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HappyHunting♡  作者: 六郎
第8章 シンパシー・フォー・ザ・デビル (ムトゥルグ:マコル、マリア、マーラ、マヤ)
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ヤーガばあさんをうつ伏せに拘束した。

3人が駆け寄って来る。

ブランブランしている左手を斬り落とす。


「ポーションで止血しろ!」

「「「了解!」」」

「ばあちゃん!」

「ブッカァ・・・」

「止血したら後ろ手に縛れ!」

「「「了解!」」」

「ばあちゃんに何をする!」

「やめろ!ブッカ!」

「おい、バッカ。お前馬鹿か?魔女だぞ?」

「ちっ、違・・・う」

「すまない、ブッカ。あれは魔女だった」

「ううぅぅぅぅぅ・・・」

「拘束したらどこか閉じ込める所はないか」

「あぁ。連れて行こう」




ヤーガばあさんを入れた鉄格子の前で俺達は村長達と相談していた。


「事件は1か月前から始まったんだったな」

「あぁ」

「ヤーガばあさんに会った時気になる事を言っていた」

「どんな事だ」

「1ヶ月ぶりのお客さんだと」

「あぁ。1ヶ月以上前に旅の男がこの村に来た」

「冒険者か?」

「いや。そんな風ではなかった」

「何人だ?」

「3人・・・だった」

「商人か?」

「いや。特に物を売るでもなかった。野宿も怖いから数日間泊まらせてくれと」

「ブッカの家に?」

「1人はな。こんな村だ。そう広い家も無いさ」

「数日泊まったと」

「あぁ」

「ブッカ」

「・・・何だ」

「泊めた奴と何があった」

「・・・いや、特に」

「ペルト」

「あぁ」

「魔女だと言っていたが」

「あぁ」

「この地方で魔女とは何だ」

「・・・悪魔の眷属だ」

「「「「悪魔の眷属!?」」」」

「そうだ」

「魔女は自然発生するのか?」

「稀にだがその場合も有る」

「他の場合は」

「・・・悪魔の血・・・だ」


悪魔と同じような固有魔力だったのはその為か。


「ブッカ」

「あぁ」

「今までばあさんが悪魔の兆候を見せるような事は」

「ねぇ!1度もねぇよ!」

「・・・という事は」

「先輩!その泊まった男が悪魔の血を!?」

「恐らくな」


「ばあさん。ヤーガばあさん」

「若さ・・・若さをちょうだい」

「十分食べたでしょ」

「まだ足りないのよ。このままじゃおばあちゃんになっちゃうわ」

「ばあちゃーん!」

「強迫観念・・・かもな」

「老いへの?」

「あぁ。僕達の故郷にウェンディゴ症候群という精神病、心の病気がある」

「ウェンディゴ?」

「精霊、もしくは魔物の一種だ」

「それが?」

「ウェンディゴに取り憑かれたと思い込むと、人間を食べ物と認識するようになる」

『!?』

「勿論実際には取り憑かれてなどいない。思い込んでるだけだ」

「若さを取り戻すには若い人を食べる・・・そう思い込んだってわけ?」

「・・・思い込まされた・・・か」

「まっ、まさか!あの旅人が!?」

「ブッカ。ばあさんは老いる事に抵抗が?」

「あぁ。日々嘆いてたよ。足が痛い背中が痛い腰が痛い。しょっちゅう言ってたよ。年を取って良い事なんて1つも無いってな」

「ばあさん」

「若さを、元気を・・・」

「薬を飲んだの覚えてるかい」

「若くなる薬?」

「そうだ」

「ただでくれたのよ」

「くれた人の名前覚えてるかい?」

「あの薬のお陰ね・・・もっと・・・」

「ブッカ。知ってるか?」

「・・・確かヨセフって言ってたような」

「ヨセフ」

「先輩」

「まぁ。偽名だろうな」

「旅の男達はどこに行ったって?」

「南に行くって」

「南」

「ソルスキア!?」

「うーん。名前が偽名なら行き先も嘘だろう」

「そっかー」


「さてと」

『?』

「調査の依頼だったんだが・・・」

「あ、あぁ」

「完了で良いかな?」

「あぁ。勿論だ」

「先程生かして捕らえたら追加で報酬を払うって言ってたが」

「あ、あぁ。分かってる」

「そうか。安心したよ」

「あぁ」

「1つ聞いていいか」

「あぁ」

「魔女は・・・悪魔の血を飲んだ者は元に・・・人間に戻るのかい?」

『!?』

「・・・いや。戻らない」

「そうか」

「ううぅ。ばあちゃん・・・」

「これは助言だが」

「?」

