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HappyHunting♡  作者: 六郎
第9章 轍 (公都ムルキア:マルコ、ジーナ、ルーラ、アヤ)
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⑨-07-196

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「それでここからどうするのだ?」

「最初の街はスルーする」

「何故だ?」

「捜索隊が変装して街を調べるかもしれない。足跡を残さない為だ」

「なるほど、分かった。では次の街へ案内する」

「そうしてくれ」

「公都までどれ位で着くの?」

「10日、街に泊まりながら・・・だが」

「早いな」

「ソルスキアとは違う。それに元々1国だったのが分裂したのだ」

「奴隷王だな」

「そうだ。ソルスキアと違うのは領州制ではなく街単位で統治している所だ」

「統治官(領主代理)が居ないって事か?」

「そうだ。統治官ではなく領主または街主と呼ばれている」

「街主は爵位持ち?」

「そうだ。なので必ず領主が街に居るという事になる」

「ベルバキアはどんな国だ」

「ベルバキアに限らず、北部は気の荒い者が多い。兵も精強だ」

「それは十分分かったわね」

「・・・そうだな」


(兵は精強・・・か。ステータスも高いんだろう)

(ステータス。そういえば昨夜の夢は何だったんだろう。前にも1度見た様な気がする。マヌイを助けた時だったか、あの時は確か・・・Lv8になったんだったな・・・ステータスを見て見るか)


加藤一彦

-------------------------------------

頑健Lv4、病気耐性Lv3、殺菌Lv5、カウンターLv7、罠Lv5

隠蔽Lv8←UP

魔力感知Lv9←UP

魔力検知Lv9←UP

魔力操作Lv8←UP

雷魔法Lv5←UP

-------------------------------------


(・・・うーむ)

(今朝起きたら《魔力感知》の範囲が広いなぁと思ってたが気のせいでは無かったようだ。500m以上有る。気のせいな訳ない)

(《隠蔽》は良い。問題は雷だ。問題は雷のLvじゃなく・・・詠唱が短くなってる気がする。3分の2くらいに)

(《魔力検知》がLv8の時には短くなっていないから《魔力操作》だろう)

(・・・どうしよう、怒られる)

(・・・バレたら殴られるだろう。菊池君の《頑健》さんのLvが上がったせいだろう、突っ込みの力が半端ない)

(俺も同じLvのはずなのに・・・耐えるよりも与える力の方が大きいのだろうか)

(そういえば。スキルは防御的な物は少ない気がする。断然攻撃的スキルの方が多い。《捕手》って有ったが、あれは固有スキルだしな)

(攻撃的スキルは俺も2つ持ってるし・・・2つしかないけど。しかも《カウンター》は基本、受けだからな、実質魔法のみかよ)

(そういや騎士との戦いも、俺立ってただけだったな)

(あれ、俺要らない?)

(悪魔戦でも網投げただけだしな)

(捨てられない?大丈夫?)

(捨てられたらどうする?1人で冒険者は無理だろ)

(職を探さないと。何にする?)

(スキルを活かすなら《罠》で狩人か)

(《隠蔽》を活かして盗賊・・・やめろ。散々殺しといて今更)

(《魔力感知》。これか。ある意味前世のGPSだしな)

(Kazuhiko Magical Positioning System)

(略してKMPS)

(いけそうだな。配送業なんてどうだろう)

(奥さん、荷物をお届けに上がりました)

(あら、今は駄目よ夫が)

(旦那さんは今いないだろ、魔力で分かるんだよ)

(あ、駄目よ)

(奥さん)

(駄目だってば、あ~れ~)

