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HappyHunting♡  作者: 六郎
第8章 シンパシー・フォー・ザ・デビル (ムトゥルグ:マコル、マリア、マーラ、マヤ)
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⑧-18-184

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明くる日早朝。


「ほらっ!起きてください!」

「「「もう少し~」」」

「もう!」

「「「寒い~」」」


寝袋から出られない転生人と獣人が居た。

しかし《頑健》Lv7の前には無力。

寝袋から引っ張り出され朝飯を摂り野営の片付けを始める。

今日は魔物を殺す。

今やマジックアイテムはサーペント装備、トロール装備、寝袋と、1人3つ、バックパックも合わせると最大4つも持っており、維持費の魔石もそれなりに必要になっていた。

魔幼虫は寒いのか目にしない。

魔犬や猪が2回り大きくなった魔物などがメインとなった。

1日の狩りを終え、街へ戻る。

いつもの宿に行くとギルドからの言伝があった。

明日来て欲しいと言う事だ。




翌朝、ギルドに向かう。


「うおっ!?」

「「「!?」」」

「どうしたの!?」

「凄い魔力だ!」

「えっ!?」

「今まで感じた中でダントツ、悪魔より遥かに強い」

「まさか・・・ギルドに?」

「あぁ」

「冒険者かな」

「大丈夫でしょうか」

「まぁ。ギルドで何も起こってなかったら大丈夫だろう」

「先ずは行ってみましょうか」


本館に入る。


「ホント!凄い魔力ね!」

「だろ」


中はいつも通り、特に変わった様子は無い。


「あっ!丁度良かった!マコルさん、少しお待ちくださいね」


受付嬢は2階へ上がって行った。


「何だろう」

「ギルドマスターの様子を見に行ったんじゃないかしら」

「そうか」

「例の魔力は?」

「2階よ」

「「・・・」」


しばらくして戻って来た受付嬢に案内され2階の応接室に入る。

そこにはギルドマスターのクエイドともう1人、


「げぇっ!?まっ魔女!?」

「誰が魔女じゃ誰がっ!」


ヤーガばあさん程の大きさの老婆が座っていた。

床には足が届いていない。

両手に手袋をして杖をついている。


「魔女は不味かったなマコル君」

「クッ、クエイドさん」

「こちらはルンバキア公国魔導師、フリーエ様だ」

「公国魔導師!?」

「そうだ。先日話していた回復魔導士がこの方だ」

「あぁ・・・」

「クエイド。こいつらかい?」

「はい」

「ふーむ。お主らが悪魔をのう?」

「ちょ、クエイドさん!」

「契約で名前は残るんだ。国にも報告される」

「だからと言って誰かれ構わずって訳にはいかないでしょう」

「どういう事じゃ?」

「討伐した事を人に知られたくないとの事で」

「なるほどのぅ。大丈夫じゃ、安心おし。関係者以外には喋らん」

「そう言われて裏切られてきましたから心配してるんですよ」

「うん?」

「も、申し訳ありません」

「まぁまぁ、マコル君。フリーエ様があぁ仰ってるんだから大丈夫だよ」

「はぁ」

「さぁさぁ、お座り」

「・・・はぁ」


受付嬢も一緒に部屋に入った。

魔女・・・フリーエは僕等を順々に見回す。

サーヤ君に対しては時間をかけていたような気がするが。


「国に報告したらフリーエ様が直々に来られる事になってね」

「直々に?」

「フリーエ様は公国で要職に就いておられる偉大な魔導師なのだよ」

「ヒェッヒェッヒェ。偉大かは分からんがね」

「フリーエ様に悪魔の件を報告したら君達に会いたいと仰ってね」

「僕等には断りは無く、ですか」

「う、うむ」

「ヒェッヒェッヒェ。元気な若者じゃ」

「下々の都合などどうでもよい、と」

「マ、マコル君。報告を聞こうじゃないか」

「え~っと。冒険者ギルドの情報漏洩の調査でしたっけ」

「マ、マコル君」

「村の行方不明者と殺人の調査依頼の件でしたかね」

「そうだ」

「待たされて忘れてましたよ」

「そ、そうか。すまない」

「マ、マコルさん!」

「ヒェッヒェッヒェ」

「現場を調査した結果、行方不明者は殺人犯により殺害されたと推定されます」

「そうか、それで犯行は魔物だったのかな」

「いえ、魔女でした」

『!?』

「なっ!?」

「まっ!?」

「魔女じゃとっ!?」

「えぇ」

「ほっ、ホントかね!?」

「ホントですか!?マコルさん!」

「はい。マーラ君」