「神の下に送ってあげた方が良い。直ぐに」

『!?』

「なっ、てっ、てめぇ!」

「僕は街へ帰って報告しなければいけない」

「うっ!」

「そうすると冒険者か軍がここに来るだろう」

「うぅ!」

「彼らに殺されるか。君達の手で送られるか。どちらがばあさんに取って幸せだろうか」

『・・・』

「既に5人、いや、6人犠牲になってる。死刑も免れないだろうし悪魔の血を飲んでもいる」

「くっ、くそぅ」

「ブッカでは辛いだろう。村長が決めないと」

「うるせぇ!」

「ブッカ」

「てめぇは余所もんだ!口出すんじゃねー!」

「ブッカ!」

「ペルトぉ、待ってくれよぉ。たった1人の肉親なんだよぉ」

「ブッカ・・・」

「肉親ね。他人の肉を食ってたがね」

「てっ、てめぇ!」

「待て!ブッカ!お前ら!ブッカを抑えろ!」

「は、はい!」

「おまえ達も!依頼は終わったんだ!余計な事を言うな!」

「サインはまだだがね」

「依頼票を出せ!」


俺は依頼票を渡す。

ペルト村長は依頼票にサインを書いて突き返した。


「ほらっ!これでいいだろ!空き家をおまえ達の宿に使えるようにしてある。今日はもう休んでくれ!」

「へいへい」




僕達は案内された家で遅くなった食事を摂る。


「いやぁー参ったな!」

「魔女とはねー」

「悪魔の次は魔女かぁ」

「呪われてますわね」

「おばあさんの魔力はどうだったの?」

「最初は悪魔ではなかったね」

『えー!?』

「変身してから悪魔の魔力になったが」

「じゃぁ、人間の状態と悪魔の状態で魔力が変わるの?どうやって見破ればいいってんのよ」

「人間でもなかった」

『えっ!?』

「じゃぁ最初っから怪しいと思ってたわけ!?」

「あぁ」

「もう!早く言ってよね」

「怪しいとは思ったが、まさか悪魔の眷属だったとは・・・」

「どうして怪しいって言わなかったの?」

「証拠が無いからよ」

「あ、そっか」

「ちなみに手押し車の中が・・・」

『いやー!』


「いや。変身するとはな、マジで」

「そういえば何でワライマイタケだったの?眠らせて起きた後じゃ駄目だったの?」

「起きた後またあの聞き取り辛い状態だとね。強迫的な精神障害ならもしやと思って」

「そういや精神薬的な作用があるんだっけ」

「これで報酬が10万かよ・・・トホホ」

「追加って言ってもこの村じゃねぇ」

「確かに。あの受付嬢さんが言った時は少し同情したけど。こういう事も有るんなら納得だよ」

「カズヒコさんは正しいですわ!」

「調査の結果、ゴブリンとかの場合だったら良い。しかし今回みたいな事がある」

「事前に決めとくのが重要ね。流石に魔女とは思わなかったけど」

「マヌイ。報酬は対価だ。覚えとくんだぞ」

「うん。分かった!」

「サインもいただきましたし、明日には帰ります?」

「あぁ。サーヤ君もゆっくりしたがっていたしね。早く帰ろう」

「悪魔、魔女と来たからね」

「広いお風呂に入りたい」

「五右衛門風呂の拡大は難しいなぁ」

「あっ、野宿では助かってるよ!」

「有るだけマシっていうか有るのもおかしいんだけどね」

「あっ!」

「何!」

「ちなみにですけど」

「どしたの?」

「《カウンター》がLv7になりました」

「あっ、マチェーテ壊れた時?」

「そう。あっ、マヌイ。一応《治癒》を頼むよ」

「うん」

「疲労骨折とかしてたら不味いからな」

「新しい剣、街で買わないとね」

「結構使ってましたもんね」

「サーヤ君がパーティに加わった時の街で買った物だったんだが。惜しいことしたな、思い出の品が」

「カズヒコさん・・・」

「街でサーヤ君に見繕ってもらうかな」

「はい!任せてください!」

「今回みたいな事考えると予備を買っておいたら?収納袋も有るんだし」

「そうだね。じゃぁサーヤ君、お任せで2本頼むよ」

「はい!」

「あぁ、高いの買わなくて良いよ」

「えっ」

「使い捨てだよ。俺の武器は」

「そんな!駄目です!リーダーなんですから立派なの持ってください!」

「要らない要らない。武器に執着持つと戦えなくなるよ」

「気兼ねなく戦えないって事?」

「そう。惜しいとか価値が有るとか、そんな事思ってたら隙になる」

「ではどのような物を買えば」

「頑丈でサーヤ君が気に入ったデザインの奴でいいよ」


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