「オラァ!」

「奥ぅ!?」

「さっきから呼んでんのにどうしたの!?」

「ど、どうした!?」

「どうしたって、こっちのセリフよ!ボ~っとして!」

「何を言ってる。僕はいつもボーっとしている!」

「胸張って言う事じゃないでしょ!」


「それで何の話だい?」

「ケセラの武器の話よ」

「うむ。私の装備は剣と盾なのだが、両方とも使えないとなると、な」

「僕のマチェーテを貸そう」

「山刀か」

「マーラ君、頼む」

「はい」

「ほう。ガード付き、親指にも。山刀にしては少し重いな」

「扱えそうかな?」

「あぁ、問題無い」

「盾を使うと言ったが」

「あぁ」

「大楯かい?」

「いや、使えない事も無いが、中型の盾だ」

「ふん?」

「騎士と言ってもフルプレートアーマーの重装騎士ではなく、中装、エルフの特性を活かした軽装騎士だな」

「盾役も出来る?」

「無論だ」

「頼れるー!」

「そういえば君達は弓が主体なのだったな」

「3人弓手だね」

「そのクロスボウは、その・・・」

「連射式クロスボウだよ」

「連射式・・・ソルスキアの新型か」

「んーん。マコ兄ぃが作ったの!」

「マコルが作ったのか」

「あぁ」

「マーラが持ってるのも変わってるな」

「これもマコルさんが作ったんですよ」

「それもか。最初見た時と違う様に思えるが」

「最初見たのも連射式だね」

「やはりそうか。するとこれは単射?」

「そうだ」

「では今までマコルが盾役を?」

「いや」

「?」

「僕は挑発役だ」

「挑発?」

「挑発で相手を足止めして彼女らが仕留める」

「え?」

「騎士達との戦いでもそうだっただろ」

「そ、そういえば。君は1人も倒していないな」

「そうだ」

「良いのか?」

「何が?」

「その、男として」

「あー、それ偏見ですぅ」

「え」

「男だから前で戦えって?君もエルフで女だからって舐められたくないって言ってたじゃないか」

「うぅ!」

「それに僕はリーダーだぞ。リーダーが前に出てどうする」

「いや、それは、そうだが・・・」

「そうだろう?」

「うーむ。釈然としないものを感じるが」

「そんなに深く考えると肩こるぞ。ただでさえ大きいもの持ってんのに」

「オラァ!」

「ぐむぅ!」

「まぁ、待望の前衛ね。ケセラが居れば純粋な盾役がいて安心だわ」

「そうだね!」

「はい」

「う、うむ。期待に沿える様頑張る」

「やっぱり与える力の方が強い気がするな・・・」




ベルバキア公国の最初の街は通り過ぎ、その日は野営する。


「こっ、これは!?」

「お風呂よ」

「風呂・・・だと?」

「そうだよー。これもマコ兄ぃが作ったの。狭いのは我慢してねー」

(菊池君)

(えぇ?)

(ケセラの装備を置いておく。《クリーンアップ》してやってくれ)

(分かったわ)

(あと)

(なに?)

(明日の朝で良いから髪形を変えてやってくれ)

(分かったわ)


女性陣が風呂に入っている間、テントで楽器の練習だ。


「楽器も持ってるのか!?」

「えぇ。吟遊詩人も目指してるの」

「行商するんだろ!?」

「冒険者にして商人。しかしてその正体は?」

「吟遊詩人でしょー?」

「そ、そうよね」

「・・・まずったわ」

「ははは」


「まさか野宿で風呂に入れるとは」

「ケセラは傷だらけね」

「・・・あぁ。努力の証だと・・・思ってる」

「綺麗な肌。流石エルフってところかしら」

「そうか、な」

「久しぶりの星空だねー」

「そうね」

「寂しい音色だな」

「私と先輩の故郷の曲よ」


「ソルスキアまで行ったらどうするんだ?」

「旅を続けるわ」

「どこまで?」

「幸せになれる地を目指して」

「幸せ?君の幸せとは?」

「老後の安定した安全な生活・・・かな」

「老後?今からか?」

「今からよ」

「明日どうなる身か分からない私には途方もない話だな」

「真理ね」

「お金は大事だよ」

「マヤ、分かってはいるが、な」

「先ず戦争がない国へ行きたいわ」

「南部連合北端のこの国では、北部との境で頻繁に衝突が有るからな」

「北部は論外だから、やっぱり南ね」

「うーん。ソルスキアは北部よりましだと聞いているが」

「ここらよりは・・・でしょうね」


「お金は寄付していらしたと伺いましたが」

「あぁ。孤児院にな。私もそこで育った」

「国の施設なの?」

「いや、教会だ」

「教会?」

「私の場合は八神教だったが」

「八神教・・・」

「騎士の私は特に雷と火を信奉している」

「信奉って・・・何か加護とか有るの?神様から」

「はっはっは。まさか、それこそ八聖じゃないと無理だよ」

「八聖?」

「それぞれの魔法や武技を駆使して人々を助けた方達だ」

「へー」

「魔法使いじゃない人達が信奉するっていうのがね、何でだろって」

「憧れもあるだろうが、8属性で世界は成り立ってるからね」

「八神教の教えでは、でしょ?」

「あぁ、そうだ。確かに他の宗教では別の教えもある」

「雷と火を信奉って?」

「マヤ。騎士は攻撃的な属性を好むんだよ」

「ふーん」

「特にルンバキア公国には有名な魔導師がいる」

「ほほー」

「ブリッツ、またの名をパープルウィッチこと、フリーエ様だ」

「「「ぶっ」」」

「普段は宮廷魔導部隊で後進を育てられてるが、いざ北部と戦となったらそれはもう・・・味方も恐れるくらいだ」

「「「こ、こわ~」」」


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