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HappyHunting♡  作者: 六郎
第8章 シンパシー・フォー・ザ・デビル (ムトゥルグ:マコル、マリア、マーラ、マヤ)
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「この後はどのような流れに?」

「うむ。街軍による村への調査が行われるはずだ。フリーエ様も丁度居る事だし・・・」

「あぁ。同行の要請が来るじゃろうな」

「では悪魔の呪いの解除は後日って事ですか」

「んにゃぁ。準備が有るじゃろうし、今日、明日に出発ってぇ訳にはいくまいよ」

「では?」

「あぁ、魔女に会う前に悪魔に会って行こうかのぉ」

「フリーエ様。では明日にでも?」

「そうじゃなぁ。冬とはいえ、余り置いておくのもなぁ」

「分かりました。では準備を「ドカドカドカ」」


バァン


ドアが乱暴に開かれた。


「ちょ、困ります!」

「クエイド!」


男が乱入して来た。

アルビジェのギルドマスターだ。

男を止めようとしていたのか、受付嬢が後ろで困った顔をしている。


「お前か・・・」

「クエイド!悪魔を渡せ!」

「いきなり来て何を言ってるんだお前は」

「あの悪魔は私のだ。返してもらおう!」

「誰じゃな、こいつは」

「これは「五月蠅い!ババァ!黙ってろ!」」

『ぶっ!』

「お前この方は「悪魔を渡せ!」」

「私のだ!返すのだ!」

「悪魔はこの街に持ち込まれたのだぞ」

「お前が照会させた冒険者は私の街の冒険者共だ」

「うん?」

「私が派遣したのだ!」

「それが?」

「私の冒険者が悪魔を倒した所を掻っ攫われたのだ!」

「と、言うとるが?」

「結果だけだと客観的に言えばそう見る事も出来ますね」

「ふむ」

「そうだろう、って誰だお前達は!?」

「「「「どーもー」」」」


ソファーから振り返って手を振る。


「なっ!?お、お前達は!?」

「知り合いかえ?」

「最初アルビジェで売ろうと思ったんですが、こいつがムカつくんでここで売ったんですよ」

「ほうほう」

「なっ!?じゃ、じゃぁお前達が悪魔を!?」

「「「「どーもー」」」」


手を振るんじゃなく、手をニギニギする。

どうだ、イラっとくるだろう?


