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HappyHunting♡  作者: 六郎
第8章 シンパシー・フォー・ザ・デビル (ムトゥルグ:マコル、マリア、マーラ、マヤ)
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「くっ、首が無い!?」


肩から上が無いそれは、

手で持って手押し車を押していた。


キィキィキィ


『ひえええぇぇぇ!』

「ばあちゃん!」

『えっ!?』


手押し車の真後ろに有った物が動いた。

人間の顔だ。

振り向いたのだ。

首が90度折れ曲がって首が無いように見えたのだった。

下を向きながらどうやって歩いてんだ?


「ばあちゃん!ここで何をしてんだ?」

「あぁ~ブッカかぁ~」

「家で待ってろって言ったろ!危ねぇから!」

「天気がえぇのぉ~ヒェッヒェッヒェ」


ブルブル身体が震えている。

顔がブッカから僕達に向く。

目が爛々と大きくなる。


「おおおぉぉぉ、お客さんかええぇぇ」

「あぁ、そうだよ!」

「そそそそいつはひひひ久しぶりじゃなぁぁぁ」

「あぁ。1ヶ月ぶりぐらいか」

「ちちちちゃんと、んんんもてなさんと、いいいいかんぞねぇぇぇ!」

(怖ぇよ)

「えぇ。おばあちゃん。ブッカさんには大層なおもてなしをいただきましたよ」

「・・・」

「そそそそりゃ、いいいいがったよおぉぉ!」

(怖ぇわ)

「わわわわこぅてぇぇぇ、うらやまぁぁぁしぃぃぃのぉぉぉ!」

「おばあちゃんもお若いですよ」

「ひゃー!!!」

(ひぇぇぇ)

「っはっはっはー!そうかぇそうかぇー!」

「え、えぇ」

「やっぱりじゃぁぁぁ、そうじゃぁぁろぉぉぉのぉぉぉ」

「じゃ、じゃぁ、ばあちゃん!家で大人しくしててくれよな!」

「言う通りじゃったぁぁぁ、ひーひっひっひー」


震えながら去っていく。


「なかなか個性的なおばあさんだな」

「・・・行くぞ」




1人身の女の家に着いた。

家に入る。

この世界は土足が基本だ。

見た感じ異常は無い。

片付けたのだろう。

臭い等も特に無い。

血の跡があったが時間が経ってるようだった。


「間隔は?」

「かんかく?」

「事件の間隔」

「あぁ。行方不明になったのは1か月前。2人目はその1週間後。殺されたのもそれから1週間後。2人目はその5日後。3人目は4日後だ」

「短くなってるな」

「そうですね」

「最後に殺されてから何日経ってる?」

「3日だ」

「起こるとすればそろそろか」

『!?』

「まっ、また誰か殺されるってのか!?」

「そうだとすれば、そろそろだって話だ」

「ぐうぅ・・・」

「1人身以外の犠牲者はどこで見つかってる?」

「森だ。人気の無い場所で1人で行って・・・」

「そうか。取り敢えず村人には1人で外出は控えるよう言ってくれ」

「わ、分かった」

「今日はもう遅い。暗くてこれ以上は無理だ。続きは明日にしよう」

「そ、そうだな」

〈だっ、誰かー!誰か来てくれー!〉

「外だ。行くぞ!」

「「「はい!」」」




陽が地平線に沈む中、

男が村の端から走って来ていた。


「どうした!」

「ペ、ペルト!」

「何があった!」

「むっ、娘が!娘がっ!」

「案内させろ」

「わ、分かった!何処だ!?案内しろ!」

「わわわ分かった!こっちだ!」




小川のほとりで男の娘が仰向けに死んでいた。

辺りをランタンで照らす。


『うぅっ』


10代後半のようだ。

娘は体中を抉られていた。

顔、乳房、臓物、内股・・・


「おえぇっ」

「向こうで吐け。現場を荒らすな」


村人の1人が吐いた。

彼女達3人もまともに見れていない。

遺体を調べる。


「先輩・・・」

「灯りを」

「は、はい」

「ペルト」

「あ、あぁ」

「他の遺体もこんな感じか?」

「あぁ。そうだ」

「ふーむ」

「先輩?」

「先ず目に付くのが顔だな。確かに食われている」

「しかし他の部位。乳房、腹、内股なんかは鋭い切り口だ」

「ペルト」

「あぁ」

「他の遺体もこんな切り口の跡だったか?」

「いや。噛みちぎられた跡だった」

「手口が変わった?」

「あぁ、多分な。死斑が出てるな。押しても消えない。地面に近い位置に多数。死後大分経ってるな。あんた」


娘の父親に聞く。


「娘さんはいつから見なくなった?」

「朝からだ」

「昼飯は?」

「軽い物を持ち歩く。家では食べてない」

「じゃぁ、午前中には?」

「だろうな。幸い遺体も周辺も魔物には荒らされてない。全部犯人の痕跡だ」

「足跡は?」

「ふーむ。消されてるな。掃いた跡がある」

「掃いた・・・」

「掃きながら小川に入って行った・・・血を流す為に・・・か。なるほど」

「な、何か分かったのか!?」

「あぁ。まぁ多分・・・だが」

「教えてくれ!」

「犯人は娘さんを殺害した後、小川に入って血を洗い流した」

「聞いたよ!」

「その際、痕跡を消している」

「聞いた!」

「遺体だが。見てくれ」

「喉の水平の切り口。付近は血だらけ」

『あぁ』

「対して内股はそんなに血が流れていない」

『それが!?』

「内股は死後に切り取られている。つまり喉の切り口が致命傷になった。それから胸、腹と下に向かったんだろう」

『・・・』

「この子の手を見てくれ。指先が綺麗だろう」

「それがどうしたってんだ!」

「抵抗していない」

「先輩・・・それって」

「あぁ」

「何だ!何を言ってる!?」

「魔物に襲われたなら抵抗するはずだ」

『!?』

「小川に入る際に痕跡を消した、知能がある」

「肉は鋭利な物で切り取られている」

「その鋭利な物でこの子は正面から喉を斬り裂かれた」

「その際抵抗はしていない。知った相手だった・・・つまり」

「む、村の人間だと!?」

「そうなるな」

「馬鹿な!」

「有り得ん!」

「そうだ、歯形だ!人間に似ているが牙らしきものも有る!」

「そこなんだ。そこが分からない」

「だったら!」

「それ以外は人間の犯行を示している」

『!?』

「うぅ」

「後ろから喉を掻っ切ったんじゃねーのか!?」

「その可能性もある」

「だったら!」

「尚更人間っぽいな」

「!?」

「魔物なら背面から近づいたらそのまま背面を攻撃するだろうな」

「・・・うぅ」

「だっ、誰だ!誰が娘をこんなにしたってんだっ!」

「今から行くかい?」

『!?』

「わ、分かってるのか?」

「多分・・・だがね」

『・・・』

「どうするね」

「・・・行こう」

「ペルト」

「一刻も早く捕まえなければ・・・村民が犯人だったらの話だが」


言われて俺は肩をすくめる。


「・・・分かった」

「あぁ。ペルトがそう言うんなら」

「それでマコル。何処に行くんだ?」

「ブッカの家だ」

『!?』


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