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HappyHunting♡  作者: 六郎
第8章 シンパシー・フォー・ザ・デビル (ムトゥルグ:マコル、マリア、マーラ、マヤ)
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僕達は広場の像を見上げていた。


「これが奴隷王かぁ」

「イスカンダル1世だっけ?」

「カッコいいね」

「凛々しいですわ」

「美化されてるんじゃないの?」

「大体そうだもんね」

「どの街にもこの像が有るらしいね」

「北を指さしてるらしいわね」

「気を付けろって事かな」

「そうかしらね」

「カズ兄ぃもそうだったの?」

「うん?」

「奴隷王みたいに、さ」

「いや。俺はそんな高尚な事じゃないよ」

「じゃぁ?」

「単にムカついただけさ」

「単に?」

「あぁ。あれこれ悩んでると戦闘で命取りだろ」

「うん」

「だから単純に考えるようにしてる」

「単純に」

「盗賊や盗賊冒険者達もそうだ」

「盗賊?」

「あいつらが更生する可能性よりも新たな被害者が出ないようにする、それだけだ」

「新たな被害者」

「まぁ、これでホントにゆっくり出来るな」

「そうね。依頼報酬も貰ったし」

「ギルドランク上がっちゃいましたね」

「Cか。仕方ないだろうな」

「まぁねぇ。悪魔と魔女だしね」

「どうするの?」

「ほっとくと時間経過で下がっちゃうんだよ。だからほっとく」

「ふーん」

「明日、呪いの解除に立ち会えることになりましたね」

「そうだ!今までの魔法とは違う種類の魔法を目にすることが出来る」

「マヌイにも良い刺激になるんじゃない?」

「そうだね!」


「しかしフリーエさんねぇ」

「どうしたの?」

「宮廷魔導部って言ってたな」

「そうだね。相談役って言ってたね」

「2属性持ちだ」

「「「!?」」」

「マジで!?」

「あぁ。流石宮廷魔法使いってところか」

「属性は何です?」

「僕と同じだ」

「「「!?」」」

「雷!?」

「あぁ」

「そういや、ブリッツって」

「あぁ。”電撃”だ」

「回復魔法で至近魔法持ち?怪我を治しながら突っ込んでいくのかしら。恐ろしいわね」

「まさに魔女だな」


「これからどうします?」

「魔石を確保しに行くか」

「そうね。また厄介な事に巻き込まれて補充出来ないとも限らないし」

「そうだね」

「そうしましょう」




その日は魔石確保に勤しみ、翌日。

呪いの解除に立ち会う為に納品館に居た。


「すいません、お待たせしましたか」

「んにゃ、時間通りだよぉ」

「マコル君達も来たことですし早速参りますか」

「あいよぉ」


いつもの査定部屋よりも広い部屋に連れて行かれた。

台に悪魔が載せられている。


「久しぶりに見るがやっぱりキモイな」

「そうねキモイわ」

「穴だらけだしね」

「目も有りませんし」

「ワシは昨日見せてもろうたからのぉ」

「元は人間だったのよね」

「《ファイアーボール》をつこうたぁ聞いとるが」

「えぇ」

「よぉ、生き残ったのぉ」

「命辛々でしたよ」

「坊やは小剣、おなご等ぁは弓かや?」

「仰る通りで」

「魔法ぉものぅてよぅも倒せたもんじゃ」

「ホンマですわい」

「ヒェッヒェッヒェ」

「ひぃぃ」

「どれ。じゃぁ始めようかのぉ」

『よろしくお願いします』


フリーエ婆さんは脚立を使って立ち、悪魔の右胸、魔石の位置に手を翳し詠唱を始めた。


(右胸。魔石の位置ですね)

(元々体内に魔力を循環させていたから魔法も循環させ易いのかもな)


「《カウンタラクト》!」


回復魔法の魔力が悪魔の体にいきわたる。

悪魔の固有魔力が消え去り素材の固有魔力が残った。

いや、消えたというより変わった?


「ふぅ~」

「お疲れ様で御座いました」

「あぁ、ありがとさん」

「これが解呪・・・」

「見るんは初めてかの」

「はい」

「まぁ、そうか。どうじゃった?」

「予想と違ってて・・・」

「どう違った?」

「解呪と聞いていたので浄化と言うか、消し去るものと思っていましたが・・・」

「ふむ。続けぇ」

「消すと言うより変えるように思えました」

「ふむ。思えました、か」

「はい?」

「坊やは魔法を使うんかの?」

「いえ」

「ふーむ」

「何か?」

「魔法が使えんのに何故そう、思うたんかのぉ」

(するどいな)

「冒険者としての勘ですかね」

「勘のぅ」

「それで悪魔戦にも生き延びてきました」

「ほっほっほ。まぁよかろぅ」

「マコル君達は鰓が欲しかったんだったね」

「はい」

「ほうほう。鰓か。また珍しいもんを」

「そうですかね。僕にとって「何故だー!」」

『!?』

「何故ワシに卸さんのだー!」

「まさか・・・」


ガラッ


「クエイド!ここか!」

「ちょ、困ります!」

『またか・・・』

「あっ、こいつ」

「先日の武器屋のドワーフね」

「だな」

「クエイド!何故ワシに悪魔素材を卸さんのだっ!」

「だっ、だから何度も言っただろ!君は売る人を選び過ぎる!それでは折角の素材が世間に広まらないだろ!」

「武器の良し悪しも分からん奴に売って何になる!」

「使われずに埃を被ってるよりはマシだ」

「何だとっ!」

「武器の良し悪しが分からん奴が買ったとしても、そいつからまた誰かに渡る。そうやって世間に渡っていく内に良し悪しが分かる奴の手に渡るんだ」

「むぅ!」

「君の店で埃を被ってるよりはその方が可能性が高いだろう」

「ぐむむ」

(2mの大男が唸ってる姿は結構な圧迫感があるな)

(ホントですね)

(面倒臭そうだからフェードアウトするぞ)

(そうですね。受付嬢さんに言って、後で素材を渡してもらいましょう)


僕等は目立たない様にコソコソと部屋から出ようとする。


「店に置いといても分かる奴が見りゃぁ分かるんだよ!」

「君の店はもう評判になってて客足も遠のいてるじゃないか!」

「ぐむぅ」

「分かる人の手に入るようになってるんだよ、世の中は!悪魔を倒した彼らのようにね!」

『ん?』

「あ、あれ、何処行った?」

「坊や、お待ちな」

「あっ、マコル君!ちょっと待ち給え!」

「「「「ど、どーもー」」」」

「あっ、おまえ!?」

「知ってるのか?」

「ワシの店に来て『武器なんて何でも良い』だなんてホザいた奴だ!」

「彼らが悪魔を倒したんだよ」

「なっ、何だって!?このガキが!?」

「「「「ど、ど、どーもー」」」」


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