「き、貴様等!」

「クエイド、整合性は?」

「問題ありません。話は具体的でしたし。第一、ギルドカードを持って帰る必要なんて有りませんし」

「ぼっ、冒険者の遺産を届け出れば拾い主に何割か入るだろう!」

「そんな裕福な冒険者達だったのかね?」

「ぐっ」

「討伐報酬だけでも200万エナが入る。買取額で更に増えるのに、わざわざ疑われるような事はしないだろう」

「なるほどなぁ」

「そっ、そう思わせる為にやったんだ!こいつ等は!」

「ちなみに」

「ん?」

「その冒険者はギルドランクは幾つだったんですかね?」

「幾つだったんだ?」

「ディ、Dだ」

『D!?』

「Dに悪魔討伐が?」

「まぁ、僕等もGですし」

「Gじゃと!?」

「流れなんですよ、この子達。街に着いた日に悪魔を売却しまして」

「なるほどのぉ、流れか」

「その冒険者も流れだったんですか?」

「・・・」

「どうした?」

「アルビジェ出身だ」

『!』

「生まれも育ちもアルビジェ出身でDランクかぁ。さぞかし強かったんでしょうね」

「ぐぅ」

「先程お前さんは派遣させたと言ってたが」

「なっ、なんだババア!」

「お前さんが派遣させたから悪魔はお前さんの物、と?」

「あぁ!私が受けさせて派遣したのだっ!」

「受けさせて、のぉ」

「なっ、なんだババア!」

「因みに、この子達は魔女も狩っておるぞい」

「なっ、まっ、魔女!?」

「ほれ。そこにあるじゃろ。魔女の手首じゃ」

「こっ、こっ、これは!?」

「Gランクとはいえ、魔女を倒した流れと。生粋のアルビジェ育ちのDランク。どちらが悪魔を倒せるかと言われれば、のぉ」

「なっ、なんだババア!」

「お前、この方をどなたと心得る!」

「「どっかで聞いたセリフ!」」

「なっ、なにをぅ」

「ルンバキア公国宮廷魔導部相談役のフリーエ様なるぞ!」

「げぇ!?ブリッツ!?あのパープルウィッチ!?」

「頭が高い!控えおろう!」

「はっ!ははぁ!」

「控えおろうって五段活用的にどうなんだろう?」

「さ、さぁ」

「アルビジェギルドマスターよ。で、良いんじゃな?」

「はい。その通りです。フリーエ様」

「うむ。アルビジェギルドマスターよ。状況からこの者達が悪魔を倒したのは適当に思える。もし反論が有るならばその依拠となる物を提出せねばなるまい」

「し、しかし」

「なんじゃな?」

「あ、ぐぅ」

「異議申し立てをするのであればその物を持って反証せよ。よいな」

「は、ははぁ」

「うむ。ではこれにて一件落着。ヒェッヒェッヒェ」

『ははぁ!』




アルビジェギルドマスターは肩を落として出て行った。


「助かりました、フリーエ様」

「いやいや。しかしお主等があやつに売らん言うたんも分かるのぉ」

「「「「でしょー」」」」

「ギルドウォーが何で起きたか分かったような気がしますよ」

「しかし受けさせた、言うとったが」

「えぇ。Dランクに無理やり受けさせたのでは・・・」

「その辺、都に帰ったら報告しとこうさね」

「はい」

「嘘から出たまことになったわね」

「ん?」

「あ、いえいえ。でもおば、フリーエ様はお偉い方だったんですね」

「ヒェッヒェッヒェ。長く生きるとな、肩書も長くなるのよ」

「しかし、悪魔の話をしている最中に部外者が入って来るのは、セキュリティは大丈夫なんですかねぇ、クエイドさん」

「それは言えておるな、クエイドよ」

「もっ、申し訳ありません!」

「まぁ、あれもマスターじゃったみたいじゃし、クエイドを苛めるのはこれくらいでいいじゃろ」

「も、もう少し・・・」

「ヒェッヒェッヒェ。まぁ今後セキュリティを強化するって事で、な」

「はい!」

「そうですか?じゃぁ」




「それでは、フリーエ様」

「うむ。先ずは公都にヨセフなる旅人の捜索を知らせんとな」

「他の街や村にも悪魔の血が渡っている可能性もありますな」

「ふーむ。厄介な事になりよったのぉ」

「君達も、この事は内密に願いたい」

「当然です。厄介な事になんて巻き込まれたくありませんから」

「ヒェッヒェッヒェ。悪魔と魔女、もう十分じゃわいなぁ」

「仰る通りです。フリーエ様」

「であればお主等に情報料なり渡すんが良いじゃろうのぉ。何せ悪魔の眷属じゃからなぁ」

「いえ、それは必要有りません」

「ん?何故じゃ?」

「契約とは言え、村を見捨てたのは事実ですから」

「うーむ」

「マコル君」

「マコ兄ぃ」

「ん?お嬢さん?」

「は、あ、いえ」

「どうしたのかえ?」

「その、ちょっと悩んでて・・・子供を・・・」

「ふーむ」

「マヤ・・・」

「昔々の事じゃ」

「フリーエ様?」

「ある冒険者が居った。それは強くてのぉ。それに加えて優しい。金もそれほど取らずに依頼をこなしておったそうじゃ」

「ある村でも討伐依頼を安く請け負って達成し村人達に感謝されとった」

「その後、村はどうなったと思うね、お嬢さん」

「え・・・どうなりました?」

「滅んだよ」

『え!?』

「その冒険者が去った後でまた強い魔物が出てな。村のもんは安く依頼を出したんじゃそうな。しかし誰も請けよらん。安いからなぁ。その冒険者に伝えるも安く依頼を受けるもんで依頼がひっきりなしじゃぁ。とてもその村に構っておられんかったそうじゃ」

「それで」

「あぁ。誰にも依頼を受けられんで魔物に滅ぼされたらしいのぉ。散り散りになった村のもんはその冒険者を罵ったそうじゃ。助けてくれなんだと」

「そんな」

「以来、その冒険者は適正な値段で請け負うようになったんじゃと。自分1人で全ての依頼をこなすのは無理じゃからなぁ」

「・・・」

「そして冒険者ギルドを改革して依頼が達成され易いように変えていったのじゃ」

「それって、フリーエ様」

「うむ。我が国の祖、建国王。またの名を奴隷王、その人じゃ」

『!?』

「奴隷王!?」

「うむ」

「奴隷王がこの国の!?」

「何じゃ、知らなかったのかぇ?」

「はい」

「知らずにこの国に来るとはのぉ」

「マコル君、広場の像は知ってるかい?」

「はい」

「あれが奴隷王こと、イスカンダル1世だ」

『えぇ!?』


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