で確定か」

「見えてきたよ!」


森から離れた街道に怒号と咆哮が生まれている。

隊商だろう集団が魔犬に襲われている所だった。

いや、魔犬にしては大きいような・・・


「狼だ!」


ケセラが叫ぶ。


「狼って・・・デカすぎるだろう!?」


体高が1.5mはある。

灰色がかった体毛の狼達は30匹ほど。

4台の馬車の最後尾に襲い掛かり転倒させられた所為か、

残りの3台も停まって護衛であろう者達が応戦している。


「マリア、狙撃出来るか」

「100mからだと動き回ってて無理ね」

「よし、マリアはなるべく遠くから狙撃出来る位置まで近づけ」

「了解!」

「マヤとマーラは当てる自信が有る所まで接近だ」

「「了解!」」

「俺とケセラは2人の護衛だ」

「了解!」

「行くぞ!」


俺達は駆け出した。

途中、ミキは止まって矢を番えだす。

4人はそのまま隊商に近づく。

馬車まで30m程の所で、


「狙ってみます」

「分かった。マヤはどうする?もっと近づくか?」

「うんん、ここから狙ってみる」

「よし、じゃぁ・・・」


ヒュウゥン


後ろから矢が飛び過ぎていく。


シュトッ


「ギャン!」


1匹の狼にミキの矢が命中した。

マヌイは弓でサーヤは単射式に矢を番えている。


ヒュウゥン

ヒュウゥン


「ギャン」


サーヤ君の矢は当たったがマヌイのは外れたようだ。


「うーん」

「マヤ、今は弓の実戦練習だと思って気楽にいけ」

「うん」

「人に近づけないように人の近くにいる奴から狙おう」

「分かった!」


その間にも後ろから矢が飛んでいく。


「キャン!」


狼達も俺達を脅威に感じたようだ。

何匹かはこちらに向かって来た。


「ケセラ!」

「おう!」


左手に盾、右手に剣を持ってケセラは駆け出す。

1匹がケセラをターゲットして飛び掛かる。

ケセラは盾裏に肩を当て支えるようにして飛び掛かって来た狼に体当たりをかます。


バアァン


鼻っ面を盾で強打された狼が悲鳴を上げながら地面に落ちる。


「マヤ、あいつを狙え!」

「うん!」


ヒュウゥン


「ギャッ」


地面に横たわった狼は動けないのでいい的だ。


「やった!」

「よーし、よくやった!」

「うん!」

「2人はケセラのカヴァーだ!」

「「了解!」」

「ケセラは無理に倒そうとしなくて良いぞ!引き付けろ!」

「了解!」


馬車近くの狼には体に矢を生やしたまま動いている個体もいる。


「何という生命力・・・」


ケセラの周りの狼は数が減ったとはいえ、まだ戦う意思が有るようで逃げる素振りはない。


「マヤ、風魔法でケセラの近くの狼を狙おう」

「分かった!避けとせ避けなせ~~~・・・」


マヌイは詠唱しつつも矢を番える。


「《風刃エアロエッジ》」


ケセラの死角の狼に突然墳血が迸る。


「ギャン!」


何が起きたか分からずパニックに陥った狼の動きが止まる。

そこにマヌイの矢が頭部に刺さった。

狼は倒れた。


「いいぞ。これで行こう!」

「うん!」


ミキも遠い馬車の狼ではなくケセラの援護に回った為、

ケセラ近くの狼は程なく全滅した。

3人の射手が馬車の狼を狙う。

ケセラを狙って来た狼も含めて俺達の側の狼は相当数を減らしたので、角度を変える為に距離を保ちつつ回り込む。

ミキにもハンドサインで移動を指示する。

ミキも了解のサインを返す。

馬車を回り込んだ向こう側はまだ多くの狼がいた。

射撃を再開する。

隊商の護衛達も一方の側の脅威が薄くなって負担が減ったようで幾分持ち直したようだ。

護衛達の叱咤する声が聞こえる。

狼達も護衛に向き合ってる側面を俺達に射撃され次々と数を減らすさまにようやく退き始めた。


「どうやら終わったな」

「そのようですわ」


2人の肩を軽くたたく。


「ふうぅ~」


マヌイが大きく息を吐いた。

後方の菊池君を手招く。


「ケセラ!大丈夫か!」

「あぁ!問題無い!」


5人合流し無事を確認する。

馬車に向かうが途中4人を残して俺1人で話しかける。


「責任者と話したい!」


隊商は狼を追い払えた安堵からしばらく動けないでいたが俺の言葉で我に返ったようだ。


「あ、あんた!助かったよ!ちょっと待ってくれ!エウベルトさーん!」


護衛の男は俺を見ると少し笑みを浮かべながらも責任者であろう人物の名を呼ぶ。

やがて馬車の中から1人の男が降りて来た。


「ど、どーも。初めまして、私はエウベルト。ウリク商会番頭のエウベルトと申します」

「初めまして、冒険者の・・・マルコと申します」

「この度は御助力頂き誠にありがとうございます」

「いえ、ご無事で何より。怪我人や馬車の修理も有るでしょう、挨拶はこの程度で。何か手伝いましょうか?」

「あ、そうですね。いえ、こちらで対処出来るので大丈夫です」

「そうですか」

「何かお礼をしたいのですが・・・」

「・・・(馬車の向きからしてムルキアに行くのだろう)であれば僕達が殺した狼をムルキアまで運んでいただけませんか」

「あ・・・えぇ、その位でしたらよろこんで」

「ではよろしくお願いします。ウリク商会のエウベルトさんでしたね」

「えぇ」

「僕達は一足お先にムルキアに向かいます。これにて失礼」

「え?」

「君達!行くぞ!」

『はーい!』


僕達は馬車から離れようとするが、


「ちょ、ちょっと待って下さい!」

「何か?」

「お礼は!?」

「狼の運賃で」

「それだけですか!?」

「僕達からの要求はそれだけですが、そちらから申し出される分には喜んでお受けしますよ」

「あ、も、勿論!公都で店を構えている商会としてその程度の礼で終わらせては廃ります。受け取って頂きたい」

「分かりました」

「ただ、今はお礼を思いつかないので・・・どうでしょう。ムルキアまで御一緒頂くというのは」

「うーん」

「勿論、別途護衛料もお支払い致します」

「君達?」

「良いんじゃない」

「私も」

「はい」

「異論は無い」

「では護衛依頼を受けましょう」

「はい。ではムルキアまで宜しくお願いします」


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― 新着の感想 ―
[一言] 体高1.5メートルの狼だと尻尾なしで全長2.5〜3.0メートルありそう。   グレートデーンの最大級のやつが体高1メートルで体重100kgくらいなので、最大限少なく見積っても一匹150kgな…
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