「はい」


収納袋を入れてある大きなバッグから厳重に包まれた物が出て来る。


「これは!?」

「魔女の一部です」

『!?』

「開けても?」

「その為に持ってきました」

「う、うむ」

「悪魔の素材は人体に有害と聞いたので厳重に」

「う、うむ。そうか」


恐る恐るといった感じでクエイドが布を剥がしていくと2つの手首が現れた。


「おぅ」

「ひぃ」

「ふーむ」

「フリーエ様?」

「・・・うむ。悪魔の眷属の物じゃ。間違い無い」

「な、なんと・・・話して貰えるかな」

「調査の結果、村人の1人が怪しいと感じ追求したところ魔女に変身、成り行きで討伐をしようとしたところ、生け捕りにしてくれと言われ捕獲依頼となりました」

「生け捕ったのかね!?」

「えぇ」

「なんと!」

「ほぉ~」

「調査が終わった段階で帰ろうと思ったんですがね、そうもいかなくて・・・」

「う、うむ」

「そ、それじゃぁ魔女はあの村にいるのね!」

「いえ、多分・・・もう」

「ん?どういう事かな?」


俺はその後の事を話した。


「なんと!では魔女は・・・」

「大丈夫でしょう。恐らく魔女に変身出来ないでしょうから、村人に殺されてると思いますよ」

「いや、しかし・・・君達が討伐してくれても良かったんじゃないかな」

「生け捕りが5万エナ、討伐は金は出せないと言われましたよ」

「いや、そうだが・・・」

「生け捕りが5万ですよ?最初、桁を聞き間違えたかと思いましたよ」

「う、うーん」

「討伐は報酬無しですよ?この街の街壁工事って幾ら位です?」

「うーむ。確かにあの村の者達の事は私も知っているが」

「誰も受けなかった依頼を押し付けられて、悪魔の眷属を生け捕りにしたのに報酬は15万エナか・・・やっとれんな」

「い、いや、それに関しては申し訳なかった」


「調査と言うのを詳しく聞かせてくれんじゃろか」

「分かりました。あの村には1ヶ月ほど前に旅人が3人、訪れたそうです」

「3人の旅人?」

「えぇ。その旅人の1人を泊めた家の者が魔女になりました」

「・・・悪魔の血かえ?」

「恐らく」

「ふーむ」

「他の家には出ていないのかね?」

「今の所は」

「今の所は?」

「帰れって、言われたのでそれ以上は調査していないんですよ」

「そ、そうか」

「家の者によると、老婆に悪魔の血を渡したであろう男は”ヨセフ”と名乗って南に行くと言っていたそうです」

「ヨセフ」

「先ず偽名でしょうね」

「じゃろうな。南も嘘じゃろう」

「そう思います」

「なるほどのぉ」

「その老婆が魔女に変身しまして」

「老婆が変身かや!?」

「えぇ。僕以上の大きさになったんですよ。その・・・フリーエ様くらいだったのが・・・」

「マコル君!」

「マコルさん!」

「ヒェッヒェッヒェ。構わん構わん。それで最初魔女って驚いたっちゅぅ訳じゃな」

「えぇ。面影もどことなく・・・」

「マコル君!」

「マコルさん!」

「ヒェッヒェッヒェ。魔女かぁ。確かに魔法を使う女じゃしな、間違ぅとりゃせんわいな。ヒェッヒェッヒェ」

「これは僕の予想ですが」

「お言いな」

「悪魔騒動っていうのは多発するもんなのですか?」

「いや、あまり聞かんのぉ」

「旅の男が悪魔の血を使って人々を悪魔に変えて回ってる。先の悪魔も・・・」

「ま、まさか君は、あの悪魔もその男達が変えた人間だったと?」

「・・・辻褄は合うわいな」

「フリーエ様・・・」


「まぁ何にせよ、結末の調査はせにゃぁならんじゃろうぅ、クエイドよ」

「そ、そうですな。しかしマコル君!もっと早く報告してくれても良かったんじゃないのかい?」

「報告にぃ~、来たらぁ~、忙しいからぁ後にしろってぇ~、言われたもんでぇ~」

「む、むぅ・・・」

「忙しいぃ?」

「あ、いや、フリーエ様の到着の準備で・・・その・・・」

「ヒェッヒェッヒェ。まぁ魔女だなんて思わんわな」

「は、はい。君、街主様に報告して街軍による村への派遣を要請してくれ」

「わ、分かりました!あっ、マコルさん」

「ん?」

「そ、その。申し訳ありませんでした。魔女だとは知らなかったとは言え、軽々しく村の為にって・・・」

「魔女だったのは貴方のせいではありまえんよ、お気になさらず。ただ魔女の戦いで両手を失ってたのが僕だったら・・・」

「あ、うぅ・・・」

「冒険者が報酬を求めるのは当然なのですよ。理解していただきたい」

「は、はい!すみませんでした!」


そう言って受付嬢は部屋を出て行った。



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